せきぐち歯科クリニック (千葉市若葉区/都賀駅)
関口 達也 院長の独自取材記事
加曽利貝塚の南側エリア、千葉中央メディカルセンターのすぐ近くにある「せきぐち歯科クリニック」。小桜橋通り沿いに立つ同院の目の前には「ほおじろ台」のバス停があり、千葉駅から京成バスで20分ほど。千葉都市モノレール2号線小倉台駅からも車で5分程度の場所にある。院長の関口達也先生は、数々の大規模病院で外科手術や顎関節の治療経験を持つ、口腔外科のエキスパートだ。これまで、鶴見大学歯学部附属病院、加曽利病院、仙台徳洲会病院、東芝林間病院などでの勤務に加え、横浜総合病院歯科口腔外科医長、皆野病院医局長・口腔外科部長、千葉中央メディカルセンター口腔外科部長といった要職を歴任。現在も同センターの非常勤歯科医師を務める院長に話を聞いた。
内科的・外科的な知見が必要な口腔外科のエキスパート
白い壁と床で清潔感あふれる明るい内装ですね。
ありがとうございます。とにかく「患者さん第一」で考えました。白を基調としたのは、豪華さより清潔感を意識して、患者さんに気持ち良く治療を受けてもらいたいという気持ちからです。高齢者や車いすをご利用の方が多いので、駐車場を建物の目の前に設けました。入り口から受付までスロープをつけ、動線を広めに取るなど、バリアフリーを意識しています。勤務医時代に車いすの患者さんを多く診てきた経験を生かして、トイレも車いすのままでご利用いただけるようにしました。診察室も圧迫感を与えないように十分な広さにした結果、スタッフ同士がぶつかる危険を避けることにもつながっています。
これまで携わってこられた治療についてお聞かせください。
口腔外科を中心にインプラント治療、高齢者有病者治療、顎顔面外傷や口腔がんの切除などの手術をしてきました。そのため、他院からがんかどうかの診断の依頼を受けることもあります。また、全身疾患を持つ有病者の歯の治療にも数多く携わってきました。口腔外科では内科的・外科的、両方の知識を持った上で治療することが求められます。心臓など循環器に障害のある方の歯を治療する場合、モニターをつけて心拍数や心電図を計測し、全身の状態を考慮しなければいけません。麻酔にも細心の注意を払う必要があり、過去には医科の麻酔科で学びました。歯科は医療の中の一分野ですし、そうした視点で治療にあたれることが口腔外科をめざした理由です。口も体の一部ですから、「木を見て森を見ず」にならないように治療することを大事にしています。
患者さんの症状や年代では、どんな方が多いですか。
年齢層は幅広いです。症状としては、親知らずの抜歯や顎関節症の治療が多いですね。紹介で来る方も少なくありません。親知らずは必ず抜かないといけないものではないですが、高齢になって症状が出るよりは、前もって抜いておくに越したことはないでしょう。顎関節症については症状が歯に出ることもあるため、顎関節症だと気づかずに歯だけを治療し続けて、何度も繰り返すケースがあります。ただ、患者さん本人が顎関節症ということに気づいて来るケースはほとんどないので、根本の原因が顎関節症にあると診断したら、マウスピース型の装置で保存治療をするなどして改善をめざします。また、口腔外科以外で多いのは、歯周病や入れ歯などになるので、高齢の方が中心ですね。千葉中央メディカルセンターに非常勤で在籍しており、近隣の整形外科、内科、耳鼻咽喉科の先生方と連携を取って治療を行うこともあります。
患者が満足できる治療を一緒に考える
専門性の高い治療を行っていますが、心がけていることはありますか?
