おだ歯科医院 (西宮市/西宮駅)
小田 洋司 院長の独自取材記事
阪神本線の西宮駅から海側へバスで約15分。ヨットハーバーに隣接して「おだ歯科医院」がある。「笑顔で気持ち良く通えるクリニック」を目標とし、内装は爽やかなマリンテイストで統一され、居心地の良い空間となっている。院長の小田洋司(おだ・ひろし)先生が大切にしているのは、一人ひとりの患者の悩みにしっかりと応え、治療を必要としない状態をめざすこと。一般歯科をはじめ矯正歯科、インプラント治療、先進のCAD/CAMシステムを活用した治療まで幅広く手がけ、とりわけ予防歯科に力を注いでいる。今回、さまざまな取り組みや予防を中心に見据えた治療について、小田院長に語ってもらった。
クリニック全体で患者一人ひとりを診ることを重視
クリニック全体で患者さんを診ることを大切にしていると伺いました。
当院の目標はスタッフ全員で患者さんを診ていくこと。歯科医師だけが診るのではなく、患者さんが院内に入ったらまず受付スタッフが患者さんとあいさつをしたり、その日の体調の確認をして患者さんを誘導したりするようにしています。そして、すぐに私が行くのではなく、スタッフが声をかけるということを心がけ、そのスタッフが当日行う診療の内容を説明します。このようにクリニック全体で患者さんと対話をすることで、より親しみやすく、安心して診療に臨んでいただけるようにというのを、1つの目標にしています。設備面でも、各診療台と受付にタブレットを備えているため、患者さんの情報をいつでもどこでもお互いが共有しやすい環境に整えています。それぞれのスタッフが自分自身の役割だけを全うするだではなく、このように患者さんに関わるスタッフ全員が協力・連携を密にすることにより、質の高い治療を提供していきたいと考えています。
カウンセリングも重視しているそうですね。
現在、歯科医師は私を含めて2人、歯科衛生士4人、歯科助手2人、受付2人、事務1人のメンバーで日々の診療、治療にあたっています。私自身が患者さんに接する時間は限られていると思うので、より良いものを提供できるように、患者さんとの時間を充実させられるように、スタッフに患者さんと直接関わってもらう時間を大切にしています。具体的には、スタッフには予診で主訴を聞いてもらい、それを私に伝えもらうことで、検査内容を含めて診断します。診断した上で治療できる内容を説明します。その後に、もう一度スタッフと患者さんが話をする機会を設け、不安や疑問点、希望をお聞きします。治療内容を無理強いすることはなく、患者さんの気持ちに寄り添い、じっくり話をすることで理解を含めて、患者さんにとって適切な治療を進めていきます。
矯正歯科、インプラント治療など幅広く対応しておられますね。
当院の立地や通ってくださる患者さんのことを考えると、できる限り当院で治療を完結させたいという思いがあります。また、困っておられる患者さんを見放さない、治療の終着点となるクリニックでありたいと思っています。例えば、歯周病治療における歯周外科の治療や、インプラント治療における骨造成など、専門的な治療も行うことができます。親知らずの抜歯を別の病院に送らずに当院で行えますし、全身疾患を持っているからと言って断るのではなく、患者さんが通院している病院と連絡を取り合って、体調のコントロールができるものであれば行います。補綴に関しても、補綴物の材料の選択肢を豊富にそろえています。先進のCAD/CAMシステムを導入しているため、精密なセラミックの作製が可能です。こうした患者さんのさまざまなニーズに対して、質の高いレベルで対応するよう努め、幅広い領域を網羅しているのも当院の強みです。
全身の健康増進につながるよう予防歯科に注力
予防に力を注いでおられると伺いました。
