ひだまり内科クリニック (四日市市/山城駅)
伊藤 公人 院長の独自取材記事
ひだまりのようにほっとくつろげるクリニックにしたいという思いを込めて、2024年春、四日市市上海老町のクリニックを継承し新規開業した「ひだまり内科クリニック」。開業にあたりリノベーションを行い、院内は白色で統一されバリアフリーに。伊藤公人院長は子どもの頃正義のヒーローに憧れ、人の役に立ちたいという強い思いから医師という道を進んだという。総合病院や大学病院の循環器内科や血液内科で研鑽を積み、その経験から同クリニックでも心臓の検査や健康診断後の2次検査にも対応すべく検査機器を充実させたという。「表面に見える痛みやつらさだけでなくその奥にある隠れた問題までしっかり向き合い診療していきたい」と話す伊藤院長の笑顔と声はとても優しい。新規開業にあたっての思いや患者への向き合い方についてじっくり聞いた。
気軽に受診できる「健康相談室」のような存在に
開業されて1ヵ月とのことですが、開業までの経緯を教えてください。
以前は総合病院で専門的な医療を極めていく毎日だったのですが、いろいろと学んでいく中で、次第に患者さんと直接触れ合うことが大事だということに思い至りました。今以上にもっと患者さんと触れ合いたいと考えるようになっていた時に、四日市市のクリニックを継承し新たに開業するお話をいただき今に至ります。以前ここで開業されていた先生は実は大学の先輩だったことがわかり、やはりご縁があったんだなと思いました。開業してみると、四日市の方々は温かい人柄の方が多く、患者さんもスタッフも良い方ばかりで、ここで開業して良かったと思う毎日です。
開業時にリノベーションされたそうですが、医院名や院内でこだわられたところはありますか?
「ひだまり内科クリニック」という名称は家族で相談して決めました。そのクリニック名のように、ひだまりの温かさを感じられるクリニックにしたいです。自分が子どもの頃にひだまりにいると落ち着いた記憶、それは家族との楽しい思い出にもつながっていて、患者さんたちもそんな落ち着いた雰囲気の中で何でも相談できる「何でも健康相談室」のようなクリニックにしたいなと。開業にあたりリノベーションを行いバリアフリーにし、院内はカフェをイメージし開放感ある高い天井を生かした造りになっています。待合室には2つのモニターを設置し、1つは世界の美しい風景などを、もう1つは医療情報やそれに関連したクイズで患者さんも楽しめるような工夫をしています。クリニックのロゴは、子どもの笑顔に虹がかかるイメージです。ロゴの子どもの笑顔が、うちの子どもにちょっと似ているんですよ。
設備や検査機器についても教えてください。
私の専門は血液内科と循環器内科です。例えば高血圧や心不全、不整脈などは循環器内科が担当する分野です。当院では心臓の検査がしっかり行えるよう、心エコーは先端の機器を導入しています。また、24時間心電図を測ることができるホルター心電図、血管の硬さやつまりを調べる脈波の検査機器も用意しました。もちろん一般内科全般の検査も行いますので、院内で結果が得られる血液検査、エックス線、尿検査、超音波検査など充実した検査体制を整えています。
かかりつけ医院として、深層に潜む痛みや悩みにも対峙
貴院の診療方針についてお聞かせください。
4つの「まち」を持ったクリニックでありたいなと思っているんです。1つ目の「まち」は「町」。誰もがいつでも気軽に訪れることができる町のクリニックでありたいです。2つ目は「街」。健康的な街づくりに主体的に関わっていくクリニックですね。そして3つ目は「味」なんですが、この字は実は「あじ」以外にも「まち」という読み方があります。味わいのある魅力的で個性のあるクリニックをめざしたいと思います。そして最後の4つ目は、患者さんたちの多種多様なニーズに寄り添い「マッチ」したクリニックでありたいです。こんな4つのさまざまな「まち」を持ったクリニックになりたい、スタッフみんなでそんなクリニックを作っていきたいと思っています。
先生が診察時に心がけていらっしゃることはありますか?
