ゴゥ クリニック (大阪市中央区／天満橋駅)
渡辺 徹也 院長の独自取材記事
天満橋駅から徒歩3分の場所にある「ゴゥ クリニック」。内科、神経内科、心療内科を標榜し、総合診療、プライマリケアといった総合的な医療を行っている。院長の渡辺徹也先生は、日本内科学会総合内科専門医、日本神経学会神経内科専門医の資格を有し、複数の科で豊富な診療経験を持つドクター。日本東洋医学会漢方専門医でもあることから、東洋医学の観点も取り入れた全人的治療をめざしている。渡辺院長が内科全般の幅広い知識を究めてきたのは「病気の要因は一つとは限らない」ことを、これまでの経験の中で強く実感したからだという。医学以外のさまざまな分野にも造詣が深く、豊富な知識を患者とのコミュニケーションにも役立てている。そんな渡辺院長に、クリニックや診療科の特徴について、話を聞いた。
内科、神経内科、心療内科の専門性を備えた医療を提供
まずはクリニックの特徴についてお聞かせください。
当院は内科、神経内科、心療内科の分野で、専門性の高い総合的な医療を心がけています。身体面と精神面の両方を総合的に捉えることだけでなく、日本東洋医学会漢方専門医の資格を生かして近代医学と東洋医学それぞれの長所を取り入れながら、全人的な治療をめざしています。開業当時に比べて設備面も徐々に充実し、現在は肺機能検査やエコー、エックス線や心理テストなども、検査や治療に役立てられるようになりました。
患者さんの年齢層や主訴を教えてください。
年齢層に関しては、働き盛りの世代の方が多い印象です。主訴について最近は、睡眠障害、頭痛の患者さんが増えてきています。コロナ禍以降、学校に行くのが難しい子ども世代の患者さんや、糖尿病、高血圧などの生活習慣病や認知症、パーキンソン病などの高齢者の疾患の方も来院されています。その中で、がんや臓器の病気といった器質的疾患の可能性が除外できるようであれば、カウンセリングなどを併用しながら治療していくスタンスです。もちろん、緊急性・専門性が高ければ専門医療機関に紹介し、当院でもできる限りフォローさせていただきます。
先生は、さまざまな資格をお持ちだそうですね。
総合内科専門医、神経内科専門医、日本精神神経学会精神科専門医、日本診療内科学会心療内科専門医といった医学や医療以外にも、分野領域を問わず、資格と呼ばれるものを200個ほど持っています。小学校の教員免許は、医師になってから1ヵ月教育実習に通って取得しました。こうした医療以外の知識が仕事に生かされて、診察時に有用となる側面も多々あるんです。医師になってからも、どこかの学生でいる時間は長いですね。リスキリングが注目されていますので、私も学び続けていきたいと思います。趣味的な分野でも、そのときに得た知識や情報、話題などが、診察時など患者さんとのコミュニケーションに非常に役に立っていると思います。
複数の診療科の観点から、不調の原因を追求
頭痛を訴える患者さんには、どのようにアプローチされるのでしょうか。
当院では難治性の片頭痛を抱える患者さん向けのヒト化抗CGRP抗体製剤が投与できます。ただ基本的には、頭痛を訴える患者さんは漢方薬の服用からスタートすることがほとんどです。10種類ほどある漢方薬の中から、その方の症状などに合わせて2〜3種類ピックアップします。半年から1年ほど継続して服用いただき、徐々に改善をめざしていく形です。
メンタルと頭痛は、関連性が深いのでしょうか。
頭痛の原因はさまざまで、心療内科的な症状が引き金になっていることもよく見られます。緊張型頭痛の方だけでなく、片頭痛の患者さんも、ストレスチェックをすると高い点数が出ることも多いですね。たくさんの頭痛患者さんを見ていて感じるのは、精神的要因で起こる緊張型頭痛だけでなく、片頭痛も立派な心身症であるということです。職場で強いストレスを感じている片頭痛の患者さんが、職場環境が変化することで改善が期待できたり、逆に治療によって片頭痛が改善できれば、ストレスの点数にも変化が起こることも期待できます。心と体は複雑に影響し合っていて、簡単に線引きはできません。そうした前提を理解した上で検査・治療を行うことが大切なんだと日々感じます。
