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藤解 邦生 副院長の独自取材記事

とうげ外科胃腸科

(廿日市市/広電廿日市駅)

最終更新日:2021/10/12

藤解邦生副院長 とうげ外科胃腸科 main

「とうげ外科胃腸科」は、1980年に藤解堯文(とうげ・たかふみ)院長が開業。3年前に息子の藤解邦生(くにお)先生が副院長に就任し、以来、親子2人体制で診療を行っている。副院長就任時にクリニックを全面リニューアルし、2階フロアを内視鏡検査や外科領域の日帰り手術を行うスペースにした。がんの早期発見のためには、気軽に検査を受けられることが重要と考え、内視鏡検査では鎮静剤を使って苦痛に配慮した検査を実施。このほか、肛門疾患や鼠径ヘルニア、下肢静脈瘤といった外科領域の日帰り手術にも力を注ぐ。日帰り手術は麻酔後の患者の管理が重要であるため、スタッフも含め勉強会に参加し、日々医療体制の充実と向上をめざしている。得意な治療やクリニックの今後の展望について副院長に話を聞いた。

(取材日2020年11月4日)

内視鏡検査と日帰り手術に対応したクリニック

先生が外科医師の道に進もうと思われたきっかけは何だったのでしょう。

藤解邦生副院長 とうげ外科胃腸科1

当院は、父が1980年に開業し、2017年に私が副院長に就任しました。子どもの頃から父が仕事をする姿を見て、自然と医師になる道を選ぶことになりました。患者さんの中には、私が小さい頃から通院されている方もいらっしゃり、「頑張ってお医者さんになってね」と励ましていただくことも多く、背中を押してもらいましたね。私はもともと体を動かすことが好きで、研究職よりは手術をして病気を治す外科の医師になりたいと思ったんです。たまたま専門が父と同じですが、そういう思いで自ら外科を選びました。学生時代も含め、医師になる道は厳しいと感じることが多かったですが、患者さんと向き合う毎日を過ごす中で、この道を選んで良かったと思っています。

副院長に就任される時に、院内をリニューアルされたんですね。

藤解邦生副院長 とうげ外科胃腸科2

当院はもともと2階に入院施設があったのですが、私がこちらに戻った際に全面的にリニューアルしました。2階は専門病棟というか、内視鏡検査と日帰り手術をするためのフロアに造り替えたんです。ですから、1階は父が従来からの診療を続けており、2階は私が専門診療をするという形になっており、待合室もそれぞれのフロアにあります。2階には内視鏡室、手術室のほか、回復室や付き添いの方のための休憩室も設置してています。何回もショールームに足を運び、壁紙や床材を自分で触って確かめ、患者さんの動線や安全性を考えながら一つ一つ決めていったので、業者の方に「ドクターが自分で来られるのは珍しいですよ」と言われてしまったり(笑)。でもそうやって悩んでつくったクリニックなので、満足感もあり思い入れも強いですね。

なぜ、内視鏡検査に力を入れようと思われたのでしょうか?

私は、外科の中でも消化器外科、その中でも大腸と肛門外科を中心に診療を行っています。以前勤務していた病院ではがん患者を診ることが多く、命に関わる病気に対峙されている方たちの手術をしてきました。その中で、精いっぱい手術をさせていただいても医療の手が及ばないという経験をし、もっと早く発見できれば良かったと思うことがありました。「どのように難しいがんを取り除くか」ということはもちろん大事なことですが、それにはどうしても限界があります。だからこそがんが進行する前の早期発見が大事なんだという思いを強くし、内視鏡検査をできるだけ多くの人に受けてもらいたいと考えるようになりました。そのためには、できる限り痛みを軽減し、患者さんに負担が少ない形で検査をする必要があると考えています。

外科領域の日帰り手術を幅広く行う

こちらのクリニックの内視鏡検査の特徴について教えてください。

藤解邦生副院長 とうげ外科胃腸科3

新型の内視鏡検査機器を導入し、診断の精度向上に努めています。また、当院では、患者さんがリラックスして検査を受けられるように鎮静剤を使うのですが、その際の安全性の確保に最もこだわっています。鎮静剤を使って検査をすると、検査中は眠ったような感じになり痛みもほとんど感じませんが、検査後もしばらくの間はふらつきが残ります。その状態の患者さんがすぐに歩こうとすると、場合によっては転んでしまうこともあり危険を伴います。特に高齢の方も多いので、皆さんが安心して検査を受けられるように、当院では検査を受けたベッドで横になったまま、回復室まで移動していただいています。その後、回復室でゆったり休んでいただいてから帰宅してもらうので、患者さんの負担も少ないと思います。

