さかむら歯科医院 (鎌倉市／大船駅)
坂村 昭彦 院長、坂村 亜希子 副院長の独自取材記事
大船駅笠間口からすぐ、白い外観に緑の看板が目印の「さかむら歯科医院」は、1995年の開業以来、約30年の歴史を持つ地域に密着した歯科医院だ。院内はやわらかな色合いで統一され、温かく落ち着いた雰囲気が魅力。ユニット間は仕切りで区切られ、プライバシーに配慮された空間となっている。坂村昭彦院長は鎌倉市出身で、「地域のかかりつけ医」として地元の歯科医療に貢献。市内の小学校の校医と園医も務める。副院長で妻の坂村亜希子先生は、毎週水曜に矯正歯科を担当。明るく朗らかで優しい笑顔が印象的な昭彦院長と亜希子副院長に、診療の特徴や大切にしているメンテナンスへの思い、今後の展望などについて聞いた。
地元で歯科医療に貢献する「地域のかかりつけ医」
大船駅前に開業された理由をお聞かせください。
【昭彦院長】私自身が鎌倉市出身で、40年以上市内に住んでいます。東京医科歯科大学を卒業し、東京医科歯科大学大学院を修了後、数年勤務医として経験を積み、「街の歯医者さん」をめざしたいという思いのもと、1995年にこの地で開業しました。地域の患者さんに気軽に訪れていただけるよう、温かで落ち着いた雰囲気を大切にしており、院内は白やベージュを基調にしました。一般歯科、小児歯科、矯正歯科、審美歯科、予防歯科、歯科口腔外科、入れ歯治療などに幅広く対応しています。
来院される患者さんの傾向についてお伺いします。
【昭彦院長】年齢層はお子さんから高齢の方までと幅広く、開業以来通院してくださる方も多いですね。中でも高齢の方が多く、主訴は入れ歯のトラブルや歯周病などが中心です。開業当時にいらしていた患者さんのお子さんやお孫さんが2代、3代といらっしゃるケースもあり、そこは「街の歯医者さん」ならではだと思います。この地域の方々に加え、近隣の会社に勤務されている方が仕事終わりの平日夕方や土曜に来院されることもあります。
診療の際に心がけていることを教えてください。
【昭彦院長】患者さんの歯の健康を預かる地域の歯科医師として、初診、再診を問わずクリーニングの前後に私が必ずお口の状態をチェックします。歯の健康を保つには、治療が終わった後の定期的なメンテナンスが大切ですし、メンテナンスに定期的に足を運んでくだされば、お口の状態が突然悪くなることは少ないと思います。「80歳になっても20本以上、自分の歯を保とう」という「8020運動」が推進されていますが、80歳で歯を20本以上保っている人は、食生活への満足度が高いだけでなく、医療費の負担が少ないというデータもあります。そのため当院では、一人でも多くの患者さんの歯の健康維持のサポートができるよう、メンテナンスに重きを置いています。
少しでも長く、1本でも多く、自分の歯を残せるように
患者さんは、歯科医院とどのように付き合えば良いのでしょうか。
【昭彦院長】歯科医院の患者さんの多くは、虫歯や歯周病などのトラブルを治療する目的で来院されます。こうした現状を承知していますが、本来歯科医院は「トラブル発生後」に出向く場所ではなく、「トラブルを未然に防ぐため」の場所であることを広く知ってもらえるとうれしいですね。歯科医院に定期的に通院することが、歯を削らずに済むことがめざせる方法であり、治療を回避する近道だと言えるでしょう。「歯のトラブルを防ぐためには、歯科医院に行くこと」、これを伝え続ける必要があると思っています。患者さんが、「生涯、自分の歯でおいしく食べる生活を可能にする」ために日々精進を重ねております。
貴院の治療方針について教えてください。
【昭彦院長】まず歯のライフサイクルについてご説明しましょう。一般的に生後6ヵ月頃に乳歯が生え、小学校に入るタイミングで永久歯が生え始めます。そして成人の年齢になると、親知らずが生えてすべての歯数がそろうという流れです。その中で歯科医師のミッションは、患者さんのすべての歯を維持するためのお手伝いをすることだと思っています。歯を失うことにつながりかねない主な原因は、虫歯と歯周病。虫歯は、適切な検査や処置を定期的に行うことで、特殊な場合を除き、防ぐことが望めます。成人以降に生じやすく、生活習慣病とも呼べる歯周病についても、虫歯ケアと同様に進行を遅らせることができるでしょう。歯並びが適正でない場合は、磨き残しによって虫歯や歯周病を招きやすいため、その場合は矯正治療をお勧めします。歯の状態が芳しくなく、歯の詰め物、かぶせ物やインプラントなどの治療を要する場合は、丁寧な治療に努めています。
