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齋藤 俊 院長の独自取材記事

明輝会クリニック

(鹿児島市)

最終更新日:2021/10/12

齋藤俊院長 明輝会クリニック main

県道16号沿い。鹿児島市営バス・南国交通のみやこ迫停留所から徒歩1分の場所に「明輝会クリニック(旧・内村川上内科)」はある。その歴史は古く、1975年の開業から長きにわたって吉野の地に根づき、地域医療を支えてきた有床診療所だ。現在の院長である齋藤俊(さいとう・たかし)先生は3代目。宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)を1997年に卒業後、急性期医療に携わり、その後徳之島や奄美大島など離島のへき地医療に従事。2009年から同院の勤務医となり、2019年に院長に就任した齋藤先生に、訪問診療を主軸に外来診療、入院の3つの部門で地域住民の健康をサポートしているクリニックの特徴や、診療における心構えなどを聞いた。

(取材日2020年10月15日)

患者に寄り添い、住み慣れた地域での療養を支える

まずはクリニックの特徴を教えてください。

齋藤俊院長 明輝会クリニック1

開業から45年の節目を迎え、院名を法人名を掲げた「明輝会クリニック」に改名しました。内科・肝臓内科・消化器内科・呼吸器内科・循環器内科・代謝内科・糖尿病内科・放射線科を標榜し、内科全般を外来から入院治療、訪問診療まで、垣根のない主治医制をとって切れ目のない医療を提供する有床診療所です。医師や看護師が定期的に訪問して診療や看護を行う在宅支援では、寝たきりの人だけでなく、通院の移動に不安のある人、認知症などで外来で待つことが困難な人、脳梗塞の後遺症や事故によるまひ、神経難病といった重度障害の人、退院後の療養生活に不安のある人など、吉野地域にお住まいの方々に広くご利用いただいています。住み慣れた地域や自宅での療養をフォローするだけでなく、「最期は自宅で」というご本人やご家族の希望をかなえられるよう、看取りも積極的に対応しています。

どのような診療が受けられますか?

風邪や生活習慣病、健康診断などをはじめとする内科全般の診察、治療を行っています。患者さんはご年配の方が多いのですが、年齢を重ねると複数の病気にかかることも珍しくないですよね。「この病気は診ません」ということはなく、基本的にはどんなこともご相談いただき、より高度な医療が必要になった場合には連携する病院へ速やかにご紹介しています。生活習慣病の患者さんは、働き盛りの年代の方も少なくありませんので、ニーズに応えて土曜の診療は18時まで可能です。私自身は感染症や呼吸器内科が専門ですが、昨年から糖尿病治療が専門の坪内博孝先生、この春からは消化管の内視鏡検査や治療が専門の大沢光毅先生が加わりました。それぞれ専門性を持つ医師が主治医となり、外来での治療から入院病棟、在宅診療までの医療を提供しています。

訪問診療ではどのような診察や治療ができるのですか?

齋藤俊院長 明輝会クリニック2

原則として通院が困難な方に行うことが大前提で、疾患の状況や年齢にかかわらず外来診療を受けられない方が対象となります。医師と看護師が、「住み慣れた患者さんの家」で、診察室と同じように問診から始まって基本的な診察を行い、注射や検査をご自宅で行うことも可能です。突発的な“往診”とは違って、計画的な医療サービスを行うことを目的に、月2回以上の診療や治療、薬の処方、療養上の相談や指導などを包括的に行っているのが大きな特徴です。契約を結んだ患者さんは24時間365日体制で対応し、急に体調が悪くなった時は、電話での相談や訪問看護、往診、あるいは救急車の指示など、状況に応じて柔軟にサポートしています。すぐに救急車を呼んだほうが良いのか判断に迷われる時でも、定期的に訪問診療している主治医の判断を仰げるのでご家族も安心感があるのではないでしょうか。

