うちうみ歯科クリニック (練馬区／江古田駅)
内海 大輔 院長の独自取材記事
生まれ育った練馬の地で地域のかかりつけ歯科医院をめざす「うちうみ歯科クリニック」の内海大輔院長。虫歯や歯周病の治療のほか予防歯科、根管治療、入れ歯やインプラントまで幅広く対応している。中でも日本歯周病学会歯周病専門医として力を入れている歯周病治療では、予防から外科処置など専門性の高い治療まで対応する。診療モットーは「人を診る」こと。以前、スキーで負傷し自身が医療機関にかかった経験をきっかけに技術や知識だけでなく、温かな雰囲気の中で親身な診療を行うことを心がけているそう。開院から10年目を迎えた今、院長が診療で大切にしていることや専門の歯周病治療、子育て世代・働き世代の歯の健康維持について話を聞いた。
生まれ育った練馬で地域のかかりつけ歯科医院をめざす
歯周病を専門に選んだ経緯と、地元で開業した思いについて聞かせてください。
昭和大学歯学部を卒業後に同大学大学院歯学研究科歯周病学専攻に進み、卒業後は大学病院や都内の歯科医院で経験を積んで、日本歯周病学会歯周病専門医を取得しました。歯周病を専門に選んだのは、日本の18歳以上の約8割が歯周病といわれており、歯の喪失原因のトップとなっているからです。また、歯周病は悪化しなければ症状が出ないため自分ではなかなか気がつかず、患者さん自身の意識も高くありません。こうした背景と、もともと歯周病に興味があったこと、大学時代に先生方の診療を見て治療だけでなく予防が重要だと実感したこと、そして、早期から人々の口の中の健康をサポートしていきたいと思ったことが歯周病を専門に学んだ理由です。生まれ育った練馬を開業場所に選んだのは、町に根づき地域の人たちに支えられながら、誠実に歯科医療を提供していきたいと思ったからで、覚悟のようなものですね。
どのような患者が来ていますか？
近隣にお住まいの方が多いですね。年齢層は0歳から90代までと幅広く、最近は一人の患者さんの診療をきっかけに、その方の知り合いや家族が来院するケースも増えている気がします。当院は地域のかかりつけ歯科医院をめざしていますので、ご家族の健康管理の一助となれるのはとてもうれしいことです。症状は、虫歯や歯周病のほか「歯が痛い」「歯が折れた」などの緊急を要するものやメンテナンスなどさまざまです。最近はインプラント治療を希望する方が増えていますね。歯は使い方によって削れたり割れたりします。意外にも、歯に強い力が加わるのは食事ではなく歯ぎしりや食いしばりです。歯を長持ちさせるには、食生活はもちろん、食いしばりや歯ぎしりによる強い力をコントロールしていかなくてはなりません。今は人生100年時代。生涯永久歯を使うためには、虫歯や歯周病の予防に加えて、噛む力のコントロールが大切だと患者さんには話をしています。
治療の流れについて教えてください。
「痛みを何とかしたい」「口の中全体を健康な状態にしたい」など、その方の要望に応じて治療を行っています。「口の中全体の治療や予防をしたい」という方には、まず虫歯や歯周病、顎の関節、噛み合わせ、歯並びなどを確認するために口腔内写真の撮影やエックス線撮影、歯型の採取、歯周ポケットの測定などの検査を行います。それらの検査データを整理、診断をして後日、患者さんに現状や原因、治療方法、予防法などを30分ほど時間をかけて説明します。その後、患者さんの希望とすり合わせをしてから治療を開始します。また、歯を健康に保つ上で一番大切なことは日々の自宅でのケアや食事ですので、歯磨きや口腔ケアの方法、食べるものやそのタイミングなども指導するなど、治療と予防を並行して進めていくのが当院のスタイルです。
歯周病治療の専門家として予防から専門的治療まで対応
先生が専門の歯周病治療について教えてください。
歯周病治療は専門分野ですので、特に力を入れています。当院では、各ステージと患者さんのリスクに合わせた予防や治療に取り組んでおり、歯科衛生士による歯周ポケットの検査やクリーニングなどでの処置や予防はもちろん、歯周病が進行してしまった場合には歯周組織再生療法などにも対応しています。また、歯周病には、病状の進行を速くしてしまうリスクがあります。そのリスクをできるだけ減らすために、噛み合わせの調整やマウスピースの装着、矯正治療、禁煙指導なども行っています。歯周病は患者さんに自覚のないケースがほとんどですが、「歯磨きをすると出血する」「口臭が気になる」「歯肉が痩せた」「歯が揺れる」「食べ物が歯と歯の間に詰まる」などの症状がある場合は、速やかに受診することをお勧めします。
