いざわ内科・消化器内科クリニック (名古屋市北区／黒川駅)
井澤 伸一郎 院長の独自取材記事
名古屋市北区・浪打町の閑静な住宅地に位置する「いざわ内科・消化器内科クリニック」。院長を務めるのは「人と話すことが好きで、医師を志した時からいずれは目の前の患者さんにじっくり関わることのできる開業医となることを考えていた」という井澤伸一郎先生。診療の際には患者との対話をとにかく大切にしていて、何げないやりとりの中に隠れている患者の悩みや本音に真摯に向き合っている。大腸がんや胃がんの早期発見に欠かせない内視鏡検査も、患者の苦手意識を和らげるために丁寧な説明とこまやかな気配りを大切にしている。そんな明るく気さくな人柄が魅力の井澤院長に、診療に対する思いや今後の展望などを語ってもらった。
人の役に立つ仕事がしたいという想いがすべての原点
医師を志したきっかけを教えてください。
高校3年生に上がる時に文系か理系のどちらに進むのか決めるんですが、実は私は当初文系が希望だったんです。でも父親に相談したところ、自分は何か人の役に立つ仕事がしたいんだ、という思いがあることにあらためて気がついて。そこから医師の道に進むことを決めたという感じです。当時の担任には「おまえが医師をめざすとは思わなかった」と驚かれました（笑）。
先生はもともと外科がご専門だそうですね。
はい、そうです。私は昔から人と話すのが好きで、外来で患者さんを診るのも好きだったので、将来的には開業したいというビジョンは最初からありました。ただ、実際に臨床の場に出てみて、手術の知識が一通りなければ患者さんに対して治療の選択肢を十分に説明することができない、と感じたんです。例えば「胃がんの手術ってどんな手術ですか？」と患者さんに聞かれても、知識がなければ具体的な説明をもって患者さんの不安を和らげることも難しいのではないか、と。そんな実感から、まずは外科を専門にして手術の研鑽を積み、技術を身につけた上で、時期が来たら開業をしようと考えるようになりました。
開業までの経緯と、開業後4年を経て感じている変化などもありましたら教えてください。
消化器外科の医師として10年以上、消化器がんの手術を行ってきました。多くの患者さんを診る中で人の幸せとは何かと考えた時に「おいしいものをおいしく食べられる」ということは大切なのではないかと思うに至りました。死ぬまで好きなものを食べられるかどうかというのは人としての尊厳にも関わること。だからこそ、消化器のがんというのは早期発見・早期治療が大切で、そのためにはできるだけ多くの人に内視鏡検査を受けてもらう必要がある。とはいえ、内視鏡検査というのは痛みや怖さへの不安から抵抗感のある方も少なくないし、そのお気持ちもよくわかるので、そういう方たちでも安心して通える施設をつくりたいと思い当院を開業しました。開業後この4年の変化は、ずばり忙しくなったことでしょうか。地域の方はもちろん、遠方からもかなり多くの方にご来院いただくようになりました。内視鏡検査の認知拡大に貢献できていればうれしいですね。
内視鏡検査に特化し、がんの早期発見に尽力
かなりの数の内視鏡検査をこなされているとか。
胃の内視鏡と大腸の内視鏡併せて年間数多くの検査を実施しています。これを可能にしているのはスタッフとの連携です。カルテ入力をサポートしてくれるシュライバーというスタッフを導入したり、自分で考えて動けるスタッフが育ってチーム全体の動きも熟成しているので、私ではなくてもできることは、ほぼすべてスタッフがカバーしてくれています。なので、私は安心して診療と内視鏡検査に集中することができるんです。年間、がんで亡くなる方は数十万人に上ります。内視鏡検査により、早期に発見して元気に長く生きることのできる可能性を開くお手伝いをスタッフ一丸となって行っていく所存です。内視鏡検査に特化しているため、一般健診などは受けていませんが、地域の他のクリニックへの紹介は可能なので、役割分担しながら地域全体を支えていければと考えています。
あくまで内視鏡検査に特化される、ということですね。
