さわだ矯正歯科西院クリニック (京都市右京区／西院駅)
澤田 大介 院長の独自取材記事
右京区西院、四条中学校の北側に広がる住宅街の中にある「さわだ矯正歯科西院クリニック」。もともと澤田大介院長の実家があった場所に、同クリニックが開院したのは2020年6月のこと。「ここから小、中、高校へと通いました」と懐かしそうに振り返る澤田院長は、「地域の方に、わざわざ遠くまで出向くことなく気軽に矯正治療を受けてほしい」と思い描く。幼少期には虫歯が多く抜歯も経験したという澤田院長は、開業後も新たな矯正技術を追求し、「抜かない矯正治療」にこだわってきた。現在も診療の先頭に立ち、若い歯科医師への指導も行いつつ、国内外へ出向き患者のニーズに応える治療技術を磨き続けている。取材では、幼少時からの歩みや同クリニックならではの矯正治療について、詳しく聞いた。
子ども時代の治療経験から、矯正専門の歯科医師へ
こちらは、もともとご実家があった場所だそうですね。
はい、実家と実家が営む民宿があり、私は高校卒業までここで育ちました。地元の山ノ内小学校から四条中学校へ進み、小学校から仲が良かった友人とハンドボール部に入りました。顧問の先生が長岡京市のご出身で、とても厳しい方でしたが親身にご指導いただき、長岡京にある高校にもよく練習試合に行ったものです。その後、塔南高校でもハンドボール部に入り、友人らとインターハイをめざして練習の毎日でした。そのかいあって、高校3年の時には私学の強豪校を破り京都で優勝して、インターハイで一勝できたのがうれしい思い出です。ハンドボールだけでなく勉強も頑張りました。中学、高校では部活の後に毎日塾へ通い、部活を引退してからは受験勉強に打ち込んで、岡山大学歯学部へ現役で進むことができました。
歯科医師をめざしたのはなぜですか。
小学生の頃は甘いものが大好きで、15本ぐらい虫歯があって、毎日のように歯科医院へ通うような子でした。よく治療していただけたなと、今になって思いますね（笑）。それでもあまりに虫歯がひどく、6年生の時には後からブリッジにする予定で永久歯を2本、抜歯しました。ですが、中学生になって新しくできた歯科医院に行くと、抜歯したスペースがなくなっていて、ブリッジは必要ないと言われました。実は、歯を抜いたことで姿勢が悪くなったり、活舌が悪くなったりして、非常に悩んでいたのです。ですので、スペースがなくなった不思議さと、抜歯した無念さをずっと感じていました。その先生はとても優しい方で、そんな私の前歯を差し歯にして、歯に抱いていたコンプレックスから解放してくれたのですね。このような経験があり、歯科医師をめざすようになりました。
矯正専門のクリニックを開業された理由をお聞かせください。
大学では、科学者の視点に立って歯学と向き合うように指導を受け、講義もアカデミックで最先端の内容でした。そこで、虫歯や歯周病は完治する時代が来るかもしれないが、歯並びは悪化する一方であると実感して、矯正を専門に選んだのです。ただ、矯正の技術は日進月歩です。私は開業して20年以上になりますが、開業当初と今とでは、行っている治療法は大きく異なります。進歩する技術に対応して、それを日々の治療に反映していくために、矯正に特化した専門性の高いクリニックにしたい。そう思って、1998年に長岡京市に「さわだ矯正歯科クリニック」を開業しました。開業後も、治療法や装置の開発に試行錯誤してきましたが、再現性の高い治療、どの歯科医師が担当しても同レベルで施術を行える矯正技術がおおよそ確立したので、5年ほど前から分院をつくるようになり、西院にも開業したわけです。
抜かない・目立たないを実現する治療の工夫
実際にどのような矯正が受けられるのか、教えてください。
私自身の経験から、「できるだけ歯を抜かない治療」、「目立たない、見た目に配慮した治療」を大事にしています。歯並びが悪いのは、永久歯が正しい位置よりも内側や前側にずれていることが根本的な原因であると考えています。さらにずれた位置で噛み続けるので、力がかかり、エックス線で見ると歯の根っこも前に倒れていることが多い。そこで永久歯の矯正では、アンカースクリューという小さなネジを歯茎の骨に埋め込み、そこにゴムやばねをひっかけ、歯列全体を外側、後側にずらしていきます。これによって歯が外側や後側に移動すればスペースが広がり、歯を抜かずに矯正を行っていけるのです。当クリニックではこのアンカースクリューとリンガルアーチという金属製のワイヤーを組み合わせて歯の位置を整えることを図り、ご希望に応じてさらに精密な仕上げを行います。どれも歯の裏側や奥につける装置ですので、目立たず矯正ができます。
