福井ウィメンズクリニック (松山市/北久米駅)
福井 敬介 院長の独自取材記事
松山市星岡4丁目にある「福井ウィメンズクリニック」。広々とした敷地にヨーロッパの小さなホテルをイメージさせる外観の建物が建っている。「Friendlyな医療サービスを提供」をコンセプトに、婦人科の診療から不妊治療、出産、産後のケアまでを行っているクリニックだ。院長の福井敬介先生は、不妊に悩むカップルに寄り添い不妊治療に注力。クリニックの空間づくりのこだわりや男性不妊の外来を開設したきっかけ、プライベートについてなど、どんな質問にも、福井先生はにこやかに答えてくれた。
フレンドリーな医療サービスの提供をめざすクリニック
クリニックの空間づくりには随分こだわられたのではないですか?
産婦人科なので女性に好まれる空間、入りやすい雰囲気にしたいという思いがありました。当時、自分がいいと思っていたヨーロッパ風のデザインで「癒やしの空間」をつくってほしい、と建築のプロにお願いし、ご提案いただきました。開業後、改装や増築を数度しているんですよ。開業から5年ほどして、病床を増やすのと、マザークラスを開く大きいホールをつくるために増築しました。その増築部分を2013年に改装し、生殖医療専門エリアを拡張しました。
生殖補助医療にも対応していますが、不妊治療の患者さんが多いのでしょうか。
開院の際に、不妊治療からお産、産後のケア、一般産婦人科の診療までトータルで行うクリニックにしたいと考えました。コンセプトは、フレンドリーな医療サービスを提供する産婦人科。2010年くらいから不妊治療の患者さんが増え、さらに松山市内だけでなく広域から不妊治療を受けに来られる方も多くなり、現在は約7割が不妊治療の患者さんです。当院を卒業された方でも、お産は自分のお住まいの近くで、あるいは実家のある町の産婦人科でというようなケースも多いですからね。もちろん不妊治療だけでなく、安心してお産をしていただけるクリニック、女性の体の悩みをサポートできるクリニックをめざして、医療を提供しています。
「フレンドリーな」に込めた先生の思いをお聞かせください。
「身近な存在」でありたいということです。不妊治療を受ける方も、お産をされる方も、いろいろな不安を感じておられます。安心して治療を受け、お産をしていただくためには、安全性を追求した医療技術や治療環境とともに、気軽に何でも聞けたり、話せたりする「身近さ」も大事だと思っています。生殖補助医療に関しても「身近な医療」として提供したいと考えています。正直なところ、不妊治療は心の負担も費用的な負担も小さくありませんので、負担を軽減できる方法やケアを考えながら取り組んでいます。
不妊治療において心がけておられることは何ですか。
患者さんのお話をよく聞き、治療についてわかりやすく説明をして納得をしてもらった上で治療を進めていくようにしています。患者さんの気持ちが大事ですからね。不妊治療というのは、私だけ、医師だけではできないんですよ。いわゆるチーム医療でなければ患者さんを支えられないと思っていますので、徹底したチーム医療で臨んでいます。看護師、コーディネーター、カウンセラー、培養士と一緒に行っています。全員が女性スタッフです。
一人ひとりに合った不妊治療を提案
不妊治療はどのように進めていくことになるのでしょうか。
治療歴のない方もいれば、紹介状を持って来院される方、他で治療をされていたけれど妊娠に至らず来院される方など、患者さんはいろいろです。また患者さんの背景もいろいろですので、先ほどお話をしたようにまずは患者さんのお話を聞くところから始めます。初診の方には必ずファーストカウンセリングを受けていただきます。カウンセラーが、今までの状況などの背景をお聞きし、ご要望を含めて思いのたけをお聞きします。ファーストカウンセリングで、患者さんの情報と精神状態の把握ができます。その後、必要な検査をして、その方に合った治療方針を決めます。治療方針については、私が詳しく説明をするようにしていますし、説明を記した文書をお渡しもします。ただ不妊治療の内容については理解するのに難しい点もありますから、なかなか理解が難しいというような場合にはコーディネーターが入ってお話をするようにしています。
こちらで行っている不妊治療についてお聞かせください。
タイミング療法などの一般不妊治療から、卵管の狭窄や閉鎖がある方に用いる卵管鏡下卵管形成術、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療まで幅広い不妊治療に対応しています。段階を踏んで進めていきますが、検査の結果や年齢などによって治療方針は患者さんそれぞれで異なります。患者さんによっては最初から体外受精を行うということもあります。男性の不妊治療についても、開院当初から取り組んでいます。現在は、「リプロダクションクリニック大阪」「リプロダクションクリニック東京」のCEOで、男性不妊手術に精通する石川智基先生に来ていただき、男性不妊の外来も行っています。
石川先生による男性不妊の外来を開いたのはどのような理由からですか。
男性不妊治療の先端にいる先生方と治療に取り組めたら、という思いをずっと持っていました。そしてある時、石川先生にお会いする機会があり、2014年から当院で無精子症や精索静脈瘤の手術をしていただくことになりました。ただ患者さんの中には手術だけでなく、石川先生に診てもらいたいという方もおられるわけです。そういう場合、患者さんは大阪または東京まで行かなければならなかったんです。そこで、2020年3月から2ヵ月に1度の割合で外来にも来てもらうようにお願いしました。
ブライダルチェックや不妊セミナーの実施も
不妊セミナーを定期的に開かれていますね。
不妊セミナーは2、3ヵ月に1回のペースで10年ほど続けています。不妊治療は患者さんが理解して臨むことが必要です。言われるがままに治療を受けるというのではなく、ご夫婦がともに基礎知識をもってスタートしたほうがいいだろうということで始めました。当院で不妊治療を受ける方以外にもご参加いただけるセミナーですので、気軽にお問い合わせください。
ブライダルチェックという検査を実施されていますが、どういった内容なのでしょうか。
当院では女性・男性両方のブライダルチェックを行っています。女性の検査内容は、子宮がん検診、超音波検査、風疹検査、それに子宮内膜症や貧血、性病がないかについてのチェックです。男性は性病、風疹の検査に加え、精子の数を調べます。結婚を控えた方だけでなく、自分の健康状態を知りたいということでブライダルチェックを利用される方もおられます。
プライベートなことになりますが、先生の趣味は何ですか。
釣りとゴルフとバンドです。釣りは月に1回ぐらい、遊漁船で知り合った方々と一緒に行きます。ゴルフは医師になった時からずっと続けていて、知り合いの医師と楽しんでいます。バンドは愛媛大学附属病院時代に医局の先輩方と組みました。イギリスの有名なロックバンドの曲を演奏するバンドなんですが、自分たちのオリジナル曲も作っていてCDも2枚出しています。結婚式やイベントに呼ばれて演奏させてもらったり、年に2回くらいはライブもしたりしています。ちなみに私はキーボード担当です。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
不妊は細かく複雑な原因が重なり合っているケースも少なくありません。すぐ原因がわかって、すぐリカバリーできれば良いのですが、一筋縄ではいかないことも多いので、信頼できるドクターを見つけて治療に取り組んでください。医師との相性もあると思います。当院には女性の医師2人も在籍しております。女性特有の不調などで悩んでおられる方もお気軽にご相談ください。月経の不順、月経痛などがある場合は、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫など病気が隠れていることもあります。早期発見・早期治療が大事ですから、気になることがあれば早めにご相談ください。ブライダルチェックを利用していただくというのも、一つの方法ですね。