治すことはもちろんめざしますが、それがすべてではなく、治療後にそれをいかに維持していくかを大事にしています。最近高齢者の口腔機能の低下を表す「オーラルフレイル」という言葉が注目されています。80歳で20本以上の歯を残すことで、自分の歯で噛むことができ、要介護状態をつくらないことをめざすのです。そういう観点から患者さんが生涯自分の歯を残し、しっかり噛めることを重要視しています。もちろん、高齢者だけに限らず、若いうちから予防に取り組むことが大事です。基本的に口の中の状態は1人ずつ異なり、目標も皆さん違うと思うのです。私達の中では永年的にトラブルが起こらないことを目標に、それぞれの方に合わせたプログラムを作っています。検診をしっかり受けていただくこと、早期発見して治療していくことは大事だと思います。もちろん、その中にセルフケアというものは含まれてきますので、そのお手伝いは必ずさせていただきます。
歯磨きなど日頃のお手入れも大切ですね。
そのとおりです。でも、定期的に通院するだけでは、お口の中の状態が良くならない方もいらっしゃいます。虫歯を治療して、定期的にクリーニングをしても、一向に虫歯の数が減らない方もいらっしゃるのです。毎日の歯磨きはもちろん、食事の取り方など生活習慣を見直すことが必要ということですね。そのため、丁寧に問診を行い、食事を含めその患者さんの生活環境や生活習慣をしっかり把握することが重要であると思っています。当院では問診などで得られた情報をもとに、一人ひとりの患者さんに適した治療計画を立て、予防のための取り組みを提案します。適切な診断のためには、充実した設備、機器も必要なので、きちんとした診断結果を提示できる環境づくりにも注力し、開業から約20年間、予防のためのお口の掃除などに力を入れてきました。
マタニティー歯科について教えていただけますか?
口の中の健康を保持、増進することがすべての健康増進につながると考えます。妊婦さんに関しても、そもそもいろいろなトラブルが起こりやすいもの。さらにお母さんが歯周病だと早産のリスクが高いともいわれています。お母さんの口の中が健康であることが、最終的にそのお子さんの健康にもつながると思いますので、治療だけではなく予防に取り組み、そして情報提供も必ずさせてもらいます。
幅広いニーズに応えるために研鑽を怠らない
先生は、とても精力的に学ばれている印象があります。
実をいうと、歯列矯正は審美的なイメージが強く、最初は受け入れ難かったのですが、仲の良い先生に誘われて勉強するようになりました。歯並びや噛み合わせを整えていくことができれば、歯磨きなどのお手入れがしやすくなり、虫歯や歯周病の予防にもつながります。勉強することで矯正の機能面でのメリットを知ることができ、非常に良かったと思っています。インプラント治療についても、人工の物を口に入れることには当初違和感を覚えていました。しかし、入れ歯ではどうしても噛み合わせが回復しきらないケースがあることなどを知り、インプラントの必要性を感じるようになりました。一度勉強してみようと思い立ち、いくつものセミナーや短期留学を通じてインプラントの本質を学んできました。
スタッフさんも勉強に熱心に取り組んでおられますね。
週に1時間は診療にあたらず勉強タイムを設けるなど、学びに集中できる環境づくりにも努めています。一方キャリアのあるスタッフに対しては、患者さんとの接し方やスムーズな診療への取り組みなど、日頃行っていることをより深めていけるよう動いてもらっています。月に1回行う全体ミーティングはスタッフ主導で行っているのですが、日頃から改善点を見つける意識を持つことや、自分で感じて、考えて、行動できることにつながっていると感じています。
歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。
幼い頃は病気やケガが多く、医師になりたいと考えていたこともありますが、歯科医師をめざすようになったのは、祖父と父の影響です。2人とも歯科医師だったので仕事をしている姿を目にする機会が多く、医師か歯科医師か迷いながらも、父の背中を追うように自然と歯科医師をめざしました。
最後に、今後の目標を聞かせてください。
私の目標は「歯科医師の治療がない歯医者さん」。皆さんが健康になって、私の治療の必要がない状態が理想です。そのために今、するべきことをできたらと思っています。必要なことは必要なだけ対応して、治療後の維持・安定が図れるようなお口づくりのお手伝いをすることで、全身の健康につなげていただけたらと思います。