海谷歯科医院 (新宿区／市ヶ谷駅)
海谷 幸利 院長の独自取材記事
市ヶ谷駅から徒歩10分の場所にある「海谷歯科医院」。1996年の開業当初から「患者に頼られる歯科医院」をめざしてきたという海谷幸利（かいや・ゆきとし）院長。そのために「患者さんの悩みを解消するための手立てを増やし、治療レベルを高めたい」と国内外のセミナーなどに積極的に参加して技術の向上、院内設備の充実を図ってきた。また診療時には患者の希望や予算を踏まえて「その人にとって最も良い治療」を追求していく。「生涯、自分の歯でしっかり噛んで食べて、健康に過ごしてほしい」と話す海谷院長に、同院の診療の特徴や患者への思いを聞いた。
患者の希望に応えるため、技術向上や設備の充実を図る
開業までの経緯を教えてください。
日本歯科大学卒業後、都内の歯科医院での勤務を経て独立しました。開業する際に、いくつか候補地を紹介されたのですがピンとこず、自分でたまたま見つけたのがこの場所なんです。母校が近く親しみもあり、ここだと感じたのですね。それから30年近く診療を続けているわけですから、やはり縁があったのでしょう。健康意識の高い方が多い土地柄で、開業当初は、患者さんから学ばせてもらいました。ずっと信用して来てくださっている患者さんや紹介の患者さんも多く、最近やっと患者さんに還元できるようになってきたかなと思います。
長く通われている患者さんが多いのですね。
そうですね。30～50代の現役世代が多く、女性の割合が少し多いですね。また「抜歯と言われたがセカンドオピニオンを受けたい」「他院で治療を受けても良くならなかった」といった少し込み入った理由で、千葉県や東京都西部など遠方から来院される方もいらっしゃいます。ホームページを見て来られる方も多く、当院の治療方針を理解してくださっているなという印象を受けます。
診療面ではどのような特徴がありますか？
患者さんの悩みを解消するためにはさまざまな治療の引き出しが必要であり、それぞれの分野の治療レベルをできる限り高める必要があると考え、国内外のセミナーに参加して勉強を重ねて知識を深め、医療設備も整えてきました。診断と治療の精度を高めるための歯科用CTや、対象物を約20倍まで拡大できるマイクロスコープに加え、口腔内スキャナーも導入しました。口腔内スキャナーは、口腔内を小型カメラでなぞるように撮影するだけで3Dデータを作成できて、型採りが不要になるので患者さんの負担の軽減にもつながります。また、虫歯については、マイクロスコープを活用して、ピンポイントで虫歯だけを除去していきます。歯を削る量を最小限に抑えられ、患者さんの口腔内に負担の少ない治療をめざせるようになりました。
歯周病治療や予防にも力を入れていらっしゃるとか。
歯周病については、治療できたとしてもそれは一時的なものなのです。どうして歯周病になるのか、どうしたら進行しないようにできるかを患者さんが理解して、家庭でも適切なケアを行っていただく必要があります。そこで当院では、歯科医師と歯科衛生士が連携し、患者さんのモチベーションを高めることを心がけています。また予防歯科というのは、多くの場合、何らかの治療が終わった後の再発予防です。歯は治療後、再発してまた治療をすることを繰り返すと、どんどん悪くなるもの。一度きちんと治療して、それをいかに維持するかという点に重点を置くべきだと考えています。
口腔全体の健康や将来までを考えた治療を提案
診療方針についてお聞かせください。
患者さんがどのような生活や食生活を過ごしていきたいかをお聞きして、「どうすればこの患者さんのためになるんだろう」と想像しながら対話を重ねることです。患者さんのお口の中をいかにして快適な状態にするかが大事なんですよね。またインプラント治療などの大がかりな治療が選択肢に入る時は、早めにその方のご予算を聞きます。お金の話はお互いにしづらいことかもしれませんが、患者さんのことを考えればとても大事。今は無理だけれど、ゆくゆくはインプラント治療を受けたいと考えられているのなら、ほかの歯を削るブリッジではなく、まずは部分入れ歯にして様子を見るというように、患者さんのお口全体を考えた治療プランを立てています。
将来までを考えた治療を提案されるわけですね。