そうですね。この辺りは他にもクリニックがたくさんあるので、そういうすみ分けも可能だと思うんです。自分はがんを早期に発見して、一人でも多くの方が、より長く元気に生きられるようなサポートをする、ということに集中して専門性を生かしていきたいと考えています。内視鏡検査のいいところは、やっぱり直接患部を見ることができて、可能な場合には処置もその場でできること。治療と一体型で進めていくことができる検査なので、そこが他の検査とは大きく違うところです。胃カメラも大腸カメラも、だいぶ認知は広がりましたが、不安感をお持ちの方もまだ少なくないので、できるだけ患者さんの負担を少なくできるよう、配慮しています。例えば胃カメラは鼻からか、口からかを選択いただけますし、希望される方には鎮静剤のご用意もあります。トイレつきのリカバリールームも5室ご用意があるので、プライバシーも守りつつ、感染症対策にも努めています。
開業医として地域医療に関わる想いをお聞かせください。
診療にあたっては「患者さんの生涯に責任を持って治療にあたる」という気持ちでいるので、気兼ねなくいろいろ相談できる雰囲気やコミュニケーションを大切にしています。消化器が私の専門領域なので、もちろんそこを中心に日々の診療を行っているのですが、どこに行ったら良いのかわからず、どうしたらいいのかわからないというような日常的な相談にも乗るようにはしています。そういう「よろず屋」的なことも地域に根差すクリニックとしての役割かと思うんです。最近は「とりあえず困っていることがあるんだったら井澤先生に相談してみなよ」と通院している知人に言われてきました、という人が結構多いんですよ。気軽に何でも相談できる場所、と皆さんが思ってくださり頼りにしてくださっているのはうれしいです。
気軽に相談できる地域の医療の窓口として
診療の際に心がけていることを教えてください。
とにかく患者さんの話をよく聞くということですね。患者さんの中には医師に聞きたいことを遠慮して聞けないという方も多いんです。そういう方たちの声には特にしっかり耳を傾けていたいと思っていますし、話がしやすい環境づくりも心がけています。私は診療の際、どの患者さんにも必ず「最近忙しいですか」と聞くようにしています。そうすると「昨年から主人の具合が悪くて」とか、「実は家族の介護が大変で」なんて話が聞けたりするんです。それが原因だとしたら、それに関する態勢を整えなければ治療をいくらやっても改善にはつながりません。症状ばかりを聞いていると病気の根底にあるものが見えなくなってしまうんですね。患者さんがこのクリニックに来た理由、言葉で語られない部分について、物事の本質を見るということを常に考えて診療にあたっています。
今後の展望をお願いします。
女性のがんでの死亡原因の1位は近年ずっと大腸がんなんです。ですので、もっと多くの女性に気軽に大腸内視鏡検査を受けてもらえるようにしていきたいですね。当院の患者さんの6割が女性です。当院では女性が利用しやすいようにパウダールームを設けたり、検査用トイレつき待機個室などを設置しています。患者さんがもっと気軽に内視鏡検査を受けることができるような環境・体制づくりに今後はさらに尽力をして、これまでよりもさらに受診のハードルを下げていくことができればと考えています。また、仕事が忙しかったりすると受診から足が遠ざかってしまうこともあるかと思います。幸い当院は40代～50代の働き盛りの方の来院も多いので、より多くの働き世代の皆さんに内視鏡検査を受けていただいて、がんの早期発見・早期治療につなげていけるよう尽力したいと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。
これからも地域医療を支えるクリニックとして「当たり前の治療や検査が適切にできる」ということを大切にしていきたいと思っています。「こんなことをお医者さんに聞いてもいいのかな」と迷うようなことでも気軽に聞くことができるように患者さんとの信頼関係をしっかりと築いていきたいですね。ご自分のことはもちろん、ご家族のことでも、どんな些細な体調の変化でも構いませんので、気になることがあったら気軽に相談にいらしてください。当院では解決できないことでも、専門の先生にご紹介したり、次にどうしたら良いのかという道筋をお示しすることはできると思います。
