かわもと記念クリニック (鹿児島市/鹿児島駅)
川本 研一郎 院長の独自取材記事
菖蒲谷入口バス停留所から徒歩2分、静かな住宅地に構える「かわもと記念クリニック」を訪ねた。同院を率いる川本研一郎院長は福岡大学筑紫病院で研鑽を積んだ後、地元・鹿児島に戻り、地域中核病院での勤務を経て、2017年1月の開業に至った。内科、外科、リハビリテーション科、整形外科、リウマチ科を標榜し、訪問診療や往診にも注力。2024年度からは健診事業の強化を図る。病床19床を備えた地域の総合病院的役割を担うクリニックだ。消化器、内視鏡、糖尿病、乳腺など、各領域の専門の医師とそれに準ずる専門性を持つスタッフが在籍し、精密で幅広い医療を提供している。地域に住まう人のためにできることに対して労を惜しまず、必要とされる医療を一つ一つ丁寧に届ける川本院長に、診療への思いをたっぷり聞いた。
各領域の専門の医師による充実した診療や検査
こちらのクリニックは、たくさんの診療科を標榜されていますね。
内科、外科、リハビリテーション科、整形外科、リウマチ科を標榜しています。内科には消化器、内視鏡、肝臓、糖尿病、外科には胃腸、乳腺、肛門を専門とする先生がおり、2024年12月からは泌尿器科も加わりますので、多岐にわたる疾患に対し専門的な診療を行うことが可能です。整形外科、リハビリテーション科、リウマチ科にも専門の医師の他に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった技術面を支えるスタッフをそろえています。機能改善を促すためのリハビリを重視し、短期でも入院された患者さんには運動機能低下を防ぐためリハビリをしてもらうようにしています。体づくりから、一緒にやっていきましょう。また、運動することは生活にもハリが出るでしょうから、年齢に関係なく皆さんに日々の生活の中で運動することを意識していただきたいですね。
どのような検査を受けることができるのでしょうか?
私を含む4人の日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医が担当する胃・大腸内視鏡検査は、当院の大きな特徴です。大腸内視鏡検査には画像解析AI装置を導入しました。熟練の医師でも検出の難しい、ごく小さな異常も見つけやすくなりました。しかし、早期発見には、多くの症例を診てきた医師の目や勘があってこそ。医師の経験と先進技術をかけ合わせ、精密な診断を行えるような体制づくりに尽力しています。ポリープを発見した際、当院で適切に処置が行えると判断された場合は、日帰りまたは1泊入院での切除のための手術も可能です。一貫して治療を完結できるところも、患者さんにとって安心要素と感じていただけるのではないでしょうか。
超音波検査や、乳がん検査も行われていますね。
吉野地区にお住まいの患者さんが、鹿児島市の中心街まで出ることなく、さまざまな検査を受けるために足を運びやすい場所でありたいと思い、検査を充実させています。超音波検査は、甲状腺、頸動脈、乳腺、腹部の検査を実施。日本超音波医学会超音波専門医の資格を持つ私のほか、超音波検査について専門的に学んだ臨床検査技師とともに、精密な診断検査に努めています。また、乳がん検査では、マンモグラフィという乳房のエックス線検査と、乳腺超音波検査を併用し、乳がんの早期発見をめざしています。早期の乳がんは自覚症状がないことが少なくありませんので、定期的に検診を受けられるのがお勧めです。また、地域の病院やクリニックとの連携を積極的に行っていますので、より専門的な治療や手術が必要な際もしっかりサポートいたします。患者さんにとって負担の少ないより良い医療を、地域全体で提供していきたいです。
健康診断の体制強化で、予防と早期発見・治療に寄与
2024年度からは、健診事業も強化されたそうですね。
はい。症状が出てから受診し、治療することももちろん大切ですが、症状を自覚する前に発見し、早くから治療を行うことに勝るものはありません。吉野地区は近年再開発が進み、古くからの住人に加えて、新たに引っ越してきたファミリー層により人口が増加しています。働き盛りの世代も多い地域性も考慮して、生活習慣病予防健診を提供できるようにしました。一般的な健康診断との違いは、私たちが力を注いでいる胃内視鏡検査が項目に入っていることです。リラックスして検査を受けられるよう、一般外来の患者さんとは滞在スペースを分離した健診ルームも新たに増設しています。より身近に、健康診断や検診を受けられる医療機関として、皆さんに認知してもらえるようになっていきたいです。
もう一つの柱に、訪問診療・往診があります。
吉野地区にも高齢の方が増え、体が不自由で通院が困難であったり、医療機関まで介助してくれる家族がいない方も多くなっています。そこで、在宅医療に応じることで、もっと多くの患者さんを診ることができると考えて、取り組むようになりました。私は主に金曜日と土曜日を担当し、他にも外科の先生も診療してくれています。訪問看護ステーションとの連携体制も整えて、現在は「機能強化型在宅療養支援診療所」としての施設基準を満たしています。「住み慣れた家や地域で人生を全うしたい」という患者さんの思いに応えるため、自宅での緩和ケアや看取りといった終末期医療も積極的に行っています。病床を生かして緊急時の入院も可能ですよ。在宅医療はご本人やご家族、そしてスタッフとしっかり連携することが大切ですので、連絡ツールをフル活用しながら、緊密なコミュニケーションを心がけています。今後は在宅で行える診療をさらに充実させていきたいです。
患者さんの通いやすさという面では、何か取り組まれていますか?
スマートフォンのアプリケーションによる当日順番予約システムやキャッシュレス決済に対応しています。ですが、この辺りは私が本当に疎くて……(笑)。スタッフが良いと感じたものを提案してくれて、導入しているんです。患者さんのためになる良いものであれば、どんどん取り入れていきたいですね。現在のクリニックのさまざまな体制は、私一人では絶対に作り上げられていないことなので、スタッフの手厚いサポートに、日々感謝するばかりです。
受け皿を広げて「断らない医療」の実現へ
患者さんや地域に対しては、どのような思いをお持ちでしょうか。
私たちは「断らない医療」というモットーを掲げています。一見偉そうな感じがするかもしれませんが、そうではないんです。困り事を感じられている方から悩みを相談されたり、何かを頼まれた時には、誰だってむげに「無理です」と断りたくはないですよね。これは、医療だけでなく他のことでも同じです。困っている人の力になれるように、可能な限り受け皿を広げていきたいと考えています。以前は、日曜祝日と夜間診療を行い、24時間365日外来診療に力を注いできました。しかし、政府の進める医師の働き方改革によりそれが難しくなり、現在はかかりつけの患者さんに関してのみ24時間365日体制で対応しています。明らかに緊急性の高い症状ではなく、当院で処置が可能な患者さんに関しては、救急車の受け入れも行っています。
今後のご展望をお聞かせください。
現在のクリニックのスタイルをしっかり維持しつつ、外来診療、在宅医療ともに対応できる幅を広げていきたいと考えています。また、今後は健康診断の分野がキーとなると思います。健康診断を受けなければ気づけなかった病気を発見し、早めに治療を行っていくこと。そして患者さんに「受けて良かったな、また次もここに来よう」と思ってもらえるような体制をめざしていきたいです。
最後に、読者や地域の方々へメッセージをお願いいたします。
私たちがめざしているのは、患者さんにとって「何かあったらすぐに相談できる場所」となることです。当クリニックが行っている診療や検査、健康診断、在宅医療について知っていただき、利用をご検討いただければと思います。安心してかかれる医療機関として、吉野地区にお住まいの方々の健康を守っていけるよう、今後も精進してまいります。何かお困り事やお悩みがある時は、ぜひお気軽にご相談くださいね。