上野毛脳神経外科クリニック (世田谷区／上野毛駅)
小林 信介 院長の独自取材記事
東急大井町線・上野毛駅から徒歩2分ほど。環八通り沿いにあるのが「上野毛脳神経外科クリニック」。幹線道路沿いとは思えないほど静かで落ち着いた院内は、ナチュラルで優しい雰囲気だ。脳神経外科というと受診するにはハードルが高いというイメージを持つ人も多い中、小林信介院長がめざすのは「誰でも気軽に立ち寄れる脳神経外科クリニック」。閉塞感と圧迫感が少ないオープン型MRIを導入し、不意の頭部外傷を負った子どもから頭痛に悩む大人、認知症の不安を抱えた高齢者までを幅広く診療している。経験に基づく精密な診療と患者に寄り添うアドバイスで、子どもから高齢者まで地域の信頼は厚い。小林院長に、同院の特徴やめざす医療について詳しく話を聞いた。
精密なMRI検査で、不安や悩みの即日解消をめざす
まずはこちらのクリニックの成り立ちと院長のご経歴を簡単に伺えますか。
2012年開業で、もうすぐ10年になります。以前は昭和大学脳神経外科で准教授として勤務していました。手術に携わる達成感など、とてもやりがいを感じていましたが、将来は開業医として地域医療に携わりたいという思いもありました。開院の際にこだわったのは、「MRIを導入した脳神経外科クリニック」という点。脳神経外科を受診する患者さんはMRI検査を希望される方が非常に多いのですが、MRI検査は大学病院などでは時間がかかり過ぎてしまい、診察から検査、そして検査結果まで数日を要します。また、大きな病院では待ち時間も長く、異常がない検査結果であったとしても、結果を聞くために仕事を休まなければならないことも。そこで、もっと手軽にMRI検査を受けてもらいたいという思いを込めて開院したのがこのクリニックです。
脳神経外科診療では、MRIによる画像検査が重要になるとか。
頭痛一つとってもその背景はさまざまで、原因によって治療も変わってきます。痛み、しびれ、めまい、物忘れといった症状の背景を探る上で、脳や脊髄を視覚的に把握できるMRI検査はとても有用です。しかし、画像データさえあれば良いというものでもありません。画像検査により器質的に問題がないことがわかっても、患者さんは症状を感じているということは多々あります。診察と画像検査のバランスが重要で、見えない原因を探るためには、丁寧な診察が不可欠なのです。実は、勤務医時代には「器質的に問題がなければそれでOK」としていたこともあったのですが、こちらで診療するようになってからは、問題が見つからない人にもちょっとしたアドバイスや先々の展望、再受診の目安など、患者さんにとって安心材料となる何らかの情報を提供するようにしています。クリニックでの診療を通して、そうしたサポートのための引き出しが広がったと感じています。
こちらではオープン型MRIを導入されているそうですね。
MRIというとトンネル型のものをイメージされる方が多いと思いますが、当院では圧迫感や閉塞感を感じづらいオープン型MRIを採用しています。小さなお子さんや閉所恐怖症の方など、幅広い患者さんに安心して検査を受けていただけるかと思います。また、同時間に検査の必要な方が殺到した場合などは優先順位をつけてお待ちいただくこともありますが、基本的には予約なしで即日検査を受けていただくことが可能。事前にお電話をいただければ、当日の混み合わないタイミングをお知らせすることもできます。診察からMRI検査、検査結果のお知らせまですべてその日に完了できるので、不安な気持ちで待つ時間はほとんどありません。
脳疾患から脊椎・脊髄疾患まで、トータルに診療
どのような患者さんがいらしていますか。
