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服部 智 院長の独自取材記事

服部整形外科

(高槻市/高槻駅)

最終更新日:2022/05/26

服部智院長 服部整形外科 main

JR西日本京都線高槻駅から15分ほどバスで高台に上がった安岡寺町(あんこうじちょう)にある「服部整形外科」は、開業から42年目を迎える。地域貢献を大切にする服部智院長は年に数回、区民のための健康講座において講師を担い、高槻市民医学講座でも要望があると講演を引き受けるのだという。服部家は1800年代から医師を務める家系として現在に至っており、服部院長で13代目になるそうだ。医療が身近にある中で育ち、子ども心に人の健康の役に立ちたいと思っていたと話す服部院長。優しく落ち着いた語り口に温かい人柄がうかがえるベテランドクター、その胸の内にある医療への想いや今後の展望などについて話を聞くことができた。

(取材日2017年12月6日)

200年の長きにわたり受け継がれる地域医療への志

江戸時代から医療に携わってきた家系なのですね。

服部智院長 服部整形外科1

農村や山あいの地域では医師が足りておらず貴重な存在だったからこそ、服部家では代々医師を継いでいくことを使命として養子縁組をしながら今に至り、親戚筋もほとんどが医療に従事しています。祖母は東京女子医科大学の3期生で卒業後は島根県で診療にあたっていました。2018年3月末に廃線となる予定の、島根県と広島県を結ぶJR西日本三江線で「天空の駅」としても知られる宇都井駅から見えるところに祖母の家が残っています。私は大阪を地元として育ちましたが、小学生の頃から夏休みや冬休みなど長期の休みには祖母のところで過ごしました。医療過疎地域の小さな村や町での診療を兼任する医師は内科や外科、産婦人科などあらゆる分野の症状を一人で診なければなりません。そんな祖母の往診について行って包帯を巻いたり、丸薬を作るのを手伝ったりしていたので、自然と「将来はお医者さんになる」と思うようになっていました。

病院を継がれるまでの経緯を教えてください。

金沢医科大学を卒業後、大阪医科薬科大学整形外科学教室に入局していくつかの関連病院へ出向した後、大阪医科薬科大学のリハビリテーション医学教室で助教を務めました。その後、父が開業した当院の院長に就任しました。大規模病院や緊急の手術が多い救命センターなど、さまざまな医療現場で研鑽を積んだことは大きな財産となっています。整形外科要因だけでなく脳腫瘍や脳梗塞による麻痺、内科的な膠原病、難病とされる疾患や乳がんの術後ケアなど、さまざまな診療科のリハビリテーションを請け負うことができましたからね。また、総体的に診てきた経験により改善システムをつくり、立ち上げる役割も任されていました。ですから当院の特徴は多方面に幅広く診療できることだと思っています。

どのような患者さんが受診されますか?

服部智院長 服部整形外科2

当院は山の上に位置しているので患者さんは中腹から上に住まう近隣の方がほとんどです。山と山の谷間となるアップダウンがきつい地形のため、この地域に長く住んできた高齢の方のほとんどが膝を悪くされています。平地での歩行よりも膝にかかる負担が大きいことが原因です。山岳地帯の住民は平地で暮らす住民よりも膝が悪い人が多いともいわれていますので、たとえバス停までのわずかな道のりであったとしても、蓄積された負担が高齢になった時に症状として出てきてしまうのです。当院では付近の住民の方々が多く抱える症状を父の代から診てきています。

不調原因を明らかにしてから対処するという認識を

整形外科での受診をためらう方もいると思うのですが。

服部智院長 服部整形外科3

実は多いのですよ。整形外科に行くのは大げさに感じて接骨院や整骨院に行っていたけれど、症状が改善しないからと来院される方が結構いらっしゃいます。患者さんは特に重症との自覚がなければ、ちょっとぶつけただけ、痛むけど大したことないはず、しびれるのは加齢によるもの、など自己判断をしてしまうようです。そうした場合に整骨院などに行かれるのですが、まずは整形外科で診察・診断を受けてほしいですね。整骨院などではなかなか病気やけがに気づけないかもしれませんから。

