いづみ歯科クリニック (武蔵野市／武蔵境駅)
宮崎 いづみ 院長の独自取材記事
武蔵境駅から徒歩7分の場所にある「いづみ歯科クリニック」。院内のレモンイエローと白の配色は、宮崎いづみ院長のイメージをそのまま表しているかのようで、温かみを感じさせる。2006年の開業から地域に寄り添う姿勢で地域住民に親しまれている同院。小さな子どもだった患者が成長してからも同院を訪れたり、定期的に検診に通う高齢者も多いのだとか。宮崎院長が大切にしているのは、患者の気持ちに寄り添った丁寧な診療。患者の考えを尊重し、デメリットも伝えた上で患者が選択した治療ならば、そのゴールに向かって全力を尽くすのだという。「患者さんとの信頼関係を大切にしたいんです」と話す宮崎院長に、最近感じていることや、忙しい日々の中でのリフレッシュの方法まで、ざっくばらんに聞いた。
地域に根差し、院内外で歯の健康と笑顔をサポート
地域に根差したクリニックとして、長く診療をされていると伺いました。
開業したのが2006年ですから、もう17年になりますね。実は私、一度は薬学部に進んだのですが、そこから松本歯科大学に入り直して歯科医師になったんです。歯科医師になった当初、ほとんどの先生は男性でしたので、いわゆる「男の世界」で子育てをしながら働くハードさを実感したり、患者さんからの「痛い」という訴えはどのくらいの痛みなのだろうかと悩んだ時期もありました。しかし診療を重ねて経験値を積み、開業したことで働き方も変わり、今は患者さん一人ひとりに合わせて治療方法を考えるなど、自分なりに工夫して楽しく診療しています。開業時から長く通ってくださる患者さんが多くてうれしいですね。赤ちゃんだった患者さんが、いつの間にかがっしりとした体育会系の学生さんになられていたり、時の流れを感じます。
近隣の保育園で園医もされているのだとか。
はい。保育園の歯科検診で子どもたちを診ています。虫歯が見つかったお子さんはその後クリニックにいらっしゃいますが、お子さんの診察をする際、「この子は治療ができそう、この子はできなそう」と決めつけないように気をつけています。私が「できなそうだな」と思ってしまうと、子どもたちは敏感にそれを察知して、本当にできなくなってしまうことも。反対に「できる」と思って臨むと、実際に治療を頑張ってくれたりするものなんですよね。決めつけないことが大事というのは、子どもたちから学びました。当院のスタッフはみんな子どもが好きですし、親御さんの治療中、スタッフがお子さんの相手をするときもあります。どうぞご家族で気軽に足を運んでみてください。大人も子どもも笑顔になれるようなクリニックづくりを心がけています。
高齢の方の診療では、どのような悩みが多いのでしょうか？
歯のチェックにいらしたり、入れ歯やブリッジを希望される方もいますが、一方で歯がぐらぐらになっても抜歯をしたくないという方もいたりします。何度も説明させていただきますが、お薬の関係もあり抜歯できない場合にはできるだけ噛み合わないように削る場合もあります。最近流行した新型コロナウイルス感染症の影響で外出する機会が減り、驚くほど体力や認知機能が落ちてしまった方もいらっしゃいます。それまでは定期的に受診して、きれいに磨けていたのに、来院期間が空くうちに足腰が弱り、身の回りのことがしづらくなって口の中も荒れ放題というケースですね。そういう方には、お口のお掃除はもちろん、外出する機会をつくる意味でも定期的な通院を呼びかけていたりします。
思いやりの心で築く、患者との信頼関係
診療時に心がけていることをお聞かせください。
まずは、患者さんの本当の悩みを見極めるようにしています。例えば歯の違和感を表現しづらくて「痛い」と訴える方もいますし、歯がぐらぐらになるまで放置したということは、歯磨きがしにくかったり歯科医院が苦手だったりと、何かしらの理由があるはずです。そして、何を解決すべきかがわかったら、患者さんと一緒に治療方法を考えていきます。デジタルエックス線の画像は鮮明で、歯の割れや根っこの状態までも把握していくことが可能です。その情報から抜歯をお勧めすべき状態だと判断できても、患者さんが「抜きたくない」とおっしゃるのなら、できるだけ抜かなくて済む方法がないかを考えていきます。
