看護師として転職を有利に進めるために、資格取得を検討している人は多いのではないでしょうか。資格が転職に役立つ主な理由は、①職場選択の幅が広がる、②キャリアアップにつながるという2つです。
この記事では、看護師の転職やスキルアップに役立つ資格をご紹介します。
今回のテーマは「介護福祉士」です。
<目次>
1 介護福祉士とは?
「介護福祉士」とは、介護分野で唯一の国家資格です。身体的または精神的な障害により日常生活に支援が必要な人へ適切な介護を提供するための専門的知識と技術を修得していることを、国が認定しています。
1987年に施行された「社会福祉士及び介護福祉士法」によって制度化され、医療・介護・福祉の領域をつなぐ専門職として発展してきました。
役割は、食事・排泄・清潔援助といった身体介護にとどまらず、生活環境の整備、家族への支援、多職種との協働など多岐にわたります。介護の現場では“その人がその人らしく暮らせるか”を軸にケアが行われるため、生活を丸ごと理解し支える視点が求められます。
超高齢社会が進む今、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、訪問介護、地域包括支援センターなど、活躍の場は多様化しています。こうした環境の中で、利用者の価値観や生活背景を尊重しながら、その人らしい暮らしを整える専門職として、介護福祉士は今後さらに欠かせない存在になるでしょう。
2 介護福祉士の資格を取得して転職するメリット
介護福祉士の資格を持つことで、自身のキャリアアップや活躍だけでなく転職のシーンでも役立ちます。
● 職場の選択の幅が広がる
介護福祉士の資格を取得することで、病院以外にも、介護施設や訪問介護、地域包括支援センターなど、活躍の場が広がります。さらに、資格取得の過程で身につく介護の視点や専門知識によって、病院・施設・在宅といった各現場で求められる役割をより具体的に把握できるようになります。
こうした理解が深まることで、自分の興味や働き方に合った職場を選びやすくなる点も大きなメリットといえます。
● キャリアアップにつながる
介護福祉士とのダブルライセンスは、看護師がキャリアアップをめざす上で有効な資格とされています。
背景には、医療だけでなく生活支援の視点を養える点が挙げられます。さらに、在宅医療や地域連携が必要な場面で、状況に応じた判断がしやすくなることも理由の一つです。
視野が広がることで多職種との連携や調整を担う機会が増え、チーム全体の調整役を任される、あるいは管理職候補として期待されるなど、担える役割の幅が広がっていきます。実務での活躍は評価につながりやすく、キャリアアップの後押しになるでしょう。
3 介護福祉士の資格を取得するためには?
介護福祉士の資格を取得するには、以下のルートで受験資格を得た後で国家試験に合格する必要があります。受験の条件やスケジュールなどをまとめました。
● 介護福祉士国家試験の受験資格
介護福祉士の受験資格は、以下【1】~【4】のいずれかの条件を満たす必要があります。
| 【1】養成施設ルート |
|---|
| 介護福祉士養成施設(2年以上)もしくは福祉系大学・養成課程、保育士養成課程卒業後、介護福祉士養成施設(1年以上)を卒業 |
| 【2】実務経験ルート |
| 介護業務の実務経験3年以上+実務者研修の修了 |
| 【3】福祉系高校ルート |
| 福祉系高校で定められたカリキュラムを修了 |
| 【4】EPAルート |
| 経済連携協定に基づき来日した外国人候補者が、所定の研修と実務経験(3年以上)を修了 |
<看護師にお勧めのルート>
看護師の場合は、養成施設ルートが一般的です。ただし、働きながらも資格を取りたい人や費用を押さえたい人は、実務経験ルートという選択肢もあります。
<制度変更の注意点>
以下のように介護福祉士養成施設を卒業する年度によって、資格取得の条件が変わります。
進路を考える際は、まず自分がどちらの年度に該当するかを確認しておきましょう。
・令和8年度末までに卒業する場合
国家試験に合格していなくても介護福祉士として登録できます。ただし登録後5年以内に国家試験に合格するか、5年間継続して介護業務に従事する必要があります。条件を満たせば、その後も資格を継続できます。
