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義村 勝 院長の独自取材記事

ストレスケア義村クリニック

(福岡市中央区/赤坂駅)

最終更新日:2023/05/25

義村勝院長 ストレスケア義村クリニック main

「ストレスケア義村クリニック」は、明治通り沿いの空港線赤坂駅4番出口直上のビル8階にある。オレンジと緑を基調とした明るい院内で診療にあたるのは、カジュアルな服装がトレードマークの義村勝院長だ。ビジネスパーソンのストレスによるうつ病などに対して相談窓口の役割を担い、一人ひとりの人生のストーリーを重視したカウンセリング中心の診療に取り組む。オフィス街という地域性から、心のデイケアも展開。あるときはプレゼンテーション、あるときは卓球など、緊張と弛緩のプログラムを提供して復職をサポートしている。忙しい毎日の中、休日にはマウンテンバイクによる運動でストレスを発散しているという義村院長。現代人が抱えるストレスへの向き合い方、注力しているデイケアなどについて話を聞いた。

(取材日2020年6月18日/情報更新日2023年5月18日)

ビジネスパーソンのストレス症状に寄り添う

2000年に開院されたそうですが、それまでの経緯を教えてください。

義村勝院長 ストレスケア義村クリニック1

もともとジークムント・フロイトの精神分析に興味があり、精神科の医師になろうと思って医学の道に進みました。山口県萩市で生まれ、鹿児島県の徳之島で育ち、自分の中にある種の二面性があったことも、人間の心を知りたいと思うようになったきっかけの一つなのかもしれません。熊本大学医学部を卒業し、福岡大学医学部精神医学教室に入局後は、重度の双極性障害や統合失調症の患者さんの臨床にあたり、医局長も務めました。精神科の病院で院長として勤務した際には、閉鎖病棟を開放するなど病院改革にも奔走しましたが、やはり患者さんと近くで接していきたいと思い、2000年5月に当クリニックを開院しました。

ビジネス街の中心部にあるので、やはり仕事のストレスによる心の病気などが多いのでしょうか?

地域性もありますが、30代後半の方で、働くことはできるもののうつ症状を訴えている患者さんが多いですね。ゴールデンウイーク明けの時期には、慣れない環境で疲れてしまい、連休で緊張の糸が切れた新入社員の方なども来院します。ですが、やはり30代後半の世代は、仕事では部下ができる一方上司から大きな仕事を任されたり、家庭では子どもができたりとさまざまな責任が加わってくる。そうしていろいろな角度からのストレスにさらされることで、心を病んでしまうケースが多いのでしょう。男女比は、どちらかというとメンタル面の相談に対してためらいが少ない女性が多く、中には恋愛相談に訪れる方もいらっしゃいますよ。そういうときには精神科的なアプローチではなく、友達をつくるようにアドバイスしています。

患者さんと向き合う際に心がけていることはありますか?

義村勝院長 ストレスケア義村クリニック2

生物/脳、心理/性格、社会/環境の3つの方向から診断と治療を行うように注意しています。さらに経済という側面も重要で、例えば経済的に困窮している方には高価な新薬ではなくジェネリック薬を使う必要がありますし、統合失調症で動けない状態でかつ周りにサポートできる家族がいなければ生活保護も考えながらの診療が必要になるからです。話を伺うときには、生い立ちから聞くのが基本。どういう状況で育ったのか、どういう両親だったか、生まれる前から誰にでも人生のストーリーがあるはず。脳の状態や性格に加え、そうした環境因子も診療にとって貴重なピースとなります。仕事のストレスを訴える方がいても、話をじっくりと聞くと実は家族関係に問題があるなど、その人の生きざまを見て全体を俯瞰して治療しなければ回復にはつながりませんから。

リワークプログラムで復職に向けたサポートを

どういった症状があれば受診したほうがよいのでしょうか?