院長は、大学院時代に接着の研究をされていたそうですね。
【昭彦院長】ええ。歯は、ミネラルが多く硬いエナメル質と、コラーゲンが多くやわらかい象牙質からできています。30年ほど前は、虫歯などで歯が欠けたりしたとき、エナメル質にはある程度接着ができたのですが、象牙質への接着は不十分でした。そのため、詰めたプラスチックが取れてしまうことがありました。そこで、象牙質にも接着しやすい接着剤の研究を行い、さまざまな実験や研究を重ねた結果、象牙質にも、エナメル質と同等に接着することが望めるようになったのです。歯周病などで歯の根っこが出てきてしまうと痛みを感じ、歯を抜く・抜かないといった話になることもあるのですが、象牙質接着の技術があれば、歯を抜かずに症状の改善が望める場合もあるのです。またこの接着技術のおかげで、強い咬合力にも耐えることが期待できる歯の詰め物やかぶせ物を用意できるようになりました。
地域の人たちの口腔の健康をサポートしていきたい
子どもには、幼少期から歯科医院に通院させるのが望ましいのでしょうか。
【昭彦院長】口腔状態は、親御さんが幼少期から中学生ぐらいまでの間にどの程度の歯科ケアに尽力してあげられたかにかかってくると思っています。虫歯でないから歯科医院に行く必要はない、という考え方は望ましくありません。子どものうちに、歯科医院は定期的に訪問する場所であることを教え、通院を習慣化することが重要だと思います。
【亜希子副院長】小児矯正を受けるお子さんの親御さんの多くは、子どもの歯科ケアにとても熱心な方ばかり。子どもには、虫歯を経験させたくないという思いでいっぱいのようです。そのような親御さんのもとで成長した方にとって、歯科医院は決まった間隔で訪問する場所になり、床屋さんや美容院へ行くのと同じように捉えていただけるのかなと。幼少期からの習慣の一つとして歯科医院に通うことができれば、口腔内をきれいで健康な状態に保つことが望めるでしょう。
矯正歯科や小児歯科の知見・経験も豊富でいらっしゃるようですね。
【亜希子副院長】私は鎌倉駅の近くにある「鈴木歯科矯正クリニック」の院長を務めています。普段は鎌倉で診療を行っていますが、こちらでは矯正歯科担当として毎週水曜に勤務し、お子さんから成人の方まで、幅広い年齢層の患者さんを診ています。お子さんの中には、スムーズにごっくんできない、おっぱいを吸うのが苦手、口をポカンと開いているなど、口腔機能発達不全症の状態に近しいケースも増えています。この状態を放置すると、歯列の悪化にもつながりかねません。当院は小児矯正、小児歯科にも対応しておりますので、口腔機能発達不全症についても専門的な知見と経験を有する歯科医師が、お子さんの気持ちに寄り添った治療を行います。行っていることの一つが、専用のマウスピースを使用したトレーニングです。口腔内の筋肉を正しく使えるようになれば、舌を上顎に誘導しやすくなり、正しい嚥下も可能になるでしょう。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
【昭彦院長】これまでどおり、「街の歯医者さん」として地域の方々のお口の健康をサポートしていきたいと思います。また、鎌倉市の歯科医師会の活動に加え、これまで約20年務めた市内の小学校の校医も、できる限り続けていきたいです。今年から、園医も担当することになりました。
【亜希子副院長】一般歯科と矯正歯科を同時に受診したい場合は、院長と連携を取りながら随時対応します。私どものモットーは、一人でも多くの患者さんが、何歳になっても自分の歯で食事を楽しめるようなアプローチを続けること。私も3人の子どもたちの子育てが落ち着きつつありますので、より良い形で運営していけるようなプランを立てたいですね。これからも、地域の皆さんに貢献するべく努力を重ねていきますので、お気軽にお立ち寄りください。
