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杉山 正隆 院長の独自取材記事

杉山歯科医院

(北九州市小倉北区/小倉駅)

最終更新日:2022/07/04

杉山正隆院長 杉山歯科医院 main

小倉駅から徒歩5分の場所にある「杉山歯科医院」は1920年に開業。現在は3代目である杉山正隆先生が院長を務めている。日本歯科大学を卒業後、新聞社に就職し、記者として医療を含む多数の現場を取材。現在は感染症やLGBTIQなどを含む人権問題にも積極的に取り組んでおり、その考えはクリニックの「誰にでも治療を受けてもらいたい」というスタンスに反映されている。どんなことも正直に伝え、患者との信頼関係を築いていく院長。「かかりつけの歯科に、年に1回でいいので検診に行きましょう。そうすれば5年、10年先の未来が大きく変わると思います」と定期的な通院の大切さも説く。患者に正しい知識を、時には笑いも交えながら伝えていく院長に、同院の歴史や治療方針などについて話を聞いた。

(取材日2022年6月17日)

年齢・性別・国籍を問わず、すべての患者を受け入れる

こちらのクリニックは1920年に開業されたそうですね。

杉山正隆院長 杉山歯科医院1

私の祖父が開業しました。当時はスペイン風邪がはやっていて、今はまた別の感染症に世界が翻弄されているのを見ると、奇縁だとも感じます。というのも、歯周病、虫歯(う蝕)も、菌による感染症だからです。当院ではスタンダード・プリコーション(標準予防策)を徹底しており、年齢、性別、身体的特徴、国籍、金銭的課題を問わず、すべての患者さんを受け入れる体制を、102年がたった今も続けています。

例えば車いすを使用する方、生まれつき耳が聞こえない方も、分け隔てなく対応されていると。

当然のことです。筆談も可能ですし、英語での対応も行います。当院は2階にありますがエレベーターなどがないので、前もってご連絡いただければビルの1階にお迎えにあがることも可能です。市から手話ができる方を派遣してくださることもありますね。またごくまれなことですが、治療中に歯科の治療とは関係なく、突発的に具合が悪くなる患者さんもおられます。高齢の方であればなおのことです。そういう場合も冷静に対処し、必要であれば心肺蘇生法を行い、救急車を呼んで救急病院まで迅速につなぎます。「歯科だから救命処置ができない」というわけではないのも、当院の大きな特徴です。

どんな患者さんも安心できるように体制を整えているのですね。

杉山正隆院長 杉山歯科医院2

当院の患者さんの99%と言っていいほどの方は、保険診療で対応します。金銭的に不安があるという場合でも、来院さえしてくださればできる限りの治療を行いますし、場合によっては行政につなぎ、適切な情報や保護を得られるよう環境を整えるお手伝いも行います。それに、お口の状態がきれいにならなければ就職活動に影響が出ることもあるでしょう。これも102年ずっとやってきた当院の大きな特徴の一つです。これを当院では「心のバリアフリー」と呼んでいます。物理的な面だけではなくどんな方にも対応する、その“壁(バリア)”がないことを意味するのです。

全身の健康と楽しい食事のためにも、予防は欠かせない

患者さんはどのような方が来ておられますか?

杉山正隆院長 杉山歯科医院3

祖父の代から家族3〜4代で通ってくださるケースも多いですよ。なので高齢の方も多く、糖尿病などの持病をお持ちの方もいます。当院では問診だけではなく、お薬手帳も活用します。場合によっては当院からかかりつけの内科の先生などに「お薬の飲み方をこう変えることは可能ですか?」などと相談することもあります。またこれはまれなことですが、舌がんを含む口腔がんが見つかった場合にはしっかりと次の医療機関につなぎます。歯科だからといって歯科の範囲だけしか見ないのではなく、患者さんの体全体を気にかけることが大事なのです。

