わきた歯科医院 (海老名市/さがみ野駅)
脇田 雅文 院長の独自取材記事
2019年5月令和の始まりにリニューアルオープンした「わきた歯科医院」は相鉄線のさがみ野駅から徒歩1分。待合室を和モダンな雰囲気で統一し、診療室は居心地の良さやプライバシー保護などにこだわり心地の良い空間を演出したという。院長の脇田雅文先生は、「当院は身近な場所で、インプラント治療など高度な医療を提供することを目標としてきました。今回のリニューアルで患者さんの話をじっくり伺う環境を整え、さらに一人ひとりに適した治療をご提供したいと考えています」と話す。加えて予防にも力を入れ、地域の健康寿命を延ばすための支援も行うという脇田院長に、リニューアルの狙いと診療の特色などを聞いた。
令和の始まりに歯科医院をリニューアルオープン
令和元年に院内をリニューアルされた狙いをお聞かせください。
当院の開院から約30年を経て、新元号の令和に変わるタイミングでリニューアルを終えたのは、次世代を見据えた歯科医院づくりの狙いがありました。当院は専門性の高い技術を持ち、数多くの診療を行ってきました。今回は院内の設備やデザインを全面的に刷新。来院された方が気持ち良く過ごせると同時に、歯科医師やスタッフが働きやすい環境にこだわりました。当院には高齢の患者さんも多く、歯科の病気や不具合に加え、糖尿病や高血圧、がんといった全身疾患を伴う方もおみえになります。そうした方にもご自分の病状や生活背景などを安心して話していただけるよう、個室の診療室を多く設け、プライバシーを守り、その内容も参考に、全身の健康や健康寿命の延伸まで含めた全人的な歯科治療をさらに強化したいと考えています。
歯科治療と全身の健康とはどう関係するのですか?
患者さんの歯が悪くなるのは歯磨きを怠ったせいとは限りません。例えば仕事が忙しいとかご家族の介護で大変といった日々のストレスが、口腔内に影響していることも考えられます。食事や運動をはじめとする生活習慣による糖尿病も、歯周病によってさらに病状の悪化につながることがあるなど、密接に関係しています。そうした社会的背景まで詳しく伺うために、院内の居心地の良さや個室での診療といった環境整備を行いました。治療も嚥下機能の衰えや噛み合わせなども含め口腔内全体を診て診療を行っています。
診療面ではどのような変化がありますか?
まず、患者さんにお伝えする検査結果や診療内容のわかりやすさがアップしました。診療室ごとに大画面と手頃な大きさの2つのモニターを配置。その方にご提案する治療計画、歯科用CTやマイクロスコープによる画像、インプラント治療用のシミュレーション図などを映して、ご説明したり治療したりといった診療が可能になりました。患者さんに適切な情報提供を行い、十分に納得していただいて治療を進めることは、これからの時代には当然と考えています。また当院では患者さんの口腔内をスキャンした3次元データから、セラミック製の詰め物やかぶせ物を作るCAD/CAMシステムを発売当初から導入しています。また、当院のスキャナーの特徴としてSLTデータ形式により、他メーカー同士のつながりをもつことができ、外部の専門施設を通して高精度の技工物を作れるよう設備面もこだわっています。
口腔内全体のバランスを考慮したインプラント治療
こちらの診療の特色を教えてください。
噛み合わせなども含め、口腔内全体の環境を良好にすることをめざしたインプラント治療が特色です。専門的な技術を持つ歯科医師と専門知識・経験が豊富なスタッフでないと難しいと思われる症例も多く診ており、患者さんは関東全域はもちろん遠方からもおみえになっていますね。当院は開院後すぐにインプラント治療に取り組んだため、二十数年前に治療した患者さんのメンテナンスも継続しています。治療に使うインプラント体はチタン製、人工歯はセラミックを使っています。適切なメンテナンスを行わないと、歯肉が炎症を起こすインプラント歯周炎などの危険性が高まり、悪化すれば治療した歯も使えなくなる恐れがあります。当院で長期にわたるメンテナンスに力を入れるのはそのためです。リニューアル後はスタッフがメンテナンスしやすい環境になっています。
インプラント治療は治療期間が長いと聞きますが。
当院では条件が適合すれば、最初の手術後に義歯や仮歯を装着する「即時荷重」の手法で治療可能です。基本的に、インプラント治療では手術を複数回に分け、数ヵ月かけて段階的に治療を進めるため、歯がなくて不便な状態が長く続くことが多いのですが、即時荷重ではその日から噛んで食事ができるという利点があります。また総入れ歯に近い状態で、インプラント治療が十数本におよぶような患者さんは、上顎または下顎に4本のインプラント体を埋入し、それによって人工歯を支える治療法も選択可能です。患者さんの体への負担軽減につながりますが、少ないインプラント体で多くの歯を支えるという技術があって実現できるものだと考えています。
そのほか力を入れている分野は何でしょうか?
