小森歯科医院 (知多市/朝倉駅)
小森 真吾 院長の独自取材記事
名鉄常滑線・朝倉駅から徒歩3分の場所にある「小森歯科医院」は、1983年に開業してから長年地域住民に親しまれてきたクリニックである。待合室には魚の泳ぐ水槽やキッズスペースがあり、ずらりと並んだコミック雑誌や、所々に飾られたスタッフ手作りの折り紙がアットホームな雰囲気が漂わせている。同院では予防歯科と治療を行うフロアが分かれており、予防歯科専用の待合室は落ち着いたインテリアでおしゃれな雰囲気がある。小森真吾院長は「治療して終わりではなく、メンテナンスを継続することが大事」と予防歯科にも力を入れ、子どもからその親世代、高齢の患者まで誰でも気軽に来られる歯科医院をめざす。新しい治療方法も取り入れながら地域に貢献したいという小森院長に話を聞いた。
来院しやすい雰囲気を心がけ、開業当初から予防を重視
これまでの経緯や来院する患者層について教えてください。
私は高校生の頃、理系を選択しており、細かい作業も好きで、自分の適性を生かして人の役に立てれば、という思いから歯学部に進みました。大学卒業後、3年半ほど名古屋市内の歯科クリニックに勤務し、1983年にこの近くで開業、十数年前に今の場所に移転して現在に至ります。患者さんはお子さんからお年寄りまで近隣の方が中心で、20年、30年と続けて来てくださっている方も多いですね。今はインターネットで調べて来られる方や、紹介などで名古屋市北部や三河地域などからお越しになる方もいます。症状は虫歯や歯周病、インプラント治療、審美歯科など多岐にわたり、こまめに定期検診に来られる患者さんも増えています。
院内の造りや設備でこだわったところはありますか?
内装は、温かみのある色を基調にしました。開業当初から予防やメンテナンスをしっかり行いたいと考えていましたので、虫歯などの一般の診療と予防歯科は待合室も診療室も分けています。機器については、できるだけ先端の技術を取り入れるようにしています。患部を大きく拡大して確認しながらの治療を可能にするマイクロスコープや、セラミックの型採りから処置までが最短で当日に行えるCAD/CAM冠システム、歯科用CT装置を備えています。また、矯正に対してハードルが高いと感じる患者さんでも気軽に受けていただけるように、マウスピース型装置を使った部分矯正にも対応しています。
マウスピース型装置を使った矯正法の特徴を教えてください。
当院で行っているのは、抜歯の処置を行わない前歯の矯正を目的としたマウスピース型装置による矯正です。患者さんのメリットとしては、目立ちにくく矯正していることが周囲からわかりにくいこと、個人差はありますが約半年と比較的短期間で終えられること、全顎矯正よりも経済的負担が軽いことが挙げられます。ワイヤー矯正よりもハードルが低いので、患者さんも受け入れやすいのではないでしょうか。前歯の歯並びが気になる患者さんだけでなく、かぶせ物をするときに歯並びが良いと長持ちしやすいので勧めることがあります。どちらかと言うと子どもよりも大人の方にお勧めの矯正ですね。
成長に合わせ、顎の骨格にアプローチする小児矯正
予防歯科のほかにも力を入れている分野はありますか?
