CLINICNo7名古屋伏見 (名古屋市中区/伏見駅)
坂野 文彦 院長の独自取材記事
名古屋市を代表するオフィスビルが立ち並ぶ伏見エリアにある「CLINICNo7名古屋伏見」は2024年2月に開院。大理石調のフロアタイルやシックなダークグレーのカウンター、木目調の壁に映える金色の「CLINICNo7」というロゴマークはまるでヘアサロンのようだ。「僕自身、クリニック独特の緊張感のある雰囲気が苦手で、患者さんには美容室に来るような気軽な気持ちで通っていただきたいと思ったんです」と、朗らかに話す院長の坂野文彦先生。坂野院長は、内科と脳神経内科を専門とし、同院では内科・小児科・脳神経内科を標榜している。土曜日と日曜日にも診療し、忙しい患者でも無理なく通えるクリニックづくりを心がけているという。今回は坂野院長に、開院の経緯や診療の特徴、今後の展望などを聞いた。
「仕事終わりに受診しやすい」ビジネス街で開院
開院の経緯をお聞かせください。
これまで大学病院や市中病院で認知症や脳梗塞の患者さんをよく診ていたのですが、治療が困難な重症化した状態で来院される方が多くて……。大きな病院にかかる前に病気を発見したり、病気になる前に病気を予防するための知識を伝えたりできれば、健康寿命をもっと延ばすことができると思い、開院を決めました。開院場所にビジネス街を選んだのは、病気の早期発見・予防のためには、やはり20~30代の若い世代へのアプローチが必要だと感じていたからです。藤田医科大学ばんたね病院勤務時代に、例えば、同じ脳動脈硬化症の患者さんでも、居住地域によって症状の進行度合いがまったく異なることを痛感しました。私は医療の地域格差は、病気のことを身近に知る機会があるかないかという点にあると思います。職場から近く、仕事終わりに気軽に行けるクリニックになることで、若いうちからクリニックにかかる人を増やしたいと思いました。
なぜビジネス街の中でも伏見を選ばれたのですか?
多くの人が集まるビジネス街に対して、クリニックが少なかったからです。実は昨年伏見に引っ越してきて、子どもを連れていくクリニックが見つけられず困ってしまって、それに気づいたんです。伏見の再開発に関わっている親戚から、この錦二丁目7番街エリアでクリニックを増やしたいという話があることを聞き、内科や脳神経内科を専門とするかかりつけ医として、地域の方や伏見で働く皆さんのお役に立てればと思いました。クリニック名はその「7番街」が由来です。この辺りはもともと繊維街で、住民の皆さんは誇りを持っていらっしゃいます。地域に入り込ませていただきたいという思いから「No7」としました。
患者さんはどのような方が多いですか?
再開発で建てられたマンションなどにお住まいの子育て世代の親御さんと、そのお子さんが多いですね。昔から住まれている中高年の方々もだんだん足を運んでくださるようになってきて、うれしく思っています。内科診療の主訴は発熱や風邪、生活習慣病などさまざまです。脳神経内科は頭痛を筆頭に、手足の痺れや痛み、震えなど。脳神経内科を標榜するクリニックはあまり多くないからか、近隣の会社に勤めるビジネスマンの方がお昼休みや仕事帰りに立ち寄ってくださることも多いです。土日診療では市外から通院いただく方も多く、ありがたく感じています。
総合的かつ専門的な医療で幅広いニーズに対応
診療の特徴を教えてください。
脳神経内科の中でも、私は頭痛の診療を得意としています。例えば、頭痛に関して、血の濃さを示すヘモグロビン値は正常なのに、体内の貯蔵鉄の減少から頭痛をはじめさまざまな症状を引き起こす「隠れ貧血」というものがあります。実は、一般的な内科の検査セットには、この貯蔵鉄を示す項目が入っていないので、医師が疑わない限り実施されません。だからこそ脳神経内科を専門とする医師として、問診を通じて気づき、検査することを徹底しています。また、採血に対する患者さんの心理的・時間的負担が軽くなるよう、指先からの少量の採血でヘモグロビンや生活習慣病関連の数値を当日中に出すための検査機器も導入しました。
先生は専門の脳神経だけでなく、一般の内科にも精通されていますね。
