あみなか歯科クリニック (中野区/東中野駅)
網中 健 院長の独自取材記事
JR東中野駅西口から徒歩1分の場所に 「あみなか歯科クリニック」はある。クチコミや紹介で来る患者が多く、半分以上の患者が電車に乗って遠方から治療に訪れるという。噛み合わせや矯正に力を入れ、上手く噛めない原因をしっかり追求して治療にあたる姿勢がとても頼もしい網中健院長。虫歯の治療も含め、どんな治療でも1時間ものカウンセリングをした上で、歯の状態、治療法やそのメリット・デメリットを伝えている。歯科医師の仕事がまるで趣味のように大好きと笑顔で語る網中院長に、仕事にかける熱い想いを伺った。
なぜ噛めないのか、原因を追究する気持ちがきめ細かい診察の原動力に
歯科医師になろうと思われたきっかけは?
小学校1年生のときに父をがんで亡くしているんです。父の闘病中、医師の先生方の仕事ぶりを間近で見る機会があったんですね。小学生ながらすごいことをやっているんだと思って、尊敬するようになりました。それからですね、医師になろうと思ったのは。小学校の卒業文集でも将来の夢は医師になると書いていましたね。それから後も、母子家庭ということもあって手に職を持ちたい気持ちは変わらず、医師や歯科医師、建築士などの国家資格を取るための学部を進学先として考えていたんです。その中で自分に合うものを考えたときに、子どもの頃から手先が器用だったことや、歯や顎に興味があったことから、高校時代に歯科医師になることに決めました。日本歯科大学に進学してからは、1、2年生の頃は遊べたんですけど、3年からは遊べなかったですね。でも、勉強は楽しくて、苦に感じませんでした。体のことを知ることが楽しかったですし、技工が得意だったので、友達の分までやってあげたりしていましたね。夜な夜な技工をやるぐらい好きだったんです。
学生時代に興味を持たれた分野は?
補綴と顎関節ですね。矯正をすることで、開けづらかった口がちゃんと開くようになったり、噛み合わせをどんな風にも変えられるのが興味深かったです。こういう治療をすれば噛み合わせがこんな風に変わっていくんだというのがわかったり、噛めないときにどうすれば噛めようになるのかを考えていくのが楽しかったんですね。16年前に開業して以来、今も噛めない原因をしっかり追求することを常に心がけています。噛めない原因を考えずに削って入れただけでは、他院で治療を受けてはかばかしくなかった患者さんに、よりよい治療を施すことができません。しっかり原因を明らかにして治療した結果、患者さんが噛めるようになるのがうれしいんです。
患者の主訴は、噛めないといった症状が多いんでしょうか。
当院には、下は2歳から上は80歳まで、いろいろな方がいらっしゃいます。虫歯から矯正、歯槽膿漏や顎関節症など幅広く診ていますが、なかでもうまく噛めないという方は多いですね。入れ歯のせいでうまく噛めないとおっしゃる方や、目の下の頬骨辺りに痛みがありうまく噛めないとおっしゃる方もいらっしゃいます。そういった方は、これまで歯科医院に行っても、虫歯ではないから痛み止めしか出してもらえなかったようですが、実際には、歯ぎしりをして、1本の歯ばかりに負荷がかかっていることで、頬骨の辺りが痛くなってくるということもあるので、噛み合わせを治療しないといけません。当院は、駅に看板も出していませんし、ホームページもないんですが、そういった噛めないことで悩んでいる患者さんが紹介でいらっしゃることが多いです。半分は電車に乗って遠方からいらっしゃる方ですね。
カウンセリングに1時間かけて、治療の内容を理解してもらう
噛めなくて困っている患者にはどのような治療が必要なのですか。
最初にデジタルカメラで、口の中の写真と、口を結んだとき、笑ったとき、横顔というように顔の写真を撮影して、その写真を見ていろいろな問題点を洗い出していくんです。そして、その問題点を改善するための治療法を複数ご提案します。どの治療法にも必ず長所と短所があります。何かを治療するためには何らかのリスクがついてくるんです。それは歯を抜くことなのか痛みなのか、それとも時間なのかお金なのか、選択する治療法によってさまざまですが、その長所と短所を天秤にかけてどの治療法にするかを患者さんが決めるわけです。ですから、それぞれの長所と短所しっかりご説明します。カウンセリングにはいつも大抵1時間はかけていますね。初診のときは、応急処置か簡単な話ですが、頃合いを見て詳しくお話しするようにしています。矯正の患者さんには、歯型を取って、治療後の状態がわかるように削ったものを見ていただいてご説明したりもします。