当院では小児の顎顔面矯正にも力を入れています。矯正はワイヤーをつけて歯並びを整えるイメージがあるかもしれませんが、顎顔面矯正とは、歯並びを悪くする根本原因である顎の成長不全の改善をめざします。最近は顎の骨格が小さい子が多いため、鼻の奥から喉にかけての空気の通り道が狭く、それを広げようと頭を前に出して呼吸をするため猫背になったり、お口をぽかんと開けて口で呼吸をするようになります。親御さんは歯並びを気にして来院されるのですが、骨格の問題がたまたま歯並びに出ているのです。顎の骨格を広げて良い方向に育成していくことで、歯がきちんと収まるスペースをつくり、口呼吸から鼻呼吸へと正しい呼吸ができるよう誘導します。成長に合わせて行うため、成長しきった後にする矯正よりも無理が少ない方法だと思いますよ。定期的に無料の矯正説明会を開催していますので、興味のある方はぜひお越しください。
矯正の装置や診療の流れについて具体的に教えてください。
装置は、急速拡大装置という金属製の物をお口の中に取りつけます。ねじがついていますので、1日1回、親御さんがねじを巻いて0.2ミリずつ装置を広げていきます。そうすることで顎の骨の幅を少しずつ広げていきます。広げる期間は2~3ヵ月ですが、その後に骨を固定する期間が必要なので、トータルでおよそ3~4年かかると考えていただくといいでしょう。痛みはほとんどありません。始めるのに適した年齢は6~7歳で、発育過程の段階で始めます。矯正後は、抜歯もワイヤーによる矯正も必要なくなるケースもあります。反対咬合、いわゆる受け口の方はもっと早めに4歳ぐらいから始めることが望まれます。たくさんのお子さんの診療をしているため、その子が将来どのような歯並びになるかがだいたい予測可能です。気づいた時点で親御さんにお話ししますが、矯正は自由診療ですので、こちらから押しつけるようなことはありません。
子どもの歯の健康について、親が日常生活で気をつけることはありますか?
まずは、仕上げ磨きをきちんとするよう意識しましょう。その時にお口全体をしっかり見てあげましょう。また、普段の食事にも気をつけるといいですね。やわらかいものばかりでなく、たまにはお口全体を使ってしっかり噛み切るようなおかずを出すようにしましょう。硬めのガムを噛むこともお勧めです。また、親御さん自身にも、特に妊婦さんには、お子さんに虫歯菌がうつらないよう、ご自身の口内ケアがまず重要であることをお伝えしています。
地域を大切に、気軽に来られる場に
先生が診察の際に大切にされていることは何ですか?
診察する時は患者さんの意思を尊重し、肉親だと思って丁寧に診察するようにしています。また、当院では歯科衛生士がトリートメントコーディネーターの役割も担っており、患者さんのニーズを把握するようにしています。初診ではトリートメントコーディネーターがヒアリングを行い、その後も治療の節目で患者さんと話をすることで患者さんのニーズや疑問をくみ取り、スムーズな診療をサポートしています。あと、普段なかなかご自分口の中をじっくり見る機会がない患者さんに現状を知っていただくため、初診の患者さんには口内の写真を撮ってモニターに映してお見せしているほか、虫歯でも歯周病でも原因はあるはずなので、「なぜ悪くなったか」という原因を追究することも大切にしています。悪い部分だけではなく口の中全体を見て診断することを心がけています。
仕事にやりがいを感じるときは、どんなときでしょうか。
難しい治療の場合、3~4年と長く通院される患者さんもいます。患者さんから「先生に会えて良かった、治療して良かった」との言葉をいただくと本当にうれしいです。治療後もメンテナンスに来てくださり、毎回健康的な歯を見るのは楽しみですね。患者さんと長くお付き合いできるのも、この仕事ならではです。痛いところは治療し、歯がない人には歯を作り、見た目の美を求める人には審美的ケアを施す。この仕事はいろいろなことができるところが面白く、やりがいがあります。患者さんの歯だけでなく、口内全体、体の健康までトータルに考えらられることも喜びです。
休日はどのように過ごされているのですか?
仕事が趣味でして、休日に顎顔面矯正装置を作製したりしています。たまにゴルフに行きますね。以前はジムにも通っていましたが、新型コロナウイルス感染症もあり、やめてしまいました。また落ち着いたら行こうかと思っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
顎顔面矯正にもう少し力を入れていきたいですね。当院では10年ほど前から始めていますが、今後症例が増えてくるとより多くの方が興味を持ってくれるようになると思います。普段はあまり歯のことを意識しないかもしれませんが、歯はまさに健康の入り口です。8020運動という言葉がありますが、80歳になっても20本以上の歯が残っている人は健康な人が多いように思います。美容院や理容院に行くように、身だしなみを整える感覚で、お口のケアを受けてみてはいかかでしょう。こちらから「来てください」と言うのではなく、自然に「そろそろ歯をきれいにしてこようか」という気持ちになっていただけるといいなと思います。