では、子どもではどのように矯正するのですか。
永久歯が正しい位置からずれているのは、乳歯の時点で、内側や前側にずれて生えているからだと考えられます。そこで当クリニックでは、乳歯から永久歯に生え替わる時期に床矯正装置を使用し、歯列をより外側・後側に移動させることを図り、永久歯が正しい位置に生えてくるよう促します。早ければ6～7歳、前歯4本が生え替わる8～9歳で歯並びを気にして受診される方が多いですね。その時期からスタートできれば、永久歯が生えそろう12歳頃にかけて矯正を続け、正しい位置へ生えるようサポートすることができます。この装置も歯の裏側や奥側に装着し、シンプルな構造ですので手入れが簡単です。通院も4～6週間に1回の間隔でよいので、日常生活を大きく変えることなく矯正ができると思います。
初診から治療までの流れを、簡単に教えてください。
最初は歯科衛生士との面談で、お悩みについて詳しくお聞きし、考えられる治療法やおおよその費用をお伝えします。ホームページではさまざまな治療例を詳しくご紹介していますので、イメージをつかんでもらいやすいと思います。最近では、お子さんの虫歯が非常に減っていて、初めての歯科治療が矯正になる、という方も珍しくありません。治療を決心されてから詳しい検査や治療方針の相談に入りますので、不安に思うことがあれば、ぜひ納得できるまで聞いてください。ただ、お子さんの矯正は、適切な時期に始められれば負担が少ないので、大人になってから後悔されることがないように、必要な方には治療をお勧めしています。治療期間は2～4年と、矯正内容によって個人差があります。治療中はコンピューター上で情報を共有していますので、どの歯科医師からも、あるいはグループ内のどのクリニックでも、同じ治療を受けることができます。
治療後のメンテナンスで歯の健康を長く保つ
治療後のサポートはどのようにされていますか。
矯正が終わったら、歯並びを安定させるため取り外しできる装置をつける保定期間に入ります。装置をつけるのは大人では1年ほどで、歯並びが変化しやすいお子さんでは、もう少し長くかかることもあります。装置をつける時間を徐々に減らしていき、装置を外した後も矯正終了から2年後までは、4～6ヵ月に1回の間隔で診療を続けます。その後も定期的なメンテナンスを、年1回ぐらいでなるべく長く続けるようにお勧めしています。というのは、矯正技術が進歩して、以前の治療では対応しきれなかった部分が新たに処置できるようになる、といった場合があるのですね。長く通われていれば、こちらからそういうご提案もできます。また、メンテナンスでは歯並びだけでなく噛み合わせも調整して、歯の健康を長く保っていただけるように努めています。
分院も増えてお忙しいと思いますが、息抜きはどのように？
ゴルフが好きなんですが、今はなかなか行けませんね。家に帰れば小学1年生から大学生まで、4人の子どもの父親でもありますので、一番下の子と公園で遊んだりするのが、気分転換になっています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
歯並びが悪いのは、現代病だと考えています。子どもは日頃からよく噛んでいないと、咀嚼を担う咬筋の発達に支障が生まれ、口を閉じて眠ることができなくなったり、舌の位置がずれてしまったりして、歯並びが前へ内側へと動いてしまいやすいのです。今はやわらかい加工食品や甘味料があふれていますが、それらはなるべく控え、持っている力の8割以上をかけてぐっと噛みしめる、よく噛んで食べるといった生活習慣を大事にしてほしいですね。また当クリニックでは生まれ持った歯や機能を重視しながら、目立たない矯正を行っていますので、矯正をお考えの際には、ぜひ気軽に相談してほしいと思います。