はい。私は日本内科学会総合内科専門医の資格も持ち、さまざまな疾患に幅広く対応可能です。高血圧症・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病や、持病をお持ちの方など、どのようなお悩みもご相談いただきたいですね。専門医の資格はカリキュラムにのっとり、トレーニングを重ねた上で、専門的な試験をパスした証であり、大学病院などとの連携も条件の一つです。当院は近隣18の施設と連携していますので、より精密な検査が必要な際にはオンラインですぐに予約が取れるようになっています。かかりつけ医として、総合的かつ専門的な医療を提供していきたいですね。また、専用予約枠を設けて、できる限りカウンセリングの時間を取っていることも特徴の一つ。健康づくりに興味がある方や「他院で治療を受けているけれど、プラスアルファで症状の改善につながる方法があれば知りたい」という方は、気軽にご相談ください。
仕事や子育てで忙しい人でも通いやすいように、3つの工夫をされているそうですね。
そうなんです。1つ目は、会計を待たずにクレジットカードで自動決済ができる予約アプリと薬局に行かずに宅配便で処方箋の薬が受け取れるサービスを導入して、待ち時間を軽減しています。アプリとサービスを併用すれば、診療後すぐに帰宅できるのではないでしょうか。2つ目は、もし待ち時間が生じた場合、当院から徒歩2分の距離にある喫茶店2階のラウンジスペースを待合として利用できます。順番まで喫茶店で仕事をしたり、ラウンジのキッズスペースでお子さんと遊びながら待ったり、できるだけストレスなく過ごしていただけるようにしました。3つ目は、平日21時までの診療と土日の午前中診療です。退勤時間が遅い方や子育て中の方など、さまざまなライフスタイルの方が受診しやすい診療体制にしています。
「最初に」相談されるかかりつけ医に
脳神経内科医を志した理由を教えてください。
幼い頃から医師として働く父の背中を見ていて、小学生の頃から医師になりたいと思っていたんです。医師として懸命に尽くす父の姿は本当に格好良く、今でも脳裏に焼きついています。藤田保健衛生大学医学部卒業後に脳神経内科を志望したのは、研修医時代、家族が病気になって在宅介護をしていた時に、「自分に脳神経に関する知識があれば役に立てることがあるかもしれないのに」と歯がゆい思いをしたことが大きいです。この経験をしたからこそ、今、医師として患者さんの立場に立って、ご相談に乗ったり、診療方針を考えたりすることができるのかもしれませんね。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
気軽に相談いただけるようなコミュニケーションを心がけています。患者さんのお話の中には診療のヒントが隠されているからです。医師が怖いと患者さんが萎縮してしまい、医師に伝えたいことも話せませんので、「話しやすい医師」を意識しています。特に隠れた頭痛を見つけるには、「先生だったら些細な症状でも話してみてもいいかも」と思える信頼関係が重要です。実際、患者さんの中には、2回目や3回目の来院で「実はひどい片頭痛に悩んでいて」と打ち明けてくださる方も多いんですよ。また、私には2人の子どもがいますが、子育てをするようになって、小児診療時の心構えにも影響がありました。子育てというのは思いどおりにいかないことのほうが多く、それが当たり前だと気づいたんです。その経験から、ご家庭の実情に合わせて柔軟にアドバイスすることも心がけています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
私は勤務医時代に脳梗塞や脳出血をたくさん診てきましたので、生活習慣病の患者さんをより多く診察していきたいですね。健診で引っかかったけれど「忙しくて放っていた」「まあ、大丈夫だろう」という方が多いのですが、予防のためにも1度相談に来ていただけるとうれしいです。また大学時代はパーキンソン病について研究していたので、神経変性疾患の患者さんも診ていきたいです。今後も総合的かつ専門的な医療を提供し、地域の皆さんが「最初に相談したくなる」クリニックをつくっていきます。そして、ご家族の健康をサポートしつつ、お子さんの成長を見守り、私も成長させていただく。そんなかかりつけ医をめざしています。