多職種連携で患者と家族をサポート

在宅医療のメリットについて教えてください。

齋藤俊院長 明輝会クリニック3

通院するのが難しい患者さんが、住み慣れたご自宅で医療を受けられることが一番のメリットでしょう。介護タクシーなどを利用して通院することもできますが、普段は家で安静にしている患者さんが外出すること自体、容体によっては心身への負担が大きくなります。加えて、予定を合わせて通院に付き添うご家族の往復の移動時間や病院での待ち時間、交通費の負担がなくなるだけでも、在宅医療を検討してみる意味は大きいのではないでしょうか。また、ご家庭での様子がわかることで、より生活に密着した適切なアドバイスができる点も大きなメリットだと言えます。

在宅医療には多職種との連携が重要ですね。

そのとおりです。患者さんがご⾃宅で療養するためには、医師だけでなく、いろいろな職種の⼈たちが患者さんを中⼼にサポートする体制が必要となります。看護師や介護士、ケアマネジャーさんにリハビリの療法士や薬剤師も加わり、患者さんに合わせたチーム医療を行っています。以前は、患者さんに関する申し送りは紙やファクスで共有されていましたが、今ではICT(情報通信技術)を活用することで、行った処置や、今現在の状況を速やかにリアルタイムで共有することもできます。そうしたネットワークを活用して、チームで一緒に考え、患者さんに寄り添った対応を行うことで、地域の皆さんをお支えしています。

先生が、診療において心がけていることをお聞かせください。

齋藤俊院長 明輝会クリニック4

在宅医療の場合、患者さんやご家族の生活の場に入って診させていただいていますので、ご本人だけでなく、患者さんを日々支えているご家族も含め、全体を見てサポートしていくというスタンスでお付き合いさせていただいています。病気を治すのであれば病気を診るだけでいいと思われるかもしれませんが、その病気になった原因、特に生活環境などの背景がわからなければ、一向に治らないということもあるのです。そのためには患者さんと私たちがお互いに打ち解けなければ、本当のことなど出てきませんよね。信頼関係を築くためには、いろいろな会話を交わすことが大切だと思っています。お訪ねする回数が増え、病気に関係ない話も重ねるうちに、その背景が見えてくることもあります。

長年のノウハウを生かし、患者や家族の思いに応える

外来や入院病棟、訪問診療とお忙しいと思いますが、どのようにリフレッシュされていますか?

齋藤俊院長 明輝会クリニック5

午前中は外来、午後から交代で訪問診療に出かけ、3人の医師で在宅の患者さんを診察しています。もちろん交代で休みをとっていますが、私はその休みを使って医療系の学校の講師をやっているんです。完全なオフにはなりませんが、医療の世界をめざす若者を指導する、週に1度のこの時間が私自身パワーをもらえ、気分転換にもなっていますので、リフレッシュできているのかもしれませんね。基本的にはダイビングやキャンプといったアウトドア系の遊びが好きで、家族とも出かけていました。今年も計画があったのですが、この1年は当然のことながらまったく無理でしたね。また可能な時期が来たら、そういったアウトドアも再開したいものですね。

今後の展望についてお聞かせください。

クリニックとしては、基本的には今の方向性で、患者さんから求められるものを一つずつやっていくことだと思います。これからも地域住民の方々が、その生涯を住み慣れた地域で安心して生活できるよう、病気の治療はもちろん、健康状態を少しでも高めるお手伝いをしながら、より良い医療・介護を提供していきたいと思っています。「明輝会クリニックに相談すれば安心」と地域住民の方々に頼っていただける存在になりたいですね。そうした意味でも、どんな要望があるかを率直に言っていただけるような関係性をつくっていきたいと思っています。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

齋藤俊院長 明輝会クリニック6

病気だけでなく、患者さんとご家族も含めた全体を見守りながらフォローできる。そんなところにも在宅医療の良さがあるのではないかと思っています。国の方向性が長期の入院ではなく、在宅療養推進に向かっていますので、今後も在宅医療を必要とする患者さんは増え続けると予想されます。当クリニックには今まで培ってきたノウハウがありますし、関係各所とのネットワークも築き上げてきました。提携している施設であれば、在宅での看取りだけでなく、施設に伺うこともできます。コロナ禍の今、「家族と会えなくなるのは嫌だから」と、自宅に帰ることを望まれるご本人やご家族が増えています。そうしたご希望にも「どうすればかなえられるか」をスタッフ全員で常に考えるようにしていますので、一度ご相談いただければと思います。

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