60歳の方なら20年使えるもの、40歳の方なら40年使えるものを、という観点で年齢に応じた提案をします。例えば、60歳の方に固定式のインプラントを使った入れ歯は勧めません。介護が必要になったら、入れ歯を外して口腔ケアができたほうがいいですからね。ただし、高齢の方で何十年と使えなくても良いから、今までどおりの生活が送りたいという方には、あえてご希望の治療を行うこともあります。人生で何を優先するか、どうやったら楽しめるのか、患者さんのご希望をできるだけかなえたいと思うんです。
こちらは、根管治療にも注力されていると聞きました。
歯の保存はもちろん大事で根管治療にも力を入れてきましたが、歯は治療すればするほどもろくなりますし、保険診療ではどうしても限界があるので、必要な薬剤や器具を使える自費診療としました。ただし、根管はきれいにできても、歯そのものが持たないことがあるので、患者さんの噛み合わせや噛み合わせの強さ、歯ぎしりなどさまざまなことを考慮して、根管治療が本当に必要かどうかを見極めます。悪い歯を残しておくと、口腔全体の環境が悪くなることもあり、残せば良いというものではないのです。時には抜歯を提案して、次のステージに進めるように患者さんを導くのも僕らの役目。ただし、それは信頼関係があることが大前提です。
口腔全体、そして将来の健康を重視しているのですね。
そうです。できる限り入れ歯にしたくない、生涯ご自分の歯で噛んでほしいと考えています。根管治療やインプラント治療に力を入れるのもそのため。1本の歯を失った場合、周囲の歯に負担をかけないインプラントにすることでほかの歯が守られ、入れ歯になるリスクが少なくなることが期待できるわけです。もちろん、すでに入れ歯の方はそれ以上悪くならないように、よく噛めるようにする治療を心がけています。また初診からインプラントを希望する方に、すぐに治療をすることはありません。よく話し合って患者さんの考えをしっかりお聞きして、その上で適切な治療をお勧めしています。
市ヶ谷の地に浸透して、患者に頼られる歯科医院に
開業から30年近くを経て、今どんな思いで診療されていますか？
実際に患者さんと接して診療するようになってから、歯科医師というのは良い仕事だと思うようになりました。日を追うごとにこの仕事が好きになりますね。長く続けていると考え方も少しずつ変わっていきますが、またそれが面白いところだなと感じています。患者さんの性格なども含めて「この患者さんにはこの方法が一番良いな」と考えている時間が好きですね。患者さんの思いを大切に、たくさん話し合ってベストな治療方法を考えて、治療を進めていくことにやりがいを感じます。最近は「なんとかしてほしい」と頼って来てくださる方も増え、開業当初からめざしてきた「患者に頼られる歯科医院」になってきたかなと思います。
専門家の立場から気になることはありますか？
新型コロナウイルス感染症流行の影響もあるのか、ストレスで噛み合わせが悪い人が増えたと思います。噛み合わせの不具合から一部の歯に負担がかかり、まだ神経のある歯が割れることもあります。安易な矯正の結果、噛み合わせが悪くなっている例も目立ちます。矯正は専門家である矯正歯科医師が行うべきで、手軽にできる矯正法だからといって一般の歯科医師が安易に手がけるのは良くないと思っています。当院の矯正は、大学の後輩にあたる女性の矯正歯科医師がずっと担当してくれていますから、安心してご相談いただきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
多くの方に、自分の歯を大切にして、よく噛める状態を維持していただきたいと思います。自分の歯でしっかりと噛んで食事をすることは、食生活が楽しめるだけでなく、健康で長生きすることにもつながります。痛みやトラブルのある時はもちろん、治療後の快適な状態を維持するために、歯科医院を活用してください。歯を大切にして快適な食生活を送り、生涯にわたって健康に過ごしてほしいですね。当院は、虫歯治療から、歯周病治療、根管治療、インプラント治療、矯正、噛み合わせ治療などさまざまな治療を高いレベルで提供したいと考えています。何かあればお気軽にご相談ください。
