伊藤 恵美 院長、末次 義文 事務長、荒矢 崇 理事 の独自取材記事
あらや診療所
(大東市/住道駅)
最終更新日:2024/07/10
学研都市線住道駅から車で5分ほど、恩智川沿いの住宅地にある「あらや診療所」は、30年以上にわたって地域に密着した診療を提供するために、何人もの医師がバトンを受け継ぎ大切に守ってきたクリニックだ。4月から同診療所の院長を務めることとなった伊藤恵美先生は「正直にいうと、最初はプレッシャーがすごかったです」と少しおどけた表情で話し、その様子を荒矢崇理事と末次義文事務長がほほ笑みながら見守っていた。アットホームな雰囲気のもとめざすは「自分の家族にしてあげたい医療」の提供。志を同じくする3人に、診療内容や今後の展望など詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2024年6月17日)
開院から37年。地域に寄り添い形を変える診療所
まずは診療所の歴史や現在の診療内容を教えてください。
【荒矢理事】当診療所は私の父が1987年に開業し、当初は19床の有床診療所としてスタートしました。しかし20年ほど前からは外来診療のみに絞り、現在まで地域のかかりつけ医として診療を続けています。父が亡くなった際には廃院も考えたのですが、近隣の方々から「診療を続けてほしい」との声が多く、その後は外部から先生をお迎えして診療を続けています。
【末次事務長】各時期の院長の専門領域によって診療内容は少しずつ変わってきましたが、地域の方に日常的な医療や健診を絶やさず提供するという役割は担い続けてきました。この度、伊藤先生に来ていただけたことで、新たなクリニックの歴史を紡げることをとてもうれしく思っています。
伊藤先生のこれまでの歩みや専門について聞かせてください。
【伊藤院長】関西医科大学を卒業後、順天堂大学医学部附属浦安病院や関西医科大学附属病院の皮膚科で働いていました。その後は大阪市内の皮膚科や美容皮膚科で研鑽を積んでいたのですが、患者さんと接するにつれて「皮膚だけでなく、美容ではなく、もっと健康そのものに関わっていけないだろうか?」と考えるようになりました。そんな時に知り合いを通してこの診療所のことを知り、お二人のお話を聞いて「そんな診療所ならやってみたい」と思い、院長を引き受けることにしました。ただ、これまで皮膚科を専門にしてきた時間が長かったので、そんな自分にちゃんとした診療ができるんだろうか?といった気持ちも正直ありました。でも、皮膚科時代から全人的な治療をめざしていたので、内科的な問題とも向き合ってきたのだからと勇気を出して飛び込んだ次第です。
お二人から見た、伊藤先生はどんな先生ですか?
【末次事務長】とても優しく「患者のために」を自然にできる先生だと思っています。人あたりが丁寧で、患者さんにも明るく接してくれるので「新しい先生は優しくていいね」とお声がけいただくことが多いんですよ。
【荒矢理事】患者さんの些細な話を丁寧に聞き取ってくれますし、説明もわかりやすい。私たちはこの診療所を「地域の人のための場所」だと思っていますので、働く人には「誰かのために動けること」を何よりも求めています。診療の腕はもちろん大切ですが、例えば手術がうまいだけだったら病院で働いてもらったほうがいい。ここは技術や知識を披露する場所ではなく、患者さんのための医療を提供する場所なので、ごく自然に患者さんのために動ける伊藤先生にご縁をいただき、本当に感謝しています。
広い診療で、地域の健康を支え続ける
伊藤先生が診療の際、特に大切にしていることは何ですか?