・令和9年度以降に卒業する場合
国家試験の合格が必須となり、合格しないと資格取得はできません。制度は年度によって大きく変わるため、進学計画や受験時期を判断する際は、最新情報を確認しておくことが重要です。
● 介護福祉士国家試験の概要
介護福祉士国家試験の概要について、2025年度試験を例に紹介します。
| 受験手数料 | 18,380円 |
|---|---|
| 新規名簿登録申請 | 登録免許税9,000円、登録手数料3,320円 |
| 受験日 | 2026年1月25日 |
| 試験地 | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県(35試験地) |
| 試験範囲 | 全13科目(①人間の尊厳と自立、②人間関係とコミュニケーション、③社会の理解、④こころとからだのしくみ、⑤発達と老化の理解、⑥認知症の理解、⑦障害の理解、⑧医療的ケア、⑨介護の基本、⑩コミュニケーション技術、⑪生活支援技術、⑫介護過程、⑬総合問題) |
| 試験方式 | 筆記試験(多肢選択形式、出題数125問) |
| 試験時間 | 午前:105分、午後:115分 |
| 合格基準 | 総得点の60%程度、かつ全13科目で得点すること(いずれかが0点の場合不合格) |
| 合格発表 | 2026年3月16日 |
全13科目のうち、特に④こころとからだのしくみ、⑤発達と老化の理解、⑥認知症の理解、⑧医療的ケアは、看護師として培ってきた知識や臨床経験を生かしやすい分野です。
既存の知識と結びつけながら学習を進められるため、学習計画の見通しが立ち、看護師にとって取り組みやすいと感じられることもあるでしょう。
● 介護福祉士国家試験の受験スケジュール
介護福祉士国家試験スケジュールについて、2025年度を例に紹介します。
試験は年に1回なので早めの情報収集、受験勉強が必要です。 試験要項は公益財団法人社会福祉振興・試験センターホームページで公表されるので必ずチェックしてください。
| 2025年8月6日~9月5日 | 受験申し込み受付期間 |
|---|---|
| 2025年12月12日 | 受験票交付 |
| 2026年1月25日 | 試験日 |
| 2026年3月16日 | 合格発表 |
● 介護福祉士試験合格後の流れ
介護福祉士国家試験に合格後、所定の手続きで申請をすることにより、介護福祉士として正式に登録されます。
| 介護福祉士国家試験合格 |
|---|
| ↓ |
| 公益財団法人 社会福祉振興・試験センターへ必要書類を提出 |
| ↓ |
| 公益財団法人 社会福祉振興・試験センターで審査・登録 |
| ↓ |
| 登録証の交付(通常1ヵ月半程度) |
登録証の交付には通常1ヵ月半程度かかるため、資格証明が必要な場面に備えて、余裕を持って申請しておくことが望ましいです。
なお、定期的な登録証の更新手続きは不要ですが、氏名や住所など登録情報の変更があった場合は届け出が必要になりますので、忘れずに対応してください。
◇ ◇ ◇
今回は「介護福祉士」について紹介しました。
介護福祉士は、利用者のその人らしい暮らしを守ることを軸に、日々の生活や支援体制を整えながら寄り添う専門職です。看護師が介護福祉士の資格を取得することで、医療的判断と生活支援の両面から関われるようになり、現場で求められる役割やキャリアの幅も大きく広がります。
こうした背景から、介護の現場では、「暮らしに寄り添いながら、看護師と協力して利用者を支えたい」という声がよく挙がることがあります。利用者の暮らしを深く理解し、生活に近い視点で支援したいと考える看護師にとって、介護福祉士の資格はその想いを形にできるでしょう。
今後の働き方やキャリアの幅を広げる一つの選択肢として、介護福祉士を検討してみてはいかがでしょうか。
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・短期間で取得したい人→【1】養成施設ルート
学習期間が短く、介護の知識や技術を体系的に学べる点が特徴です。
・働きながら取得したい・費用を抑えたい人→【2】実務経験ルート
取得までに時間はかかりますが、現職を続けながら資格取得をめざせるため、費用面で有利な点が特徴です。