ごおデンタルクリニック (尼崎市／猪名寺駅)
西野 剛央 院長の独自取材記事
JR福知山線の猪名寺駅から徒歩6分、阪急伊丹線の稲野駅からも徒歩10分。大型ショッピングセンターのすぐ近くに「ごおデンタルクリニック」がある。クリニックのある兵庫県尼崎市は、古くから工業都市として発展してきたことで知られるが、近年は高層マンションや教育施設も増え、家族向けの住宅地としての性格も強くなっている。自らも2児の父である西野剛央（ごお）院長は「働く人が通いやすい」「子連れや妊娠中でも気兼ねなく通える」「保険診療にこだわる」そんな歯科クリニックをつくりたいと考え、2015年に同院を開業。地域のかかりつけ医として予防を重視した歯科診療に取り組む西野院長に、いろいろと話を聞いた。
働く人、子連れの人でも通いやすいクリニックをめざす
開業までの経緯を教えてください。
2009年に大阪歯科大学を卒業し歯科医師になりましたが、当時から独立志向が強くて、30歳までの開業を目標に働いてきました。いろいろな経験を積みたかったので、患者数が多いところや、逆に歯科医師が僕しかいないところ、訪問歯科診療専門など、さまざまなタイプのクリニックに勤務しました。そういった経験を通して、自分が開業するなら保険診療をベースにきちんとした治療を提供するクリニックにしようと思いました。多くの患者さんから頼られ、組織としてもしっかりしているクリニックをつくり、世の中から必要とされたいという思いもありました。また、僕自身がスタッフや恩師に恵まれてきたので、自分のところもそうしたい、一緒に楽しく働けるクリニックにしたいという願望もありました。理想とするクリニックの条件に合う場所を探した結果、近隣の地域で働いていたご縁から、ここが見つかったというわけです。
どのような患者さんが多いですか？
すぐ近くに大きな企業があり、ショッピングモールの隣でもあるので、幅広い層の患者さんがいらっしゃいます。昼はお年寄りや親子連れ、夕方になると学生さんが増えてきて、夜には仕事帰りの方が多くなります。働く方も通いやすいように、当初から夜9時まで診療する予定でした。主訴としては虫歯や親知らずが痛いという相談が多いですね。小児歯科のほかにマタニティー向けの診療も行っているので、妊婦さんも来院されます。治療自体は一般の患者さんと同じですが、体調管理にいっそうの注意をして、上のお子さんを連れていても気兼ねなく来院できるようにと考えています。お母さんたちには「体一つのときのほうが楽ですよ、生まれる前に治しておきましょう」と言います。そのためにも、妊婦さんたちにとってハードルの低い、通いやすいクリニックにしたいと思いました。
開業から現在までで変化はありましたか？
2020年には院内を改築して診療スペースも待合室も広くして、患者さん同士の距離が保てるようにしました。また滅菌器をグレードアップし、空気清浄器を入れて、受付にはパーティションを設けるなど、感染症対策は徹底しています。あと以前は仕事が終わって夜7〜8時台に来られる方が多かったんですが、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが増えたせいか、早めの時間帯に来られる方が増えましたね。結果的に同じ時間帯に集中しなくなったので、例えば抜歯など術後に注意が必要な治療などは、時間に余裕を持ってできるようになりました。また定期的な通院をしてくださる患者さんも多く、これからも良い関係を築いていきたいと思っています。
保険診療内で専門的な技術を発揮したい
診療方針に特徴などはありますか？
患者さんが自発的に治したいと考えることが、何よりも大切と思っています。それは大人でも子どもでも同じです。親御さんからするとせっかく連れてきたのだから治療してほしいところでしょうが、子どもがやりたくないと言い張るのなら、治療しないで帰してしまうこともあります。もちろん、どうして治療が必要なのかはきちんと説明しますが、子どもだからといって患者さんの意思を無視して治療をしていい理由はないと思うんですね。
