かしいはま内科・内視鏡クリニック (福岡市東区/千早駅)
木下 展克 院長の独自取材記事
西鉄バス・イオンモール香椎浜バス停より徒歩5分の場所に2023年9月1日新規開院した「かしいはま内科・内視鏡クリニック」。待合室には明るい日差しが注ぎ込む大きな窓があり、白と木目の雰囲気を基調としたとても爽やかで明るい雰囲気が漂う。院長を務めるのは、秋田と福岡で、内科と消化器内科の幅広い経験を積んできた木下展克先生。木下院長は大腸がんや胃がんで命を落とす人が多い現状を憂いており、「胃がんや大腸がんは、定期的な検査・検診で防げる可能性のある病気です。だからこそ、多くの方に気軽に検査を受けにきていただき、がんの早期発見に努めていきたいです」と力強く語る。そんな木下院長に、クリニックの診療方針、力を入れている内視鏡検査の方法、地域医療に懸ける思いなど、さまざまな話を聞いた。
勤務医時代、患者を多角的な視点から診る力を育てる
先生が医師をめざしたきっかけをお聞かせください。
親族に医師がいるわけではないのですが、生まれつき右目が弱視だったので、幼稚園の頃から総合病院の眼科に定期的に通っており、病院や医師という職業を身近に感じていました。学生時代は機械工学が好きで、エンジニア系の職業を念頭に工学部への進学も考えていたんです。本格的に進路を検討する際に大学のオープンキャンパスに行った時、友人の誘いで医学部の見学に行きました。その時にとても丁寧に医学部の進路の話をしてもらい、難しい病気の話や標本など見せてもらう中で、少し遠い存在だった「医師」という進路の選択が身近に感じられたんです。奥が深いけど、勉強などをしっかり頑張れば手の届くところにある、医師という道を選んでみたいと思うようになったのがきっかけですね。
開院までのご経歴や、勤務医時代に学んだことなどを聞かせてください。
秋田大学医学部を卒業し、同大学病院の消化器内科に入局しました。胃がんや大腸がんなどの消化器系がんに対する化学療法、抗がん剤治療、緩和ケアなどの自分の専門領域を学べたのはもちろん、このほか、抗がん剤治療中に抵抗力が落ちて生じる肺炎や、皮膚のトラブルの対応なども含め、幅広い症例に携わることができました。何か一つの技術をずっと磨くというよりは、消化器内科に関する日々の診療から末期がんの診療まで、幅広く経験させてもらえたのです。当時一緒に働いていた先輩方にもいろんなタイプの方がいて、それぞれに得意分野がありましたので、診療はもちろん、患者さんとの接し方や内視鏡の技術などを本当に幅広く学ばせていただきました。当時の経験のおかげで、さまざまなケースを想定しながら、先を見据えた治療方針が立てられていると思います。
内視鏡の検査・治療の技術も勤務医時代に研鑽されたのですね。
はい。先輩方からは本当にたくさんの技術を学ばせていただきましたね。内視鏡検査において、その先生が上手か否かはそのスピードや丁寧さでわかるのですが、先輩の先生たちの中には、ただただ検査をこなすのではなく、患者さんの苦痛が最小限でかつスムーズな検査に注力する先生方が非常に多くいらっしゃったんです。その後も秋田の大学や関連病院、そして地元福岡の総合病院で勤務医として働きつづけてきましたが、立場上専門領域に集中することが多く、患者さんのいろんな訴えをお聞きして対応できる時間が少なくなってきました。患者さんの近くで密なコミュニケーションを取りながら医療をしていきたいと思うことと、自分の考えや頑張りがもっとダイレクトに反映される環境に身を置きたいという気持ちが強くなり、クリニック開院を決めました。
早期発見のため、苦痛の少ない内視鏡検査を提供したい
クリニックで行っている診療内容や、治療について教えてください。
当院はクリニック名にもあるように、内科の診療、消化器の内視鏡検査を中心に行っています。患者さんは、風邪や感染症などの疑いで内科として受診される方、自治体の検診で来られる方、不調をきっかけに胃や大腸の内視鏡検査を希望される方、その目的はさまざまです。内視鏡検査については、一般的な胃がん・大腸がん検査だけでなく、大腸ポリープの切除まで対応しています。胃がんや大腸がんで亡くなる方はまだまだ多いのですが、早期発見をすることができれば、根治も十分見込める病気です。そして早期発見のためには内視鏡検査が役立つので、ぜひ積極的にお受けいただきたいですね。