患者さんの動作や話し方を観察し、まずはよく問診を行います。どういう性格なのかなど、その方の人柄を知ることは治療においてとても大事です。虫歯を削るときに麻酔をしてほしい人もいれば、そうでない人もいるように、問診しながら患者さんそれぞれに合った治療法を探っていきます。歯科医療において、エビデンスに基づく筋道立ったものがすべてではなく、患者さんが満足する治療、「受けて良かった」と思える治療が一番です。また、保険診療が第一とも考えています。私はインプラント治療の経験も長いのですが、それを前面には出していません。インプラント治療には他の歯が守られるなどメリットもありますが、まずは国が認めた保険診療の中で患者さんの満足度を上げていきたいんです。その上で、どうしてもという強い要望があれば、そうした保険外の診療も行います。
患者さんに合った診療をすることを大切にされているのですね。
治療は患者さんのメリットのためにやるものですが、裏にはリスクやデメリットがどうしても存在します。そして、そのデメリットは一人ひとり違ってきます。デメリットをできるだけ少なくするためにも、患者さんを知るということを大切にしているんです。その結果、患者さんに満足いただけたときは本当にうれしいですね。
診療の際に難しさを感じるのはどんなときですか?
治療においてご本人の意識はとても重要ですが、その意識を持ってもらうのが難しいと感じることはあります。例えば、肺が悪いのに禁煙せず、治療は医師に任せきりでは、症状の改善は難しいですよね。歯周病も同様で、歯磨きを頑張ろうという人とそうでない人とでは結果が違います。これは認知症の患者さんでも同じですね。治療の必要性を本人がわかっていないと難しい面はありますが、その方のお人柄を把握しながら、ご本人の満足できる治療を一緒に考えていきたいです。
「歯科は痛い」というイメージを払拭する治療をめざす
歯科医師をめざした理由をお聞かせください。
子どもの頃から医療に携わりたいと思っていたんです。小学校3年生から矯正治療を受けるために都内の大学病院まで通っていたのですが、人と違う装置をつけて楽しいなと思った記憶があります。治療が終わった時は自分の変化に気づき、やって良かったと感じましたね。矯正や大学病院に通った経験が歯科医師や口腔外科への憧れにつながり、この仕事に携わりたいという気持ちに影響したかもしれません。実際に歯科医師になって20年以上たちますが、毎日本当に充実しています。職場である病院やクリニックに行きたくないと思ったことは一度もないんですよ。歯科医師の仕事は天職ですし、診療を苦に感じることもありません。何か気にかかることがあるとすれば、患者さんをお待たせしてしまうときかなと思います。
仕事がとても楽しそうですが、仕事以外に趣味などはお持ちですか?
子どもと遊ぶことですね。夏はプールで泳いだり、4人の子どもをいろんなところに連れて行くのが今の楽しみです。近所に住んでいるので、21時頃には帰宅して子どもたちと遊んでいます。スキーも大好きで、小さい頃から友達と蔵王などで滑っていました。仙台の病院に勤務していた時は、東北の人に冗談で「スキーばか」と言われたほどです。大学時代は陸上の短距離選手として、腹筋を鍛えるために暇さえあればトレーニングしていたのに、今は見る影もありませんね(笑)。何かを取り合うスポーツと違って、陸上には自分の世界に入れる面白さがある気がします。
読者へのメッセージをお願いします。
今後はさらに高齢化が進みますが、高齢の方は歯の治療を後回しにしがちなのが気がかりです。おそらく歯科でつらい思いを経験した人が多いからだと思うので、「歯科は痛い」というイメージを変えられるように、極力苦痛を感じづらい治療を心がけていますし、それは、小児の治療でも同じです。また、子どもがいる立場としてわかるのですが、お母さんは早く治療を進めてほしいと考えがちです。でも、少しずつ慣れてもらうことも大事だと思っているんです。「なんで怖がっているのだろう」と考えながら、お子さんとじっくり話すことを大切に治療していきたいです。子どもが大好きなので、たくさんのお子さんに気軽に来ていただけたらうれしいですね。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
私たち歯科医師の仕事は、患者さんの意識を向上させることに加え、病気を放置せず何かあればまた来ようと思ってもらうことだと思っているんです。ライセンスを持っている人間として間違った治療をしないのは基本ですが、歯科医師が考えるベストな治療がすべての患者さんを幸せにできるわけではないという気持ちがあります。私にとって大事なのは、あくまでも患者さんに治療で満足していただくこと。この地域の患者さんから少しでも悪いところがなくなり、満足してくれる方が増えるような歯科診療を続けていきたいです。