子育てや仕事が忙しく、なかなか通院できない場合はどうすればいいでしょう？
そのような場合は、自宅で毎日の歯磨きや歯間ブラシ、フロスを適切に行うことで、虫歯や歯周病の進行をある程度遅らせることが見込める場合があります。そのためには、先に歯科医院を受診し悪い点を把握した上で、歯科医師や歯科衛生士のアドバイスにもとづいて日々の口腔ケアを行うことが大切です。そして、半年後や数年後など生活が落ち着いたときに受診するのが良いでしょう。これは、お子さんの口腔ケアでも同じです。歯磨きやフロスは多くのお子さんが嫌がりますが、そこで諦めると将来、お子さん自身が虫歯や歯周病で苦労することになるかもしれません。加えて、食べ物や飲み物に気をつけていなければ、いくら歯磨きを頑張っても虫歯になるリスクは高くなってしまいます。おやつの量や食べ物の種類には気をつけましょう。虫歯や歯周病の予防は一生続きますから、小さな頃に習慣づけることが大切です。
感染症対策について教えてください。
これまでも行ってきた超音波洗浄器と高圧蒸気滅菌器を使用した院内感染予防や口腔外バキュームでの対策を維持しながら、予約人数の調整や窓を開けて換気をする、待合での人と人との間隔を空けるなどして対策を徹底しています。最近では新型コロナウイルス感染症流行の影響で、これまで定期的に受診していた方が来なくなり、その間に新たな虫歯や歯周病が発症したり、病状が悪化してしまったりする方も少なくありません。当院では感染症対策をしっかりと行っていますので、怖がらずに受診していただきたいですね。
技術や知識だけでなく人を診る治療を心がける
診療で心がけていることはありますか？
「人を診る」ことですね。一昨年の大晦日、スキーで大けがをしてタクシーで病院に行ったのです。知らない町の知らない病院で不安な中、タクシーの運転手さんや看護師さんの優しさが身にしみたのに対して医師がエックス線画像ばかりを見て、自分と向き合ってくれない印象を受けました。それまでの私は「歯科医師は、知識と技術があれば患者さんは満足してくれる」と思っていましたが、自らが患者になったことで初めて、医療従事者には人としてのぬくもりが一番大切だとわかったのです。以来、温かな診療を提供するためにユニフォームも青からピンクに変え、冷たい印象を与えないよう工夫をして患者さん一人ひとりの価値観を重視するようにしています。よく「患者さんの心に寄り添って」と言いますが、こればかりは自分が患者にならないとわからない。今はあの時、けがをして本当に良かったと思っています。
スタッフとの連携も大切にしていると伺いました。
診療のすべてにおいて、当院が全体として何ができるのかを考えています。例えば、患者さんが初めて来た時には受付が対応します。その時の対応が悪かったら、患者さんはもう来たくないと思いますよね。また、待合室から診察室に案内するときも、足が悪い人だったらゆっくり移動するなど、そういうところから大切にしようとスタッフには話をしています。そして、診察にしてもそれぞれの歯科医師や歯科衛生士には得意な処置や分野がありますから、チームで患者さんを診ることを心がけています。スタッフには笑顔とあいさつは忘れないようにと言っていて、みんないつも笑顔で頑張ってくれています。今はマスクをしていて、見てもらえないのが残念ですね（笑）。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
地域の方々が家族で来てくれて「また行きたい」「何かあったときはあそこに行こう」と思ってもらうことが目標です。また、専門の歯周病治療にも引き続き注力していきたいですね。歯周病は、普段の家庭での取り組みで進行を予防していくことも望めます。歯磨きは意外に難しく、癖で磨けていない場所や、逆に磨きすぎると自分で傷つけてしまうので、気軽にご相談ください。