大人の方に対してはどうでしょうか。
患者さん自身が治療方法を選ぶ、インフォームドチョイスを大切にしています。できる限りわかりやすい表現で説明し、治療方法をいくつか提示した上で、患者さんと一緒に選択します。当院は保険診療をメインにしているため、インプラントや矯正のような治療を希望される場合は、僕が信頼している先生をご紹介することもあります。そういったスタンスは、英国などではGPと呼ばれるいわゆるかかりつけ医に近いですね。オールマイティーであることを前提としながら、患者さんにとって不利益にならないような選択を最優先に考え、自分が専門外とする分野は得意とする先生に任せるようにしています。
保険診療にこだわりがあるのですね。
保険診療は誰でも受ける権利がありますし、活用してほしいですしね。それに、保険診療だから治療の質まで安いものだという考え方はおかしいと思っているんです。これまで自分を指導してくれた先生たちも「この技術で保険診療ですか」というような専門性の高い治療をされる方が多かったことも影響していると思います。保険診療の範囲内で、素晴らしく高い技術を使って治療を提供する、それが格好良いと思うんですね。こういう理想も、当院を信頼し、定期的に通ってくれる患者さんが増えてきたからこそ実現につなげられることだと思っています。
スタッフとともに成長し、地域の信頼を得ていきたい
現在の診療体制を教えてください。
私の他に非常勤の女性歯科医師が3人、歯科衛生士が8人、助手・受付などのスタッフが社員とパートを合わせて3人です。歯科医師とスタッフが安定して頑張ってくれていることで時間に余裕ができ、勉強する時間もつくれるようになりました。当院では各スタッフの職種ごとに最低限やらないといけない業務が決まっていて、同じ職種同士で臨機応変の対応がしやすくなっています。またそういったルールは僕が決めるのではなく、スタッフが自分たちで考えています。僕自身はよほどのことがなければスタッフに指示しないんですよ。逆に、スタッフから提案してくれて始めたことも多いです。スタッフの意識が高ければ、歯科医師や患者さんから求められた以上の仕事を返してくれます。そういった中で良い雰囲気もつくられていくのだと思います。
予防歯科にも力を入れているとお聞きしました。
従来は、歯が痛くなったりしたら歯科医院に行き、治れば来なくなるという方が多かったのですが、現在では予防を重視した定期検診とクリーニングが歯科診療のメインになりつつあります。予防のためには、いかにして虫歯や歯周病にならない環境をつくるかという意識を、ふだんから持っていただくことが必要です。口の中の状態を良くすることは、全身の健康にもつながります。また、定期的な検診も大事ですが、虫歯がひどくなったり歯茎が腫れたりしてから治療を始めたのでは、治療が長引くだけでなく選択肢も限られたものになり、金銭的にも身体的にも患者さんの負担が大きくなってしまいます。そうなる前に、ちょっとした違和感を感じたら、早めに来てほしいと思います。ふだんから予防を心がけ、症状が小さなうちに治療することで、高齢になっても自分の歯をできるだけ残していっていただきたいですね。
今後の展望を教えてください。
地域のかかりつけ医として、患者さんと長く付き合っていきたいです。そのためにも、家族全員で通っていただけるようなクリニックでありたいですね。ご高齢の患者さんがお孫さんを紹介してくださった時は感激しました。そんなことで、と思われるかもしれないけれど、おじいちゃん、おばあちゃんにとって孫は宝ですから。患者さんから信頼してもらっていると実感するとき、やりがいや責任を感じますし、モチベーションにもなります。現状ではまだ痛みや腫れがあるなど緊急性の高い患者さんも多いですが、そうなってしまわないための予防だということを、もっと患者さんに広く知ってほしいと思います。症状が出てからでないと気がついてもらえないのが予防の難しいところですが、当院から意識を高めていけたら良いですね。まだ若いスタッフばかりのクリニックなので、これからも一緒に成長していきたいと思っています。