内視鏡検査に抵抗感のある方もいらっしゃると思いますが、どのような工夫をされているのでしょうか。
昔内視鏡検査を行って、苦しかったり痛かったりした方は、特に抵抗感があるというお話をよく聞きます。今では技術も発展しており、当院でも新しい設備を導入して、苦痛に配慮した検査を行っています。胃の内視鏡検査においては、嘔吐反射を軽減するために外径が細い細径内視鏡を採用しています。また、ご希望や状況に応じて鼻から入れる経鼻内視鏡検査にも対応しています。さらに鎮静剤を使用した検査も可能です。鎮静剤を使用することで喉や体の力が自然と抜けることが期待でき、内視鏡の挿入がスムーズにいくことだけでなく、痛みや嘔吐反射の軽減も望めます。鎮静剤を使用した際は、術後しばらくリカバリールームでお休みいただけます。また、お帰りになる際、車や自転車などの運転はできませんので、公共の交通機関などをご利用ください。
その他に内視鏡検査における設備面のこだわりや、特徴などを教えてください。
鎮静剤を用いた内視鏡検査を行う場合、患者さんは自分で移動することができません。そのため、内視鏡検査室とその後のリカバリールームはつながっており、患者さんは移動のできる検査台に寝てもらい、検査後そのままリカバリールームに移動できるようにしています。また、大腸内視鏡検査を行う際に、そのまま見つかったポリープを切除することがあります。小さなポリープまでの対応となるクリニックも多いですが、当院ではその切除を行う際に用いる高周波装置についてもこだわって導入しており、大きめのポリープも患者さんの容体を踏まえ、安全性を重視しながら切除を行うようにしています。
患者ファーストで、診療に取り組むことをモットーに
診療時に心がけていることは何ですか?
何よりも患者さんファーストで物事を考えるということです。クリニックの都合、医療行政の都合で考えるのではなく、目の前の患者さんにとって一番良い選択肢は何だろう、と問いかけながら日々の診療に取り組んでいます。クリニックの都合を患者さんに押しつけたとしても、それはいろんな面でトラブルの原因にもなるだけでなく、信用問題にもつながります。きちんと信頼・信用される医師となれるよう、たとえ手間や時間がかかったとしても、患者さんファーストで診療を進めて結論を出すほうが、患者さんにとってもクリニックにとってもハッピーなのではないかと思っています。
お忙しい毎日かと思いますが、診療後や休日にはどのようにリフレッシュしていますか?
10年前禁煙したときに心肺機能のリハビリテーションと思ってジョギングを始めました。近頃は家族ともジョギングしています。香椎浜周辺も海沿いにとても良いジョギングコースがあるんです。信号もなく、車道とジョギングコースがしっかり分かれているので子どもとも安全に楽しめています。心地の良い海風を感じ、福岡アイランドシティのきれいな夜景を見ながら走るのが好きですね。
これからの展望をお聞かせください。
まずは地域の皆さんに当院のことを知っていただけたらうれしく思います。内科診療に関しては幅広く対応していますので、少しでも気になることがあったら来院されてください。胃がん・大腸がんはとにかく早期発見が重要です。胃がん検診を利用したり、人間ドックを利用したりして、40歳になったら必ず1度は検査を受けてください。そして、少しでも異常所見があれば、その後も1年に1回の定期検診を。まったく異常がなかったという方も、数年に1度は検査を受けていただきたいです。もちろん検査結果や体調次第でその期間は変わりますので、まだ内視鏡検査を受けたことがない人、少しでも胃や腸のトラブル、予兆を感じている人は、気軽に検査を受けに来てほしいですね。この地域は働き盛りの方も多くいらっしゃるので土曜日も診療しています。地域の皆さんの健康づくりをサポートできるクリニックでありたいですね。