鳥居歯科医院 (横浜市青葉区／あざみ野駅)
鳥居 浩一郎 院長の独自取材記事
「歯科医療で大切なのは、末長いお付き合い。そのためにも地域に密着した、なんでも診られるホームドクターでいたい」と穏やかにほほ笑むのは、「鳥居歯科医院」の院長、鳥居浩一郎先生。「なるべく削らない、なるべく抜かない」をモットーに、開業以来28年にわたって予防歯科の大切さを訴え、患者の健康をサポートしてきた。取材中も校医を務める近隣の小学生が院内にいる鳥居先生を見つけて笑顔で覗き込むなど、地元住民から信頼を集める鳥居先生に、診療への想いから今後の展望までじっくり聞いた。
地域のかかりつけとして笑顔と健康を守る
長きにわたって地域に根差す歯科医院と伺いました。
1991年の開院以来、地元に密着したお口のホームドクターとして、赤ちゃんから高齢の患者さんまで、幅広い年齢層の患者さんにお越しいただいています。当院では患者さんのあらゆるニーズにお応えするため、虫歯や歯周病などの一般歯科から小児歯科、矯正歯科、口腔外科など幅広く対応しています。親子2代、3代で長く通い続けてくださるご家庭も多く、歯科医院といえば虫歯を思い浮かべる方が多いと思うのですが、当院はお口のメンテナンスや定期検診で来られる患者さんが多いのが特徴です。最近はご家族に「お口が臭う」と言われて来たという、歯周病のご相談も多いです。歯周病は糖尿病や心筋梗塞などの全身疾患とも大きく関わっているので、まずは気軽にご相談いただきたいです。
診療方針について教えてください。
開院以来、「なるべく削らない、なるべく抜かない」というスタンスでやってきました。一度削った歯は元には戻りません。どうしても削らなければならない場合は、歯科用のプラズマレーザーを使用します。これは従来のレーザーより高出力で、プラズマの熱エネルギーに神経を一時的に麻痺させる働きがあるため、麻酔なしで治療ができるだけでなく、細かい虫歯にピンポイントで対処できるため、歯を削る量を最小限に抑えられます。実際、抜歯と言われた患者さんの神経や歯を残すことができたケースもあります。また従来型のドリルと違い、患者さんに恐怖感を与えずに済むというメリットもあります。歯科医院に痛い、怖いというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、当院ではできるだけ痛くない、怖くない治療を心がけています。
患者と接する時にどのようなことを大切にしていますか？
最近はインフォームドコンセントということで、最初から事細かに説明する風潮があるようですが、まずは患者さんの話を聞くことが診療の基本だと思っています。同じ虫歯でもお口の悩みは患者さん一人ひとり異なります。どこがどのように痛むのか、どんなことに困っているのか、どのような治療を望むのかということから、普段の食事や生活環境まで、じっと耳を傾けていると患者さんはいろいろと話してくれます。一見雑談のような話の中にも、なぜそうなったのかという大きなヒントが隠れていることもあり、特に食生活は大事です。当院では単に悪くなった箇所を治療するだけでなく、その原因を取り除くため生活習慣を改善するところまでを治療だと考えています。いきなり100％は無理でも、長いお付き合いの中で少しずつ良い方向へ改善していけるようサポートをめざしています。
口は健康の入り口であり、病の入り口でもある
診療の際に使用する水にもこだわりがあるとお聞きしました。
当院では感染予防のため、歯科ユニットからうがい・手洗い・器具の洗浄まで、診察室内の水回りはすべて電解中性殺菌水を使用しています。殺菌水といっても、薬品は一切使わず、純度の高い塩と純水を電気分解したものなので、万一、飲んでしまっても人体に悪影響はありません。患者さんやスタッフの安全を考えてこの水を取り入れています。口腔内の健康を守ることは、全身の健康を守ることに直結しています。お口を健康の入り口とするか、病の入り口とするか。ぜひ一度、考えてみていただきたいですね。
歯科衛生士も活躍されていますね。
当院ではスタッフ全員が患者さんとのコミュニケーションをとても大切にしています。当院では「どうやって自分の歯で長い一生を過ごしていただくか」という観点から予防歯科に力を入れており、歯科衛生士が担当制で一人ひとりの患者さんのお口の健康をサポートさせていただいています。プロの手によるクリーニングやブラッシング指導はもちろんですが、当院のスタッフは目元や口元のマッサージをプラスしたりするんです。「リンクルケア」というらしいのですが、患者さんも「え、なに？」と、目を輝かせていて、こういう女性ならではの配慮はさすがだなと思います。毎回同じことの繰り返しではなく、このようなプラスアルファがあるからか、メンテナンスが楽しみだと言ってくださる患者さんも多いですよ。
スポーツ歯科の取り組みについて教えてください。
この地域では小学生から参加できるラグビーのクラブチームがいくつかあり、ラクロスも盛んなため、スポーツマウスガードを作ってほしいというご相談が多く、17年ほど前から対応しています。当院では診療してきちんと型採りをして製作するため、小中学生用から大人用まで対応可能です。装着が義務づけられているためスポーツ店でも購入可能なのですが、既製品のため大きさが合わないなど違和感があるだけでなく、きちんと一人ひとりのお口にフィットしたものを使わないと、衝撃から歯を守る、脳振とうを軽減するといったマウスガード本来の効果が得られません。安全のためにも、歯科医院できちんと作ることをお勧めします。
生涯にわたるサポートで、地域の健康を守りたい
歯科医師として日々の診療を楽しまれている先生。何か秘訣はあるのでしょうか？
常にどうしたらもっと患者さんに喜んでもらえるだろうかと考えるのが楽しいです。例えばこの診察室にあるパネルは、エアコンのように風を起こさず、冷水や温水を直接パネルに通すことで室温を最適化する輻射熱冷暖房システムなんです。エアコンが苦手な方も多いので取り入れています。リンクルケアもそうですが、来るたびにちょっとした小さな発見があるとお互い楽しいじゃないですか。来た時よりも帰る時の方が患者さんの表情が明るくなっているのをみると、「ああ、よかったな。次はどんなことをしようかな」とわくわくしています。
今後の展望を教えてください。
舌には正しい位置があることをご存じでしょうか。口を閉じた時の無意識の状態で舌の先が上顎のスポットと呼ばれる正しい位置にないと、歯並びが悪くなったり、口呼吸になって歯周病や風邪などのリスクが高まったり、滑舌が悪くなる、フェイスラインの崩れにつながるなどの影響がある場合があります。当院では、正しい舌の位置を習得していただけるようサポートもしていますが、今後もこのような機能向上につながるサポートを積極的に取り入れていきたいと思っています。また、食生活や大人になってから生活習慣を変えるのは難しいけれど、生まれた時から良い習慣を身につけることができれば、それは一生の財産となります。これから生まれてくるお子さんのために、妊婦さんやお母さんを対象にした勉強会のようなものを開催していきたいと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
歯は悪くなった時に治療するよりも、普段から予防やメンテナンスを続けていくことが重要です。当院では一人ひとりの患者さんと末永いお付き合いができるよう、何でも気軽に話せるアットホームな雰囲気を大切にしています。定期的に継続して通院していただくことは、ブラッシング指導などの予防ケアから食生活をメインとする生活習慣に対するアドバイスまで、生涯にわたる健康のサポートにもつながります。お口の健康管理を通じて、これまで以上に今後も地域医療に貢献していければと考えています。歯医者選びのポイントはいくつかありますが、当院に通うのが難しい遠方の方は、ぜひ「長く通える」ということも視野に入れて、信頼できるお口のかかりつけ医を見つけていただきたいと思います。