歯周病と糖尿病には関連があるともいわれていますね。

脳梗塞、心筋梗塞、女性であれば子宮に関連する疾患につながるともいわれています。お口は体の上流に位置するもの。そこが汚れていれば、食事を介して胃腸に影響を及ぼすことも十分に考えられます。病気はその方の長年の生活習慣が、年輪のように体に刻まれたものとも言えます。ご家族同士だと体質的、環境的に影響し合うこともあります。そういう点でもご家族で来院されるのは理にかなっているのではないかとも思いますよ。女性であれば、赤ちゃんのためにも、妊娠する前に治療や定期検診を行うことをお勧めします。

だからこそ歯科での予防が大事なのですね。

杉山正隆院長 杉山歯科医院4

日本人で歯の定期検診を受けている人は少ないとされていますが、欧米では多くの人が検診に通っているとされています。これには保険制度の違いもありますが、やはり予防の意識を持つことは今後よりいっそう必要になるでしょう。施設や病院を訪れて感じるのは、あと5年から10年早く歯科にかかっていれば……ということ。入れ歯が合っていないけれど、入院しているので新しいものが作れないという方なども見てきました。人生の変わらない楽しみは、やはりおいしいもの・好きなものを食べることだと思うんです。歯科医師はそういう患者さんの楽しみや生活を守らなければなりません。そのためにも定期的に、できるだけ早いうちから、年に1回でいいので検診に来てほしいと切実に思います。お勧めはお誕生日ですね。そうすると忘れずに来院できると思いますよ。

情報を正直に伝え、できるだけ抜歯をしないよう努める

診察で心がけていることは何でしょうか?

杉山正隆院長 杉山歯科医院5

技術的なことでは、歯をできるだけ抜かないことです。どうしても痛い、気持ち悪いから取ってほしいという強い意思が患者さんにある場合は対応しますし、他にも寝ている間に抜けて気管に入ってしまうリスクが考えられる場合はこちらから抜歯を提案することもあります。しかし特に高齢の方であれば、血圧の高さによっても抜歯が可能かどうかの線引きを考えないといけません。基本は歯周病などもじっくりと時間をかけて治療していきます。患者さんの状態やその他治療に関わる情報などを正直にお伝えするのが当院の治療方針です。「自分の親や子どもを診るように治療する」という気持ちは、常にありますね。

セカンドオピニオンにも対応しているそうですね。

例えば東京に行くにしても、新幹線・夜行バス・飛行機など行き方はさまざまです。治療も同じで、ゴールは同じでも先生やクリニックによって道筋が違います。セカンドオピニオンはその一つを提示すること。だからといって他の先生の意見を否定することは絶対にありません。考えはクリニックでそれぞれ違い、選ぶのは患者さんですから。当院はどちらかというとのんびり、じっくりと取り組むタイプです。また、私がまだ子どもの頃の当院の待合室には固いおせんべいや果物もあって、おじいちゃんやおばあちゃんがそれを食べながら話に花を咲かせていたんですよ。でもそれは入れ歯が合っているかを確認するためでもあったんです。治療後すぐには合っていると思っても、噛んでどう感じるかは食べてみないとわかりません。そうやって患者さんの本音を引き出していたと考えると、当院のスタイルがわかる出来事だったのかもしれませんね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

杉山正隆院長 杉山歯科医院6

ご自分の歯の相談ができるかかりつけの歯科を、ぜひ持っていただきたいと思います。私は以前新聞社の記者として働いていた経験があり、野球チームの元監督の方ともお話しする機会がありました。どうして引退をされたのかと質問すると「奥歯が壊れて踏ん張れず、力が出せないからです」と答えてくださいました。それくらいに歯は大事なのです。他にも震災ボランティアとして各地に足を運んだこともあり、そこでまた患者さんの本音に接することもありました。そのような経験談や失敗談をお話ししながら、いい意味でのんびりと、丁寧に治療をしていくのが当院です。これからも歯科医師・記者として培った知識を生かし、他院とも連携しながら、地域の患者さんの歯を守っていきたいと思います。皆さんもぜひ、年に1回の定期検診を受けて、ご自分の歯を長く使えるように守っていきましょう。

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