虫歯の治療でも同様にカウンセリングされるのですね。
虫歯の治療でも同じです。まずレントゲンを撮って、治療するしないは別に、今の歯の状態をお話しします。人それぞれ考え方が違うので、悪い歯を全部治したい方もいれば、今は痛みはないからこの歯はいいですとおっしゃる方もいます。時間がかかる治療なので、今は治療しないということであれば、治療しないという選択肢もあるんですね。治療を始める場合は、最初にどこを治すかは、患者さんとご相談の上、決めるようにしています。患者さんが何を望んでいらっしゃるのか、患者さんの生活や時間の中でできるご希望の治療をすることが大切だと考えています。
具体的にはどういった形でご説明されるのでしょう。
虫歯の方への説明には、自分で作ったマニュアルを使い、虫歯とはどういうものかといった話から、こういう虫歯であれば神経を取ることが必要といった治療のプロセスなどを、写真も一緒にご覧いただいて理解していただきます。患者さんの歯が今どういう状態で、それをどういう風に治すのかすべてご説明するようにしています。ご自身の歯の状態や治療について知っていただきたいんですね。患者さんのほうでも、もし何をやっているんだろうと疑問に思うことがあれば、何でも聞いていただきたいんです。なぜこういう治療をしているのかが最初にわかれば、次の歯の治療をしているときも、だいたいのめどがわかるじゃないですか。漠然と削って詰めたりかぶせたりするだけなら、誰でもできますが、大切なのは患者さんが納得し、満足いくように治療することですよね。電車に乗って遠くからわざわざいらしてくださるのですから、すべてにおいて万全を尽くさないと申し訳ないと思うんです。
やりがいや達成感を感じられる歯科医師の仕事が大好き
カウンセリングでは治療にかかる費用のお話もされるのですか。
一般歯科の場合、最初にお値段についてもお話しし、見積もりをお出しします。後から追加料金をいただくようなことはありません。お金の面はキチッとクリアにして、お互いにイヤな思いをすることがないようにしています。矯正の場合は、期間と費用をお知らせします。矯正は基本的に2年で治りますね。もし4年かかる方でしたら、もちろん最初からそう言いますし、初診の段階でだいたいの期間はわかるものです。2年で治ると言われたのに治らないと言って、セカンド・オピニオンを求めていらっしゃる方もいますね。全然痛みがとれなかったり、治療内容がわからないと思ったときは、相談だけでも来ていただきたいです。自分の体ですから、自分で守るようにしないといけないと思います。そのためにはやはりきちんと説明を受け、ご自身が納得することが大切だと思うんです。
歯科医師としての仕事のやりがいはどんな時に感じますか。
この仕事は、患者さんを治療する以外にも、歯型を作るなど細かな作業がいくつもあって、診察時間以外も作業をしています。家に帰ってから、デジタルカメラで撮った画像をフォトショップなどのパソコンソフトで加工したりすることもあって、夜中1時ぐらいまで働いていますよ。歯科医師の仕事が趣味みたいに感じられるぐらい、本当に好きなんです。やっぱり悪かった歯や噛み合わせが治って、患者さんに感謝されるのがうれしいんですよね。達成感も得られます。
プライベートでのご趣味は何でしょう?
ゴルフをやりますね。大学時代はスキーをしていましたので、体を動かすのは好きなんです。ほかには中学、高校の仲間と会うことですね。今でも仲がよく、月に1回は会っています。歯科医師は自分だけなんです。みんなそれぞれ、クリエイターや商社マン、海外勤務に行っていたりと多種多様な仕事をしているので刺激になりますね。慌しい毎日ですが、年に2回の健康診断では問題がありません。体を動かして、趣味で楽しんで、ストレスがないのがいいのかもしれないですね。歯科医師の仕事が大好きで、仕事で悩むことはありませんから。