当院では口腔内全体を良好にするという考えから、歯の寿命の延伸にも役立つ矯正にも注力しています。診察段階から矯正専門の歯科医師が担当しており、永久歯が生え始めるお子さんから70歳以上の方まで、どの年齢の患者さんも受診していただけます。矯正は見た目の美しさだけでなく、本来あるべき噛み合わせに整えることで、噛む力が特定箇所に集中しにくいなど、歯への負担を減らすことが期待できるため、歯の寿命を延ばすことにつながるのです。当院では従来より目立ちにくくなったワイヤー型の矯正装置で、前歯だけなら数ヵ月で矯正を終えることも可能です。このほかマウスピース型装置を用いた矯正も目立ちにくく、食事の時は取り外せるなど、患者さんの症状やご希望に応じた手法での矯正をご提供しています。
オーラルフレイルを改善し地域の健康寿命を延ばしたい
地域医療への貢献についてお聞かせください。
当院は30年近くこの地で診療を続け、かかりつけの歯科医院としてもご利用いただいています。これまでは一般の歯科診療に加え、インプラント治療など身近な場所で専門的な歯科診療のご提供を心がけてきましたが、今後は予防面での貢献もさらに重視する考えです。例えば海老名市では口腔がん検診・オーラルフレイル健診を行っており、その実施医療機関の一つとなった当院では、各歯科衛生士が専門知識を持って適切に健診ができるよう取り組んでいます。オーラルフレイルと呼ばれる、口腔機能の衰えを放置すると、よく噛めずに食事から栄養を取りにくくなる、発音や会話、呼吸などの機能低下につながるといった状況も考えられます。それを理由に外出が面倒になり、体力低下につながるなど全身の健康にも影響する場合があります。当院では検査だけでなく予防のための指導も行うなど、地域の健康寿命の延伸をめざす支援も行っています。
オーラルフレイルを予防するにはどうしたら良いですか?
一つには口腔周囲筋つまり唇や頬、舌、顎、喉仏の周辺などの筋力維持・向上です。全身の筋力と同様、これらの筋力も50代から顕著な衰えが見られることが多いのです。しかも口腔周囲筋が衰えると、誤嚥してもむせたりせき込んだりしない「隠れ誤嚥」を寝ている間に起こし、いつの間にか誤嚥性肺炎になるケースもあるので要注意です。日々の動作で意識して口の周りや喉の筋肉を動かすなどのほか、パ・タ・カ・ラと何度も発音して筋力アップのトレーニングを行うと良いでしょう。また、奥歯が欠けていると噛み合わせの力が弱まり、口腔周囲筋が衰えやすいといわれているため、かぶせ物・詰め物、インプラント治療などで欠損を改善することも大切です。
今後の目標を教えてください。
こうした予防によって地域の皆さんの健康寿命を延ばし、歩いて当院に通っていただける方を増やしたいと考えています。そして残念ながら治療が必要になっても、できる限り当院で診療を終えられるよう専門的な治療にも力を入れ、メンテナンスも含めて当院だけで歯科診療をご提供するのが目標です。特に当院は30年近くの診療で患者さんと長くお付き合いしてきたため、治療後の経過も経験的に理解しています。口腔周囲筋の状態によって口元の印象や飲み込み方がどう変わるのかなどの知見をもとに、新たに予防や治療を始める患者さんにも適切なアドバイスを心がけています。今後もさまざまな患者さんのご希望に耳を傾け、その実現のために努力を続けたいですね。