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井上 誠 院長の独自取材記事

余戸クリニック

(松山市/余戸駅)

最終更新日:2022/12/19

井上誠院長 余戸クリニック main

伊予鉄郡中線余戸駅より徒歩5分、閑静な住宅街にたたずむ「余戸クリニック」。開業から30年、地域のかかりつけとして患者の健康を見守り続けているのは、院長の井上誠先生だ。学生時代は、一度は経済学部に進学した後、医師の道を志したとか。今回、「僕が生まれ育った松山で、医療を通じてお世話になった方々に恩返しをしたい」と語る井上院長に、医師をめざしたきっかけや開業までの経緯、診療方針、訪問診療のこと、今後の展望など、豊富な話題で語ってもらった。病気を早期に発見するために、定期健診の重要性について熱く語る井上院長からは、地域住民の健康を願う想いがひしひしと伝わってきた。

(取材日2019年6月3日/再取材日2022年10月20日)

医療を通じて、生まれ育った地域に恩返しがしたい

まず、医師を志したきっかけから教えてください。

井上誠院長 余戸クリニック1

最初は経済学部に進学していたのですが、当時は学生運動が活発な時代でした。僕はノンポリティカルで、活動している先輩たちのことを一歩離れた気持ちで見ていたんですね。学生運動に参加している人も、卒業すると企業戦士に変わっていく、その変化にも戸惑いを感じていたんです。そんな状況でしたので、自分の進むべき道がわからず、「もっと自分らしく生きたい」という想いも強まってきて。そんなとき、とある新聞で全国に2900の無医地区があることを知ったんです。僕が医師になることで、その無医地区が一つでもなくなるかも……という想いを抱くようになりました。そして、日本で乳児死亡率が最も高いといわれていた小さな村で、住民の命を守り続けている医師の奮闘を知り、僕も同じような医師になりたいと思いました。

大学を進学し直すというのは、大きな決断ですよね。

そうなんです。僕の家族や親戚に医師はいませんでしたし、医師を志しても、医学部に合格する保証もなかったので、不安はありましたよ。合格するまでに4年かかり、高校の先生からは「お前もよくしつこく頑張れるな」と言われたほどです。退学をし、医学部に入学するまでの間には、多くの方々にお世話になりました。恩返しをしないといけない方がたくさんいますが、その分を自分なりの想いを込めた診療で患者さんに返していきたいと考えています。

内科を専門にされた理由は何でしょう?

井上誠院長 余戸クリニック2

もとは無医地区で働きたいという想いがありましたので、一つの専門医としてではなく、全体を診ることができる医師をめざしました。それで、オールラウンドに対応できる内科を専門にしたんです。大学卒業後は、研修や臨床経験を積み重ね、医師が不足している、瀬戸内海の中島にある町立病院にて、へき地の医療に取り組みました。医師不足の状況を経験したからこそ、病気を早期に発見し、重症化する前に治すことの大切さを強く実感しましたね。その後、事情もあり、これまでお世話になった方々に恩返しをしたいという思いを抱き、生まれ育った地域で開業に至りました。

開業から30年がたっていますが、振り返ってみるといかがですか。

そうですね。開業当初から、少しでも地域の皆さんのお役に立てるようにと考えて、日曜日や深夜などの急患への対応や、訪問診療にも取り組み、少しずつ「地域のかかりつけ医」として認めていただけるようになれたと思っています。「困った時にいつでも診てくれる、何でも相談にのってくれる」と頼っていただける診療所でありたいと思っています。そのためにも、周りの医療機関の先生方と医療の連携を強め、地域の皆さんのお役に立てるよう取り組んでいきたいと考えています。

病気の早期発見・早期治療のためには、定期検査が重要

診療内容について教えてください。

井上誠院長 余戸クリニック3

地域のかかりつけ医として、幅広い疾患に対応しています。風邪や頭痛、腹痛などの一般的な内科疾患はもちろん、心疾患や脳血管疾患の治療や発症予防のために、高血圧症、糖尿病、高脂血症など生活習慣病の治療には特に力を入れています。また、病気が進行したり重症化したりすることを未然に防ぐための必要な検査を定期的にお勧めしています。その結果で精密な検査や専門の医師による高度な治療が必要となった場合は、専門の医療機関と連携して速やかに対応しています。

