理学療法の考えを取り入れたトレーニング
産前産後ケアや健康維持
レディースクリニックかとう
(川西市/川西能勢口駅)
最終更新日:2020/12/28


女性は妊娠・出産、更年期のホルモンバランスの変動などから、ライフステージごとに健康にもさまざまな影響が出てくるもの。「レディースクリニックかとう」では、産婦人科医師として豊富な経験を持つ加藤宗寛院長と、女性理学療法士、そしてスポーツインストラクターがタッグを組み、健康教室を通してさまざまな体の悩みをサポートしている。女性特有の悩みへの対応や日常生活をより快適に過ごすことを目的とし、理学療法士による「健康回復プログラム」と、スポーツインストラクターによる「健康促進プログラム」がある。こういった取り組みを行うクリニックというのは珍しいそうで、今後も女性目線を大切にし、女性の体と心を元気にしていきたいと加藤院長。同院ならではの取り組みについて、話を聞かせてもらった。(取材日2020年11月30日)
目次
フィジカルとメンタル、両方の健康回復・促進を図り、女性を元気にしていくことが目標
- Q貴院が行っている健康教室とはどのような取り組みでしょうか?
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A
▲一人ひとりにオーダーメイドのプログラムを実施
健康教室は女性理学療法士が行う「健康回復プログラム」と、ベテランの女性スポーツインストラクターが行う「健康促進プログラム」があります。前者は、骨盤臓器脱(子宮脱)や産後の骨盤ケア、更年期障害、がんの術後ケアなど、女性が抱える幅広い症状に対応します。後者はより健康になりたい方へ、インナーマッスルトレーニングやストレッチ、姿勢の指導などを行うとともに、高齢女性に向けて日常生活動作の改善のためのトレーニングも行います。プログラムは個々のペースに合わせ、マンツーマンで指導を行います。大切なことは体を動かすのと同時に、心の疲れや悩みも一緒に吐き出してもらうようにしていることです。
- Qこの2つを合わせて「女性リハビリ」と表現しているそうですね。
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A
▲女性が健康に生活を送れるよう常に全力で向き合う院長
2015年にリハビリテーション学会に、メンズウイメンズ部門が発足しました。性差に基づく診断や治療の違いを、リハビリにも応用したものです。これも今でいうフェミテックの一つです。例えば、脳梗塞の後の言語能力の回復は女性のほうが早いと考えられている一方で、女性は50歳過ぎると急激に骨粗しょう症が進むことがわかっています。そのような性差を考慮しながら、尿失禁、更年期障害の諸症状、肩こり、下肢の浮腫、冷え性といった女性特有の悩みに対して、理学療法を取り入れて応えていきます。美容目的で取り入れる医院は増えていますが、当院のように健康回復・増進目的で女性に特化して行う産婦人科は、少ないのではないでしょうか。
- Qどのような方が健康プログラムを指導されるのでしょうか?
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A
▲「ママ向け骨盤底筋体操」を行う様子
月曜日の「健康回復プログラム」は、肉体的・精神的に不安や痛みなどがある方をサポートしていくもので、理学療法士の春本千保子さんが担当します。大阪回生病院で長年、リハビリテーションに取り組んでこられた方で、論文も数多く執筆されています。助産師向けの講師なども務め、複数の産院で産前産後のリハビリテーションも実践されています。水曜日の「健康促進プログラム」は、多様な運動指導の資格を有し、スポーツクラブで15年以上の経験を持つスポーツインストラクターの小川陽子さんが担当です。先生の明るいキャラクターのおかげで、指導中は笑い声が絶えません。「ママ向け骨盤底筋体操」に加え、更年期体操も現在考案中です。
- Q実際の指導内容について教えてください。
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A
▲実際の指導について説明する理学療法士の春本千保子さん
症状の度合いや痛みのある場所だけでなく、痛みに過敏であるとか精神的な不安が強いなど、その方の個別性を十分に把握した上で、オーダーメイドのプログラムを考えていきます。自分の体のことをご自身がきちんと理解することが重要なので、評価した内容は患者さんにも共有します。筋力トレーニングやマッサージをはじめ、姿勢の改善やバランス感覚の練習など動きの改善を獲得していく運動を、時には会話を楽しみながら行っていきます。自宅でも同じように運動をしてもらえるよう、道具を使ったトレーニングはタオルや椅子など身近なものを利用するようにしており、ご自宅でも適切に運動ができているかどうか毎回チェックします。
- Qそもそも、こうした健康教室を始めた背景を教えてください。
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A
▲多職種連携を通じた女性の健康サポートが魅力
私自身、スポーツクラブに30年ほど会員として通い、そこでマタニティービクスやマタニティースイミングの立ち上げも手伝いました。また5年前に大病を煩った際は、治療後にピラティスを通して心身ともに回復を図っていきました。そうした経験もあり、産婦人科診療に理学療法を取り入れたいと思ったのですが、理学療法は性差を問わず行われているものばかり。女性に特化したものがないのなら、自分が始めればいいと考えました。女性の病気を知り尽くした婦人科医師と、女性の体や心の問題を十分に理解している女性理学療法士、そしてスポーツインストラクターがタッグを組み、今までになかった女性目線のトレーニングを提供するに至ったのです。