海岸歯科室 (千葉市美浜区／稲毛海岸駅)
森本 哲郎 院長の独自取材記事
JR京葉線稲毛海岸駅南口のすぐそばに立つ医療ビル3階に2023年11月に移転、開業した「海岸歯科室」。これまで30年以上にわたり、同じ稲毛海岸駅近くで診療してきた歴史もあり、地域の人々に親しまれているクリニックだ。移転にあたっては、総合病院のような役割を担うべく一般歯科から矯正歯科、口腔外科、小児歯科など幅広く対応できるよう医療体制を拡充。院長の森本哲郎先生はじめ各歯科医師が専門性を生かした診療を行っている。広い院内は大人用、小児用の診療スぺ―スに分かれ、小児専用の診療室には子どもが楽しく通院できるような工夫が随所に見られる。新しくなったクリニックの特徴や歯科医療への思いなどについて森本院長に聞いた。
医療ビル内に移転、広い院内で総合的な歯科医療を提供
移転・開業なさった理由について教えてください。
30年以上すぐ近くのビルで開業していたのですが、おかげさまで患者さんも増えて、少し手狭になってきました。また2階3階と2つのフロアに分かれていたため患者さんにもご不便をかけていました。道路を挟んで小児歯科を中心にしたファミリーで通える分院も開設していたのですが、今後は、歯科の総合病院のような機能を持つクリニックにしていきたいとの考えもありました。そんな折、広いスペースの取れる医療ビルが新築されるという話があり、そこなら理想とするクリニックが作れるのではないかと思い、移転いたしました。分院も合体させて、小さいお子さんから親子連れの方、大人の方々まですべての患者さんを当院で診療できるようになっています。
院内の造りなど工夫した点をお聞かせください。
広いスペースを生かして、診療室を大人用、小児用に分けています。大人用の診療スぺ―スにはユニットを14台設置し、全体的に解放感がありつつも個室的なイメージを持たせています。インテリアは白と木目を生かした清楚な造りになっています。小児用の診療室は、お子さんたちが楽しく通院できるようなしかけを施しています。内装はまるで海の中に潜っているようなイメージで、壁や床には魚のイラストや太陽の光に揺らぐ海底の砂などの絵を描いています。天井には治療中に好きなアニメなどを見られるようモニターを設置しています。小児用診療室の手前には親子一緒に来られた保護者用のユニットも設置しています。また、待合室の横には、サメが泳ぐ水槽やタッチパネルで遊べるモニター機器を設置して、お子さんたちが待ち時間も楽しめるよう工夫しています。
改めてこちらの診療方針をお聞かせください。
診療において目標にしていることは、一生涯にわたってご自身の歯を健康的に維持していただけるようにすることです。患者さんが歯を1本も抜くことなく、すべて自分の歯でおいしく楽しく食事ができることを最も重視しています。具体的には80歳を迎える時にご自身の歯が26本残っているようにすること。そのためには、まずは子どもの頃から口腔環境を整えていくことが大切となります。子どもの虫歯の予防だけでなく、顎の骨の正しい成長を促すことも重要です。そういう意味で当院では子どもたちの虫歯予防と口腔発育に力を入れています。また、すでに歯を失ってしまった方や歯を抜かなくてはならなくなった方に対しては、今、残っているご自身の歯を守り、それ以上口腔環境が悪くならないためにはどうすれば良いか、一人ひとりに最適と考える治療法を提案、実践しています。
自身の歯を残すため矯正治療やインプラント治療に注力
診療の際、どのようなことを大切になさっていますか。
常に患者さんの目線に立って考えていくことです。患者さんが今、どう思っているのだろう、どんなことを不安に感じているのだろう、など患者さんの気持ちを常に意識しておくことが大切だと思っています。患者さんそれぞれ歯科医院に求めることは異なりますし、相談したいことも異なります。症状に関する悩みだけでなく、歯科治療が怖い、痛そう、などと不安に感じている方も多いでしょう。そんな不安や恐怖心をできるだけ払拭してリラックスしていただけるよう、その方の気持ちやお考えをよく聞き取って丁寧に対応するよう努めています。インプラントなど外科手術が必要な時には手術の同意書にサインをいただくのですが、同意書には手術のリスクについても記されています。それを読むと、余計怖いと感じるかもしれません。ですので、できるだけ安心していただけるよう、説明の仕方を工夫しています。
診療の中で特に力を入れている分野について教えてください。
先ほどお話ししたようにご自身の歯を残すために重要な治療として、歯周病治療、矯正治療、インプラント治療に力を入れています。歯周病は、歯を失う大きな原因となるだけでなく、糖尿病や心疾患などさまざまな全身疾患と深い関連がありますので、体の健康維持という点でも重要です。当院では重度に進行して歯周組織が破壊されている場合でも歯槽骨の再生療法などで対応可能です。矯正治療も単に審美的な外見を整えるだけでなく、噛み合わせのバランスの調整や口腔機能の改善という意味で重視しています。すでに歯を失ってしまった場合には、他の残っている歯に影響を及ぼすことの少ないインプラント治療が有用です。これらの治療は各分野を専門とする歯科医師が担当し、各症例に適した治療を提供しています。
歯科医師などスタッフさんも多く在籍なさっているようですね。
今、歯科医師は14人、歯科衛生士は20人程度在籍しています。診療ではそれぞれ担当の歯科医師がつきますが、今、お話ししましたように症状によって歯周病や根管治療、矯正歯科、口腔外科、インプラント治療など各領域を専門とする歯科医師と連携を取りながら、より専門性の高い歯科医療を提供しています。歯科医師の中には向上心が高く、休日に勉強会などに自主的に参加している者もいます。今は移転・開業してからまだ間もないので、広いスペースに慣れていない様子も見受けられますが、今後、慣れてくれば、よりスムーズな診療につながっていくと思います。
今後はさらに専門性を高めて地域貢献を
地域での役割もますます大きくなっていますね。
もともと私の出身大学である東京歯科大学千葉病院との連携を考えて稲毛海岸駅近くに開業した経緯があります。ただ、同大学病院が東京に移転したこともあり、遠方の大学病院に行かずとも当院内で大学病院のような歯科医療を受けられることがより重要になったのではと感じています。地域にありながら総合病院のようにどんな疾患でも高い専門性を持って対応できることが求められていると思います。このビル内には小児科のクリニックも入っていますので、その小児科や他の地域の内科クリニックなどとの連携もこれから深めていきたいですね。
ところで先生はなぜ歯科医師をめざされたのですか。
祖父、祖母、そして父が歯科医師でしたので、その影響が大きいと思います。診療所が自宅に併設されていましたので父の姿を見て育ってきました。ただ高校2年くらいまではサラリーマンに憧れていたんです。当時のサラリーマンは、スーツを着て黒いアタッシュケースを持って颯爽と働く、そんなイメージでした。高校3年になって真剣に将来を考えた時に、自分の進むべき道はやはり歯科医師なのではないかと思いました。実際、歯科医師になってみますと、日々、患者さんから感謝されることばかりで、歯科医師になったかいがあると感じています。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。
移転・開業して、理想とする歯科医院の形はほぼできたのではないかと思っています。今後はより専門性を高めて、院内ですべて完結できるようにしていきたいですね。当院で対応できない場合は、もう他のどこでも対応できない、というくらいまで医療レベルを高めていきたいですね。そのためにもまだまだ勉強していく必要がありますので、スタッフ一同、より研鑽に努めていきたいと思います。これからも稲毛海岸エリアにお住まいの方々、一人でも多くの方がお口の中から健康になっていただけるよう地域に貢献していきたいと思います。