義村勝院長 ストレスケア義村クリニック3

うつ病は、基本的に気分の落ち込みや思考力低下などの症状が2週間以上続く場合に診断されます。わかりやすいのは不眠です。睡眠薬や睡眠導入剤を服用しても2週間以上睡眠障害が続くようであれば一度、精神科を受診してみることをお勧めします。意欲がない、頭が回らない、動けないといった症状が長く続く場合は、投薬治療が必要でしょう。軽症であれば心の絡まった糸をほどくようにカウンセリングを中心に行っていきます。重症化すれば治療も難しくなり、休職ともなれば患者さんご本人や、家族にとっても負担が大きくなります。男性はまさか自分がという思いから精神科の病院へ行くこと自体を苦痛に感じられることもあるかもしれませんが、そういう方の受け皿として当クリニックをご活用いただければと思います。

復職をめざすリワークプログラムについて教えてください。

うつ病を発症し、何年も仕事に行けない、仕事を続けられない、再発を繰り返す。そうした方を対象に復職をめざしていくためのリワークプログラムを行っています。臨床心理士と相談しながらプログラムを決めていますが、卓球をしたり、大濠公園を散歩したりというレクリエーションと、コミュニケーションやプレゼンテーションなどトレーニング要素の強いメニューなどを準備しています。リラックス状態と緊張状態のバランスを図ったプログラムを通して、社会復帰をめざしていくんです。月に1回はプログラムの卒業生の集まりも開催しているのですが、実はこれが非常に重要。職場に戻るとそこでまた孤立を感じやすいのですが、一緒に治療に取り組んだ人たちと交流することで、再発防止につなげていきたいですね。また最近は大人の発達障害も話題に取り上げられることが多くなりました。そうした方たちにもデイケアを通して、サポートをしていきたいと考えています。

認知行動療法とはどういったものなのでしょう?

義村勝院長 ストレスケア義村クリニック4

誰かにメールを送ったとしましょう。すぐに返事が来なかった場合、どう感じるでしょうか? うつ病の患者さんの場合、すぐに返事が来なければ嫌われたと落ち込んでしまう人が多くいらっしゃいます。冷静に考えてみれば、忙しかったり、ちょっと時間がたってしまったために返事がしにくかったり、いろいろな理由が考えられますよね。そうしたマイナス思考や極端な思考など「考え方の癖」が偏らないように認知の仕方にアプローチしていくのが、認知行動療法です。

ストレスマネジメントで負荷を軽減していく

現代人と切っても切り離せないストレス。軽減することはできないのでしょうか?

義村勝院長 ストレスケア義村クリニック5

まずはご自身にとって何がストレスなのかを知ることが大切です。意外と自分では気がつかないもので、仕事をしている方であれば業務が忙しいというわかりやすいストレスに囚われてしまいがち。じつは夫婦間の問題であったり、子どもの問題であったり、介護の問題であったり、別のところにストレス要因があることも。生きている限りストレスを感じない人はいません。一時的にそういう状態になることはあるかもしれませんが、ストレスがあるのが人生です。試験があるからこそ勉強し学力が伸びるように、程よいストレスは成長のもとになります。いかにストレスをマネジメントしていくか。それがストレス軽減の鍵です。

近年は新型コロナウイルス感染症の流行で、ストレスを抱えた人が増えたのでは?

新型コロナウイルス感染症は世界的なストレスで、全員が感じているでしょう。それで医療機関を受診する方は多くはない印象ですね。それとは別に、自分だけがつらい状況にある、という方がストレスに感じられるものなんですよ。人並みでありたい、人と違うことがつらいという方はとても多い。いわゆる人並みコンプレックスですが、人は皆違っていいもの。何が人並みなのか基準もありません。性同一性障害も最近では認められるようになってきましたが、一昔前は病気の一つとして捉えられていました。世の中は常に変わっていきます。多様化の時代、人と違うことを悩む必要はありませんから。

最後に、読者へメッセージをいただけますか?

義村勝院長 ストレスケア義村クリニック6

特に30代から60代の女性はストレスを抱えやすい世代。結婚があり、子育てがあり、役割も妻、母、そしてビジネスパーソンの顔を持つ方もいらっしゃる。さらに50代になると更年期障害もあり、男性に比べはるかにうつ病になりやすいと考えられています。まずは冷静にご自分を見つめ、家族に状況を発信してください。家族でなくても相談できる人がいれば大丈夫。ストレスはじわじわと重なっていきます。そんなときに話せる相手、仲間がいれば客観性を取り戻すきっかけになります。あるときは友人と話し、あるときは趣味に没頭するなど、パワーを充電しながら毎日を過ごしてください。

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