脳神経外科に来院される患者さんというと、一般的に65歳以上の方が多いといわれますが、当院の場合は働き盛りの20代前後から50代の方が中心です。頭痛を訴えていらっしゃる方が多く、「重篤な病気による頭痛でないか鑑別してほしい」と「頭痛を何とか治してほしい」の2パターンのご要望があるように感じています。慢性的な頭痛で鎮痛剤を常用している方や、脳卒中家系なので自身も不安だという方からのご相談もよくあります。認知症を心配して来られる方も多いのですが、若年性アルツハイマーを疑って来られる若い方も増えているように思います。あとは、近隣の幼稚園、保育園、小学校などで不意の事故により頭を打ったお子さんも。先生が引率していらっしゃるケースも多く、子どもと先生を少しでも早く日常に戻せるよう、スピーディーに診療するように心がけています。
頭痛の治療について教えてください。
原因により治療法もさまざまです。脳卒中などが見つかればすぐに適切な病院にご紹介しますし、鎮痛剤を処方して様子を見るようにお勧めすることも。最近、リモートワークの会社員さんでこれまでなかった頭痛や首の痛みを訴える方が多いのですが、そうした方には自宅で仕事をする際のモニターの高さや座る姿勢などをアドバイスしています。普段使用しているオフィスと違う自宅環境では、気づかないうちに体に負担をかけていることも多いのです。また、片頭痛と診断した方には内服薬を処方するほか、今春からは、従来の薬で効果を得られない片頭痛患者さんを対象に、頭痛発作の抑制をめざす皮下注射による新しい治療も行っています。月に1度注射のために通院していただく必要はありますが、有用な治療法の一つと考えています。興味のある方はぜひご相談ください。
脳疾患だけでなく脊椎・脊髄疾患にも精通していらっしゃるとか。
頭や首、背中などの痛みや手足のしびれ、めまいなどの症状は、脳に原因があるものもあれば脊椎・脊髄に起因するものも。頭だけを診るのではなく、脊椎・脊髄を含めてトータルに診療することが必要です。そのため、2002年〜2004年にはドイツのギーセン大学脳神経外科で、椎間板ヘルニアなどの診療・手術技術を磨きました。欧米の脳神経外科医は脊髄や腰椎の疾患に対しての診療実績も数多くあるのです。「この症状は脳神経外科と整形外科のどちらに行けば良いのだろう？」といった場合でも、安心してご相談いただければと思います。
患者のニーズを丁寧に探り、それに応える診療を提供
新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、取り組まれたことはありますか。
従来、院内感染予防には取り組んできましたが、さらに体制を強化しました。椅子や手すりなどもこまめに消毒し、検温やマスク着用、人の密集の回避なども徹底しています。発熱がある方には事前にお電話をいただくことで、昼休みや診療後などに、他の患者さんと時間をずらして対応することも。院内の換気もよくし、MRI撮影時にはワイヤーのないマスクの着用をお願いすることにもすっかり慣れました。感染不安から受診を控える方もいらっしゃるかと思いましたが、大きな病院が新型コロナウイルス対応で通常診療をストップしたことを受け、逆に多くの患者さんに来ていただいたように思います。そんな中でも、院内の人数と滞在時間をできるだけ絞る、スピーディーな診療を実践しています。
ご自身の気分転換や健康のためにしていらっしゃることはありますか。
休診日も別の病院で手術や診療を行ったり、最近はワクチン接種を手伝ったりとなかなか時間が取れませんが、日曜日だけは家族と過ごすようにしています。現在小学校6年生になる双子の息子がいるのですが、キャッチボールをしたりしています。学生時代は野球に打ち込んでいた時期もあり、息子と野球ができることはうれしく思っています。
読者に向けてひと言メッセージをお願いします。
クリニックに足を運ばれるからには、皆さん何かしらを求めていらっしゃるはず。それが何なのかを確認し、できる限り求めるものを持ち帰っていただける診療を大切にしています。症状の原因究明には、MRIを用いた精密な検査が役立ちます。手術が必要となる方には、疾患に合わせて適切なドクターをご紹介することが可能です。頭や首の症状や認知の問題などでお悩みなら、まずは一度お気軽にご相談ください。
