さぎぬま脳神経クリニック (川崎市宮前区／鷺沼駅)
島崎 賢仁 院長の独自取材記事
鷺沼駅近くのメディカルモール内にある「さぎぬま脳神経クリニック」は、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医の島崎賢仁院長が、CTやMRIなどを用いた検査で脳の病気の予防と早期発見に力を入れている。さらに頭痛の専門的な治療に注力し、「現在は慢性的な頭痛もタイプごとに適切な治療や改善策をご提案できます。特に片頭痛の治療は大きく進化し、生活の質の向上が可能となりました」と話す。全国でも数少ない頭痛の専門家として頭痛の外来診療に尽力し、地域で気軽に相談できるクリニックとして「病気の早期発見に努め、頭痛に困っている人の力になりたい」と言う島崎院長に、同院の狙い、検査・治療の特徴を詳しく聞いた。
検査を充実させ脳の病気の予防と早期発見に尽力
脳神経外科の診療内容を教えてください。
一般的に脳神経外科は、外科手術などで重篤な病気を治療するイメージが強いと思いますが、当院は脳の病気の「予防と早期発見のため気軽に通えるクリニック」をめざし2007年に開院しました。脳卒中をはじめ脳の病気は発症後すぐに対処すれば良好な予後をめざせることもあり、早期発見がとても重要です。検査で治療が必要な病気が見つかったときは、すぐに適切な医療機関をご紹介しています。ただ、病気にならないことのほうがもっと大切で、当院ではCTやMRI／MRAで脳の状態や脳血管まで調べ、頸動脈エコーや脈波図検査で動脈硬化の進み具合もチェックし、病気になる前の兆候を見つけ、生活習慣の改善などで予防することをめざしています。加えて、頭痛に対する専門的な治療も当院の特徴の一つです。
どのような方が受診されていますか？
頭痛、めまい、しびれなどの症状のほか、物忘れが気になって受診する方もおられます。特に頭痛で受診される方は多く、当院では頭痛の治療に力を入れています。頭痛は、腫瘍や脳卒中などほかの要因によって起きる二次性頭痛と、それ以外の一次性頭痛に大別されますが、慢性的な頭痛に悩まされていても「頭痛くらいで病院に行くほどではない」と市販薬を飲み我慢している方が多くいらっしゃいます。しかし、治療が必要な病気が隠れている場合もありますし、一次性頭痛でも例えば片頭痛に対して症状の改善が期待できる薬も登場しています。頭痛は仕方ないと諦めず、当院のような頭痛の専門家のいるクリニックに一度相談いただくことをお勧めします。
脳ドックの検査内容をご紹介ください。
当院の脳ドックにはAコースとBコースがあり、いずれも自由診療です。Bコースは医師による問診と、MRIとMRAによる脳に特化した検査を行います。MRIは脳の断面画像をもとに腫瘍などの異常を調べる検査で、MRAは同じ機器で脳血管の様子を診る検査です。脳卒中・脳出血、くも膜下出血などは脳血管の詰まりや破れにより起きる病気で、予防や早期発見には脳血管の確認が不可欠です。また頭部画像は脳神経外科専門医の私が読影しますし、検査後は予防に必要なアドバイスも行います。Aコースはこうした検査に頸動脈エコーや血液検査、心電図検査などが加わります。なお、脳ドックは特に症状のない方が受ける検査ですが、すでに頭痛やしびれなど症状がある方は通常の外来を受診していただければ、必要な場合には保険診療でCT、MRI／MRAの検査を受けられます。
慢性頭痛は3つのタイプごとに治療・改善が可能に
頭痛の診断・治療はどのように行うのですか？
まず問診や検査をもとに、一次性頭痛、二次性頭痛を見分けることが大切です。二次性頭痛の原因にはくも膜下出血、脳腫瘍など重大な病気も含まれ、必要な際には治療可能な医療機関をすぐにご紹介します。二次性頭痛でないと判断できた場合は一次性頭痛のタイプを検討します。当院では「頭痛チェックシート」を使って、締めつけられるような痛みか、ズキズキとした痛みか、目の奥がえぐられるような痛みかといった痛みの種類、痛む場所などを詳しく伺い、どのタイプに当てはまるかを確認。タイプに応じた治療や改善策をご提案します。検査して「重大な病気ではないから大丈夫です」で終わるのではなく、患者さんがお悩みの頭痛をどうしたら治療または改善できるのか検討し、生活の質を向上させることが頭痛を専門とする医師の役目と考えています。