皮膚科診療の枠も設けられていると伺いました。
2021年より、皮膚科の専門医師による診療の枠を設けています。表裏一体という言葉がありますが、皮膚は内臓疾患の鏡であるとも言えるんです。また、メンタルの影響で皮膚疾患が現れている方も多く、皮膚の状態を見て内科の疾患や精神面の状態が把握できることもあります。当院で皮膚科診療を行う医師の中には、精神科と皮膚科の両方を経験している医師もいます。皮膚科で心療内科疾患が疑われる場合には私のほうで診療いたしますので、併診いただくことも可能です。
不調の中に、さまざまな要因が隠れていることもあるのですね。
以前、神経内科や心療内科でさまざまな症状を診るうちに、1つの科だけで診ることが難しい症例に何度も遭遇し、複数の診療科の視点から広い視野で診断しなくてはと感じました。例えば神経内科では、長期にわたる入院や治療が必要になる場合が多く、診断した時点で神経内科の医師が治療に携わる役割が減る代わりに、高血圧や糖尿病などの内科的なアプローチを求められる場面が増えます。そこで内科全般の幅広い知識を身につける必要性を感じ、大学院を出てから日本内科学会総合内科専門医を取得しました。診断を下すにあたり、多くの分野の知識が本当に役立っています。病気の原因は1つとは限らず、複数の要因が影響していることも多々ありますからね。
目の前の患者にとって最善の医療をめざして
診療の際に心がけていることについてお聞かせください。
特に心がけているのは、初めに診断名ありきのように杓子定規に診断を下さないことです。心療内科の疾患は、医師の一言で簡単に「病気」になり得ますし、患者さん自身やご家族が病気へ追い込んでいる場合もあります。例えば認知症ではなく、物忘れなど老化現象の範囲内と診断しても納得されないことや、お子さんの様子がおかしいと来院され、診察しても悪いところはなく、実は親御さんの過干渉が原因ということもあります。症状は時系列や状況においても変わることがあり、点ではなく線で捉えることが重要です。安易に診断せず、あらゆる側面から症状を診た上で、目の前の患者さんにとって最善の方法を考えることを常に心がけています。もちろん、重篤な病気は見逃さないように診療を行いますのでご安心ください。
心身の不調は、幅広い視野で診療を行うことが重要なのですね。
社会に出ると緊張する場面も多いですし、失敗もあります。そういうときに発達障害や社交不安障害などの症例を読むと、誰だって何かしら当てはまるところはあると思います。周りから言われて自分もそうではないかという気持ちになり、医療機関に行って病気と診断されて薬を出されてしまう。仕事でミスをしてしまったことなどによる軽いうつ症状でも、うつ病だと診断されて投薬されると「患者」となってしまうことがあります。病気と診断されると安心する方もおられるかもしれませんが、病名がつくことで患者さんが萎縮してしまうこともあります。そういう方々も含めて的確な診断・治療を行うように努めていきたいですね。
今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。
今は医師としてやりたかった診療、プライマリケアが実践できる環境にいて、とても恵まれているなと感じています。今後はもう少し診療時間を増やし、より多くの患者さんに接していきたいです。必要であれば、医師を増やすことも検討したいですね。高齢者の認知機能やQOL改善のリハビリテーション、リワークや不登校児のケアなどのデイケアサービスを今以上に充実させることも目標としています。内科、神経内科、心療内科の専門医師の立場から、患者さん一人ひとりに合わせた総合的な医療を提供しておりますので、心や体に不調を抱える方は、お気軽にご相談ください。
