かずき内科中川駅前クリニック (横浜市都筑区／中川駅)
佐藤 和己 院長の独自取材記事
小さな子どもから、生活習慣病の働き世代、高齢者まで多くの患者が来院する「かずき内科中川駅前クリニック」。佐藤和己院長は、もともと呼吸器の専門家で、同院では、喘息や気管支炎などを診る呼吸器内科と、生活習慣病などに対応する内科の診療を行う。もともと田園都市線沿線で育ち、横浜の病院で医師としての基礎を培ったという佐藤院長。開業して、多くのクリニックの中から同院を選んで来院する患者に接することに、大きな責任感とやりがいを感じると語る。そして受診しやすい環境づくりや治療を続けやすい工夫など、一人ひとりの患者の状況に合わせてきめ細かい対応を心がける。優しく穏やかな語り口から誠実な人柄が伝わってくる佐藤院長に、その診療の特徴や医師としての思い、新型コロナウイルス感染症流行の影響などを聞いた。
専門性を生かした呼吸器内科、幅広い内科の診療を行う
まず、こちらのクリニックの特徴を教えてください。
「地域医療に貢献したい」との思いで、2011年に開業して以来、僕の専門である呼吸器内科と、内科一般の診療を行っています。呼吸器内科では、長引く咳や息苦しさ、息切れ、胸の痛みなどの診療や、喘息、咳喘息、慢性閉塞性肺疾患（COPD）といった呼吸器疾患の管理を行います。内科では、風邪や胃腸の不調、循環器疾患、生活習慣病の管理など幅広く対応し、睡眠時無呼吸症候群診療や禁煙治療も行っています。健康診断に加え、肺がん検診などにも対応しています。
開業の際の思いやこだわりを聞かせてください。
子どもの頃から田園都市線沿線に住んでいましたので、この辺りは親しみを感じるエリアでした。開業までは神奈川県内の複数の病院で勤務医をしていましたが、僕の医療の基礎は横浜市内の病院で培われたもの。ご縁があって横浜のこの地で開業し、原点に帰ったような気持ちでした。院内で特にこだわったのは、広くゆったりとした待合室と、適切な処置が行える十分なスペースをとった処置室です。バリアフリーにも配慮していますし、駅前という立地は、皆さんに楽に安心して通っていただけるのではないかと思います。イメージカラーは、穏やかで自然を連想できるグリーン。僕自身も一番しっくりと感じる大好きな色です。
どのような患者さんが多いのですか。
小さいお子さんから高齢の方まで年齢層は幅広く、僕が専門とする呼吸器の症状で来院される方が多いですね。開業当初は30〜40歳代の方が比較的多かったのですが、最近、高齢の方も増えてきました。この地域の方は、いろいろな病気にも詳しく、たくさんあるクリニックの中から「呼吸器ならここに」と選んで来院してくださっているような印象を受けます。耳鼻咽喉科と呼吸器内科は、似たような症状を扱うこともあるため、同じクリニックモール内の耳鼻科咽喉科とは患者さんを紹介し合うなど連携しています。
日々の診療の中で患者から学び、気づきを次に生かす
呼吸器内科での診療について教えてください。
長く続く咳の原因はアレルギー、喘息の症状、風邪をひいた後に長引くものなどさまざまで、中には結核や肺炎、肺がんなど重大な病気が潜んでいる場合もあります。2週間以上咳が続くなら医療機関の受診が必要です。最近、気管支喘息の中では呼気中の一酸化窒素が高まるという結果が出ていますので、それを検査で数値化して、ある一定の数値が上がっている場合は喘息に伴う炎症が強いであろうという判断のもとで治療を行います。喘息の場合は長期的な治療が必要になりますが、近年増加している咳喘息の場合は、例えば季節的なものが要因として強い人であれば、その時期を狙って治療し状況を見て治療を止めるというように、必要な期間の治療を行うこともあります。また、最近の喘息治療は「発作を起こさない状態に維持する」という目的で行うのが主流です。ステロイド剤に抵抗がある場合もよくご説明して、安心して治療を続けられるような対応を心がけています。
診療する上で大切にしているのは、どのような点ですか。