病気の早期発見に注力されているのですね。

そうですね。潜む病気を早期に発見し治療するため、定期的に必要な検査を受けていただくよう患者さんにはお伝えしています。当院では、一般の方の健康診断はもちろん、企業健診も行っています。問診をはじめ、血液検査や心電図検査、胸部写真、眼底検査、腹部超音波検査、頸動脈エコーなど、さまざまな検査を実施。健康診断によって早い段階で病気を発見できれば、身体的・経済的な負担を軽減することにもつながりますからね。特に基礎疾患を持つ方には、大きな病気に至らないようにきちんと治療を継続していただき、定期的な検査も受けていただきたいと思います。

生活習慣病の治療はどのように行っていますか?

井上誠院長 余戸クリニック4

必要最小限の薬と最小限の検査で、できる限り負担の少ない治療を心がけています。例えば高血圧症が疑われる場合でも、すぐに治療を始めるのではなく、まずは血圧手帳をお渡しして、家庭用血圧計で1〜2週間ほど血圧を記録していただきます。治療が必要と思われる場合も、エックス線検査、心電図検査、眼底検査などを加え慎重に評価を行った上でお薬を選ぶとともに、栄養や運動の指導なども含めてサポートいたします。糖尿病や高脂血症の患者さんに対しても、すぐに薬を処方するのではなく、まずは食事の改善や運動の取り組みを指導し、良好なコントロールをめざします。日常生活で無理なく実践できる治療を継続することで、がんや脳卒中、心筋梗塞などの重疾患につながらないように管理していくことが私たち医師の努めです。

先生ご自身も健康的な生活を送っているそうですね。

歳をとって、随分と早起きになりました(笑)。今は朝の3時半には目が覚めて、病院の待合室の花や庭の植裁に水やりをし、少し明るくなると、重信川の河川敷を歩いたり、松山城に登るなどしています。学生時代はワンダーフォーゲルをしていて、北アルプスへもよく登っていたんです。今は桜や紅葉など、四季折々の名所を訪ねて、500メートルほどの高低差のある山登りを楽しんでいます。その際に撮影した紅葉などの写真を、診察室のデスクトップにしているんですよ。デスクトップの画面は季節に合わせて変えています。患者さんに季節の移り変わりを楽しんでいただければ幸いです。それから、患者さんの癒やしになればと、待合室の花も季節に合わせて変えています。

自分の命を守るのは自分、その手伝いをするのが医師

訪問診療も行っているとお聞きしました。

井上誠院長 余戸クリニック5

1990年の開業以来、「できる限り地域の皆さまのお役に立ちたい」という想いから、夜間・休日の急患対応や訪問診療も行ってきました。新型コロナウイルス感染症流行のため現在は夜間・休日の急患についてはお電話での対応になっていますが、「足腰が悪い」などの理由で当院への通院が難しくなった患者さんを対象とした訪問診療は継続しています。当院がめざすのは「困ったときになんでも相談できる地域のかかりつけ医」。お困りのことがありましたら、遠慮なくご相談いただきたいと思います。

今後の展望を教えてください。

何よりも、若い方に健康に興味を持っていただいて、健康を維持するために取り組んでいただけたらと思います。そのために、病気になったり、病気が重症化したりする前に、予防するための指導・アドバイスに力を注いでいきたいです。40歳くらいの若い方が、いかに健診を受けてくれるかがポイントですね。自己負担なく受けられる自治体の特定健診や多少の負担で受けられるいろいろながん検診もありますので、ぜひご活用いただき、自己の健康管理につなげていただきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

井上誠院長 余戸クリニック6

たとえ長く生きたとしても、寝たきりになってしまい、天井だけを見つめているような状態ではつらいかもしれませんよね。若い頃から健康を意識した暮らしを行えば、健康寿命を延ばすことが期待できます。そのためにも、定期的な健康診査は非常に大事です。ぜひお受けいただきたいです。自分の生命を守るのは、自分ですから。自分の足で歩けて、自分の口で食べて、人さまとお話できる状態がいつまでも続くように、そのお手伝いをするのが僕らの仕事だと思っています。これからも地域に密着し、患者さん一人ひとりに寄り添いながら、丁寧な診療を続けていくつもりです。地域のかかりつけ医として、何でも気軽に相談していただけるとうれしいです。

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