患者側の気持ちを大切にされているのですね。
そうですね。どうしても他に方法がない場合を除き、こちらから一方的に治療を押しつけることはしないようにしています。デメリットもお伝えした上で患者さんが選択される方法ならば、私は歯科医師として力を尽くすのみです。患者さんが納得している治療を受けてほしいと思っています。納得されないまま歯科医師本位で進めてしまうと、患者さんは治療に前向きになれずに来院されず歯科医院巡りをしてしまうかもしれません。そうすると症状がますます悪化して、取り返しのつかない状態になってしまうかもしれませんからね。治療にはお金も時間もかかりますし、それに対する患者さんの考え方も人それぞれ。そのことを肝に銘じながら日々取り組んでいます。
幅広く診療をされる中で、今、思うことはありますか？
未曾有の感染症や世界で起こる戦争や災害など、世の中全体で不安定なことが多いため、誰もが不安やストレスを感じているように思います。私たちも笑顔で対応することを心がけていますが、状況によっては、そのようにできていないと反省することもあります。ですが、私たち自身に余裕がないとその空気が患者さんにも伝染してしまい、不安感を与えてしまうことにもなりかねませんので、診療時間の見直しなど少しずつ環境改善を進めてきました。私たちと患者さんは歯科治療を通じて向き合っていますが、やはりそこは人と人。お互いが思いやりの心を持ちながらコミュニケーションを図り、信頼関係を築いていきたいですね。ここにいらしている間は、患者さんも私たちも笑顔でいたいと思います。
スタッフたちと助け合いながらより良いクリニックへ
こちらで働くスタッフについてご紹介ください。
徹底した滅菌消毒や患者さんへのお声がけなど、私の目の行き届かない部分をフォローしてくれる頼れるスタッフたちです。女性の場合、妊娠や病気、家族の事情など、さまざまな事情でライフスタイルが変わります。私も、子育てをしながら勤務医として働いていた頃、熱を出した子どもを保育園に迎えに行かなければいけなくなるけれど、代診の先生を立てられない状況もあるなど、予約されている患者さんにご迷惑をおかけする場面も多々ありました。また、以前は世の中全体として、女性ですと妊娠した場合は仕事を続けることが難しい雰囲気もありました。ですから私のクリニックでは、一生懸命やってくれるスタッフはしっかり守ってあげたいと思っています。クリニックにとってもご本人にとっても良い形を私も常に考えていますが、スタッフたちも自主的にシフト調整をしたりと協力して補い合ってくれています。
お忙しい日々の中、どのようにリフレッシュされているのですか？
コロナ禍にあった期間、家での楽しみ方など新たな発見がありましたが、最近はまた以前のように芝居や落語に足を運ぶようになりました。役者さんがすごく頑張ってパワーを使っていたり、観客と舞台の一体感を味わうと幸せを感じます。私はこの空気感が好きで、当院でもできるだけ心地よい空気が流れる場所にしたいと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
今は多くの人がストレスを抱えており、社会全体で余裕がなくなっているように感じます。ですがストレスをため込んだり、他人にぶつけたりするのは自分のためにもならないと思います。たとえば夕日がきれいだなとか、風が気持ちいいなとか、単純な幸せを感じることも必要だなと感じます。患者さんとのたわいない話をするだけでも私もうれしく感じます。また、当院でできる範囲ですが、障害のある患者さんの診療も行っていますのでご相談ください。粘膜やいろいろな歯周病に関しても効果が期待できる炭酸ガスレーザーも用意しております。これは赤ちゃんや妊婦さんも使用可能ですので、安心してご相談ください。これからも患者さんを笑顔にできるような治療と対応に努めますので、お気軽にいらしてください。