可能な限り時間をかけて、しっかりお話を伺うことです。病気のことだけではなく、ちょっとした雑談でも話をするだけで気持ちが楽になる方もいらっしゃいます。当院にいらして、少しでもリラックスしていただけたらうれしいですね。また説明する時はなるべく難しい医学用語は使わず、わかりやすく話すことも心がけています。患者さんの症状はさまざまですので、教科書どおりに行かないことがほとんどです。患者さんから教えていただくことも多いですね。日々、診療の中で新たな発見や、次に生かしていくべき課題と出会っていると感じています。
ところで、そもそも医師を志した理由は？
父が内科の医師で、母方の祖父も歯科医師でしたから、医療関係の仕事には小さい頃からなじみがあり、いつの間にか医師になりたいと思っていました。父が診療している姿を間近に診ていたわけではないのですが、夜勤で忙しそうにしていた印象は残っています。「大変だなあ」と思う気持ちの中にも、どこか憧れのようなものがあったのだと思います。「医師になれ」とは言わなかった父ですが、実際に僕が医師になってからは「自分の専門分野・得意分野を持て」とアドバイスしてくれました。呼吸器内科を専門に選んだのは、父が呼吸器疾患で体調を崩し病院でお世話になったことがきっかけの1つです。呼吸器内科の医師として、喘息で苦しそうな患者さんの症状の改善をサポートできるのが本当にうれしいですね。この道を選んで良かったと心からやりがいを感じる瞬間です。
開業10年を経て地域に浸透。さらなる地域貢献へ
専門的な立場から気になることがありますか。
コロナ禍による受診控えで、喘息の症状が悪化するケースなどもありました。最近、受診控えは収まってきましたが、検診・健診控えはまだ続いています。職場の健康診断の延期や、がん検診を受けない人が目立つように見受けられます。その結果、従来ならば早期に見つかっていたと考えられる病気が、進行してから見つかる例が増えていますので、ぜひ従来どおりに検査・健診を受けていただきたいですね。新型コロナウイルス感染症にかかった後、咳が続いている方が増えてきたのも気になります。感染症が引き金となって咳喘息を発症したケースもありますので注視が必要と考えています。喘息やCOPDといった呼吸器疾患のある方は、呼吸器内科できちんと診療を受け、感染予防にも引き続き注意していただきたいですね。
開業して10年を経て、どのような思いがありますか。
開業医として、より一層責任感を持って積極的に診療に向き合えるようになったと思います。数あるクリニックを調べ、わざわざ当院を選んできてくださる。僕を信頼していただいているわけですから、とてもありがたく、やりがいを感じるのと同時に大きな責任を感じています。患者さん一人ひとり、その方に適した治療、そして今の僕にでき得る、より良い診療ができるよう、これからも努力していきたいですね。展望としては、地域密着型のクリニックとして幅広い診療を行いながら、引き続き生活習慣病、禁煙や睡眠時無呼吸症候群の治療、専門分野である呼吸器疾患の診療にも力を入れていきたいと思います。開業して10年を経て、当院での症例も増えました。自分なりの診療スタイルも確立してきましたので、それを踏まえ、この地域の医療に貢献すべく、他の診療科や医療機関との連携も充実させつつ精一杯取り組みたいと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。
長く続く咳や、息苦しさ、息切れ、胸の痛みなどが気になる方はぜひ呼吸器内科を受診してください。また、当院は広く内科診療にも対応していますので、気になることは気軽にご相談ください。生活習慣病は、自覚症状がないので、異常を指摘されているのに放置しているケースも目立ちます。放置して、何かあったときに「あの時に治療しておけば」となるのは本当に残念です。そんな事態にならないように、何か異常がある場合は精密検査を受けるなどの行動を起こしてください。睡眠時無呼吸症候群については、最近、注目されるようになって、検査や治療を受けたいと受診される患者さんも増えてきました。感染症の重症化リスクともされていますので、いびき、夜繰り返し目覚める、昼間の眠気といった症状のある方は早めに受診していただきたいですね。