クリニックへ行こうと決意されるまでには、患者さんはさまざま大変な思いを抱えていらっしゃると思います。私が患者さんを診て聞いてわかる思いはその一端であり、例えるなら氷山の一角でしかないと思うんです。ですから、診察時にはもっと奥につらいことや問題が隠れているのではないかと思案しながらお話を伺うようにし、その実態像を探るようにしています。そういった奥にある問題は患者さん自身もよくわかっていなかったり、自覚がなかったりすることも多いので、表面だけ良くなったらそこで終わりということではなく、奥にある問題に対し患者さんと一緒に対峙していけるようにと日々診療にあたっています。当院のスタッフにもそのように患者さんに心を寄せていくように指導していますし、私自身も日々勉強を怠らないように努力しています。
専門の診療だけでなく、かかりつけ医院として幅広い疾患に対応されているんですね。
私は日本内科学会総合内科専門医の資格を有しています。病気だけを診るのではなく、患者さん自身を診たいと考えています。そのためには、専門の心臓だけを診るのではなく、総合的かつ複合的に患者さんの体のさまざまな悩みや不安に向き合っていく、かかりつけ医院として患者さんに寄り添っていきたいと思います。また、日本血液学会血液専門医の資格も有していますが、これまで血液内科の診療の中などでがんの終末期の患者さんを担当させていただく機会を多くいただき、さらに緩和ケアチームの一員として患者さんのつらさや苦しみを和らげるということを実践してきました。そのような緩和ケアで実践してきた内容をプライマリケアにも応用していきたいと思っています。物理的な痛みだけではなく気持ち的な痛みも含めて対応していけるクリニックでありたいですね。
歴史を大切にしつつ、より良い医療の提供をめざして
地域との連携も大切にされていらっしゃるとか。
私は現在も週に1度、近隣の総合病院である菰野厚生病院に勤務し、血液内科の外来診療を行っています。地域連携は非常に重要なことだと考えていて、当院だけでは対応できないことや完結できないこともあるので、そのような時は地域の基幹病院に紹介する体制を整えています。また、総合病院だけでなくクリニック、例えば眼科や泌尿器科といった当院では対応が難しい疾患の患者さんが来院された場合にも、近隣クリニック同士で連携することで、スムーズな診療につなげられるようにと思っています。今後そのような地域のネットワーク作りをさらに強化し、協力しあえる仕組みを作っていければと思っています。
以前のクリニックを継承されたわけですが、守り続けたいことと新たに実践したいことをお聞かせください。
以前のクリニックから変わらず通ってくださる患者さんもたくさんおみえになります。これまで受けてこられた診療は患者さんにとって歴史の1ページというべきものでもあり尊重されるべきことだと思います。患者さんにとって、新しい医師の診療を受けるというのは少なからず戸惑いはあると想定されるので、患者さんにも「今までと変わらず同じようにやっていきましょう」というお話はさせてもらっています。さらにその上で、今まで私が学び培ってきたことを、より良い形で患者さんの診療に生かしていきたいです。改善すべきところはしっかり対応し「今以上に良くなっていく」ことを患者さんと共有しながら、より良い診療を行うことをめざしています。
開業されて1ヵ月。どんなクリニックをめざされていますか? 併せて読者へのメッセージをお願いします。
地域に根差したクリニックであることを常に念頭に置き、健康のパートナーとして地域の皆さんが健康な生活を送れるように、患者さんのさまざまな痛みやつらさ、悩みに対応していけるようにしたいですね。また会社などで健康診断を受け2次検査が必要な場合にも、会社帰りに気軽に利用してもらえるクリニックになれればと思います。当院は、ウェブやSNSで診察予約も取れますので、活用してください。また、今後の展望として、休日にコンサートなどを催せたらと考えています。実は妻がピアニストで、内覧会でもアンサンブルコンサートを行い皆さんに喜んでいただきました。今後もそういう機会を増やし、サロンのような地域の方に親しんで楽しんでいただける催しを行っていけたらいいなと思います。