【伊藤院長】できるだけ患者さんのお話を聞くこと、患者さんの気持ちを大切にすることですね。診療所には重症の方が来ることはあまりなくて、ほとんどは風邪や発熱、腹痛、咳、頭痛といった日常的な体調不良です。それから高血圧症や糖尿病といった生活習慣病の管理、花粉症やアレルギー疾患、排尿の悩み、皮膚の症状、不眠症など、直接的に命に関わることはないかもしれないけど、本人にとってはつらい症状の相談です。症状を聞いて、さっと検査をして、お薬を渡して診療が終わるクリニックもあるとは思うのですが、症状を悪化させないためにも、潜んでいる重篤な病気を見逃さないためにも、まずは丁寧にお話をしてから診断する。その上で当診療所でできるものは治療し、そうでなければ適切な医療機関をご案内することにしています。
高齢者に多い整形外科疾患も、診療されているそうですね。
【末次事務長】患者さんからのご希望が多く、以前から整形外科の医師を招いて診療日を設けていましたが、このたび診療日をさらに増やして毎週月曜午前、水曜午前、金曜午前に診療しています。年齢に伴う変形性関節症や骨粗しょう症、肩や腰の痛み、さらに労働やスポーツに伴う外傷や骨折などにももちろん対応できます。当診療所の3階では通所リハビリテーションのデイケアを行っていますので、デイケアの患者さんも診ています。院内にはCTがありますので、迅速な検査、診断が可能であることも強みだと思います。
送迎や訪問診療にも対応されているそうですね。
【荒矢理事】専用の送迎車と運転スタッフがいますので、ご連絡をいただければ、大東市内の患者さんであればご自宅まで、また電車を利用される方は住道駅までの送迎を、患者さんのご都合に合わせて行います。この辺りにはお一人暮らしの高齢の方も多く、一人で不安な気持ちのまま過ごしている人も数多くいらっしゃいます。送迎を利用していただくことで、適切な診療をを受けることはもちろんですが、当診療所に来ることそのものを楽しみの一つにしていただけたらと考えています。
【伊藤院長】患者さんが「送迎があるから来ることができました」とニコニコとお話ししてくださることも多く、こんなところにもこの診療所の「患者のために」が体現されているなと感じます。
「自分の家族に受けてほしい医療」をめざして
訪問診療や訪問リハビリ、デイケアについても教えてください。
【荒矢理事】訪問診療や訪問リハビリは、通院での診療やリハビリが難しい患者さんを対象に行っています。デイケアでは多彩なリハビリメニューを準備していますので、楽しみながら体も脳も心も元気になっていただきたいと思っています。どちらも介護保険適用ですので、ご希望があればご相談ください。
【末次事務長】過去に私の母が要介護になり、「デイケアに行かない?」と聞いたところ、私の母は行きたがらなかった。なぜなのか尋ねてみると「行っても同じことをするだけだからつまらない」って言うんです。それを聞いて納得してしまう自分がいたんです。誰だって同じ事ばかり繰り返したくはないですよね。だから、私たちがめざしているのは「また行きたくなるデイケア」です。楽しい気持ちは生きるために必要な刺激。リハビリを通して、地域の皆さんの元気を守っていきたいとみんなでアイデアを出し合っています。
伊藤先生は、今後のどんなことにチャレンジしていきたいですか?
【伊藤院長】まずは地域の皆さんに私たちのことをもっと知っていただけるように頑張りたいと思います。今は医療が細分化されていますけど、私たちにはどんな相談をしてもいいんだということを知ってもらいたい。その上でお一人お一人と良い関係を築き、その人にとって必要な医療を丁寧に届けていきたいです。まだまだ不慣れなことも多い私ですが、来院くださる皆さんに優しく迎えていただけて本当にうれしく思っています。私自身も医師としてレベルアップできるよう精一杯努め、皆さんにとって「家族のような」かかりつけ医に成長していきたいです。
それでは最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
【伊藤院長】当診療所では健康診断や予防接種も実施していますし、発熱時には院内にある検査機器を使って迅速にPCR検査を行っています。地域の方の健康の問題はまず当診療所で受け止め、できる限りのことをしたいと考えています。病気や健康に関することで悩みがあったら、迷わず来院して下さい。お待ちしています。
【末次事務長】当診療所ならではのアットホームな診療・リハビリを地域の皆さんにお約束します。医療から介護まで幅広く皆さんのお役に立てるよう、これからもスタッフ一丸となって頑張っていきたいです。
【荒矢理事】患者さんのためになることは何か?と考えてみると、まだまだできることがたくさんあるなと感じます。患者さんのためになることを考え、実行していくことが私たちの喜び。これからも愛されるクリニックづくりを進めていきたいです。