日帰り手術にも力を入れていらっしゃるんですね。

藤解邦生副院長 とうげ外科胃腸科4

下肢静脈瘤や鼠径ヘルニア、肛門科の痔の手術など外科領域の手術を幅広く行いたいと考え、私がこちらに戻った時に立ち上げました。日帰り手術というのは、外科医師なら誰でもできるというものではないんです。安全に手術ができ、なおかつ日帰りできるようにするためには、麻酔の深さのバランスが重要で、それは今まで日帰り手術部門のある病院で多くの経験を積んだからこそできることだと思います。また、手術の補助や麻酔後の患者さんへの対応など、スタッフが担う役割も大きいです。ですから当院は、スタッフの数も多く、勉強会に参加してもらうなど教育にも力を入れています。スタッフも皆向上心を持って頑張ってくれているので頼もしいです。

下肢静脈瘤とはどういうものなのでしょうか?

当院の日帰り手術で一番多いのは肛門疾患で、2番目が下肢静脈瘤の手術です。下肢静脈瘤というのは、足の血管がぼこぼことこぶのようになってしまう病気です。これは、静脈が壊れてしまうことで、本当なら心臓に戻っていくはずの血液が足にたまってしまい起こります。高齢の方や立ち仕事が多い方、妊娠をきっかけになる方もいらっしゃいますね。女性に多いこともあり、「スカートがはけない」など見た目を気にされる方も少なくありません。ただ、この病気に関する情報が少ないせいか、下肢静脈瘤手術が日帰りで手術が可能なことを知らない人が多く見受けられます。保険適用ですし、悩んでいらっしゃる方は相談していただければと思います。

早期発見だけでなく、がん予防の知識を啓発していく

日帰り手術を受けられている患者層について教えてください。

藤解邦生副院長 とうげ外科胃腸科5

患者さんは、広島県内はもちろん、島根や山口など県外からも来院されています。あと、この廿日市は近年ファミリー層が増加していますが、この世代は共働きの方も多く、そういった方々のニーズが高いと感じています。以前日帰り手術センターのある病院で勤務した時、「仕事や育児で時間が取れず、入院して手術を受けることができない」という声をよく聞きました。そして今も、外科領域の日帰り手術を幅広く行っているクリニックはまだ少ないのが現状です。日帰り手術は、帰宅してから不具合が起きないように、患者さんを安全にお返しすることがとても重要です。そういうプレッシャーはありますが、「日帰り手術をしてくれるクリニックをずっと探していた」という患者さんの声に励まされながら、日々努めています。

クリニックでは、腸内フローラの解析も行っているのですね。

藤解邦生副院長 とうげ外科胃腸科6

これは私自身も興味がある分野です。大腸や肛門の患者さんは、おなかの悩みを持っている人が多く、便秘や下痢、アレルギーのある女性からの相談が多いですね。腸内には、さまざまな種類の細菌が生息していますが、それらの細菌を分析することで「腸のタイプ」を判断していけるので、その結果を参考に食事指導などを行っています。ただ、腸内細菌層を調べたからといって問題がすぐに解決するということではなく、食事の見直しや運動など継続していくことが大事です。こういった取り組みを通して、自分の体を知ることで、意識が変わり行動変容のきっかけにしてもらえればと考えています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

がんは、進行した状態で見つかるとどうしても手がつけられないことがあります。だからこそ早期発見が大切だと考え、内視鏡検査に力を入れて取り組んできました。最近は検査の意義が患者さんにも少しずつ浸透し、検査を受ける方も増えてきていると感じます。ですが、がん予防という意識は、まだ普及していないと思うんですね。喫煙、飲酒だけでなく、肥満や食事の対策ががんの予防につながることが徐々にわかり始めています。クリニックからも情報発信をすることで、がんになるリスクを少しでも減らしていければよいなと思っています。

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