頭痛のタイプごとの対処法を教えてください。
慢性的な頭痛は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に大きく分けられます。片頭痛は痛みを起こす原因物質CGRPに作用する薬の登場により、原因にピンポイントに治療することができるようになりました。片頭痛には専用の頓服薬がありますが、高頻度や強度が強い場合は、毎日飲む予防薬を併用します。しかし効果は不十分なことがあり課題となっていました。現在はCGRPに作用する薬が3種類あり、いずれも約月1回のペースで注射することで、片頭痛の頻度や痛みの軽減が期待できます。緊張型頭痛に対しては筋肉を弛緩させる薬を使用したり、痛みが出たときに薬を飲んだりすることに加えて、緊張を緩和する運動や、姿勢改善のアドバイスをします。群発頭痛に対しては頓服薬や点鼻薬、自己注射薬や在宅酸素療法など、治療の選択肢がありますので、まずはご相談いただければと思います。
検査機器も充実しているのですね。
脳ドックや頭痛の適切な診断には精度の高い検査ができる機器が必要で、当院では高磁場MRIやマルチスライスCTを導入しています。一般的に大学病院でのCTやMRIの検査は初診時に受けるのは難しく、予約を取って再訪し、検査結果はまた後日に聞きに行く、と時間がかかりがちです。当院は初診時に必要に応じたCTやMRIの検査が可能で、当日中に結果をご説明することもできます。また、動脈硬化の進み具合を知るために、頸動脈エコーや血圧脈波検査装置も備えています。動脈硬化の進行を防ぐことは、脳卒中など脳の病気の予防にも役立ちます。
検査も診断もスピーディーなクリニックをめざす
どのような思いでクリニックを始めたのですか？
以前は大学病院や地域の基幹病院に勤め、入院患者さんの治療や救急医療が仕事の中心でした。そのため、退院された患者さんを継続的にフォローする外来診療に十分な力を割けず、初診の患者さんの話もあまり伺えない、必要な検査を行うにも時間がかかる、といった点にもストレスを感じるようになりました。そこで患者さんとじっくり話ができ、検査もすぐに行え、手術後のフォローができるといった、病院では難しい部分を担うクリニックをつくろうと考えたのです。地域の中でクリニックと病院が協力して診療することで、患者さんはスピーディーで適切な診断・治療が受けられるようになります。現在は他のクリニックからも検査依頼を頂き、結果をもとに入院治療の必要性を早期に判断できるなど、病院との連携、クリニック同士の連携が地域の中で広がっています。
頭痛の治療に注力するのはなぜですか？
患者さんも周囲の方も「頭痛くらい我慢しよう」と考える方がまだ多いためです。頭痛を放っておいたり、市販薬を飲んだりしても、多くの場合で症状は改善せず、仕事の生産性が落ちて生活も楽しめないなど、その方の人生や社会に大きな損失になってしまいます。しかも市販薬を飲み続けると、薬物乱用頭痛という新たな頭痛を起こすこともあるのです。慢性的な一次性頭痛でも、タイプがわかれば治療や改善の方法をご提案できます。例えば片頭痛には専用の頓服薬がありますし、高頻度、高強度の場合は飲み薬の予防薬があります。飲み薬の予防薬が不十分な場合などには、月1回程度の注射で予防治療を行うことができます。まずは「頭痛は頭痛の専門家に相談する」ことを多くの方にお伝えしたいですね。
地域の方にメッセージをお願いします。
脳の病気の治療は一刻を争うことが多く、早期発見が非常に重要です。急に強い頭痛が起きたときや、普段の頭痛とは違うと感じたときは、すぐに脳神経外科のクリニックを受診してください。当院は当日検査・当日結果説明が可能ですから、問診や検査で問題が無かった場合は安心してお帰りいただけると思います。また2021年から、慶應義塾大学病院や聖マリアンナ医科大学病院などから招いた非常勤医師と私の2診体制を開始し、ホームページのリンク先から24時間受診予約ができるシステムを導入するなど、受診しやすい体制を整えました。問診票もウェブ上での事前入力が可能で、来院後にご記入いただく手間が減りました。頭痛やめまい、ふらつき、しびれなどの症状、慢性的な頭痛など気になる症状があれば気軽にご来院ください。