整骨院や接骨院となると、医療とは少し異なりますね。

ですので先に病院での医学的な診察を受けた後に、整骨院などを利用されるなら安心なのですが、診断のついていない状態でマッサージを受けるとなると、心配なこともあるのです。痛みやしびれには、どんな原因が潜んでいるかわかりませんからね。部位によっては重症化することもあります。整形外科ではレントゲンを撮ってもわからない骨折があることも十分承知していますので、丁寧な診察やMRIで診断をつけて治療にかかることもできます。スポーツをしている子どもたちや学生さんたちでも、トレーナーに大丈夫だと言われたのでと痛いのを我慢して練習や試合に出続けて、後になって重症化してから来院されることがあるので残念でなりません。もっと早くに休ませないといけない状態や疲労骨折に気づけず、無理が重なり将来的なダメージやリスクを負う可能性が高い場合もありますからね。

先に整形外科で原因を突き止めてから、という認識が広まってほしいですね。

服部智院長 服部整形外科4

そう認識することで体の不調や痛みを感じた時に、何でもないかもしれないけれど、まずは整形外科へと迷うことなく受診されるようになるとうれしいですね。私は中学・高校とバレーボールをしていたのですが、2年ほどのブランクがあって大学で再び始めた時に腰を痛め椎間板ヘルニアを患ったのです。一度目の手術は20代の時で、3ヵ月間車いす生活でした。10年後には2度目の手術を受けましたし、その時に最大限の痛みだ、というほどのつらさを味わいましたので、患者さんのつらさや痛みが身を持ってわかります。だから精度の高い治療で病状から解放してあげたいと強く思うのです。

地域住民の健康な長生きのために

休日のリフレッシュ法を教えてください。

服部智院長 服部整形外科5

昔から釣りが好きで大学時代も金沢港付近で釣りをしていましたが、40代になってから船で出るようになりました。今は大阪府高槻市医師会の釣り部に所属していて年に4~5回はメンバー15人ほどで海釣りに行きます。私は船酔いしないのが強みですね。明石ダコを釣りに行った時は手で糸を手繰り寄せ釣りあげるという初めての体験でしたが、22匹と一番多く釣りました。また、今年から写真部にも入り、春は桜、秋は京都嵐山の紅葉と撮影に出かけるのですが、私だけスマートフォンでの撮影だったので、プロの先生が同行して教えてくれるのに失礼なのではとささやかれ(笑)。今はみんなと同じように一眼レフカメラを購入して腕を磨いています。

高齢化が進む中で健康な長生きに着目されているとか。

平均寿命は上がりましたが健康寿命とは10歳前後の差があり女性で12年、男性で8年は違うといわれます。その差を縮めるために気をつけるべきことなどをわかりやすく健康講座などでもお伝えしています。高齢者にとって転倒は健康を損なうきっかけとなりますから注意点を説明して予防に役立ててもらっています。高齢になると足が上がりにくいためじゅうたんのようなほんの数ミリのものでも、ひっかかりやすい段差となるのです。多くの方がどこかから落ちての転倒ではなく、立った状態からつまずいて転んでしまっているので、家の中の環境づくりとして整理整頓、段差をなくすことをアドバイスしています。つえをつくことも予防の一つなのですが皆さん格好悪いからと嫌がるので、必要となるバランス感覚のためにも足腰を鍛える運動療法に取り組んでいただいています。

今後の展望を聞かせてください。

服部智院長 服部整形外科6

高齢の方だけでなくスポーツに励む学生や若い世代のためにも、リハビリテーション科のスタッフ、理学療法士や作業療法士を増員していきたいですね。また、専門の医師による診療や診断が必要であると判断した場合や、手術を要する症状の場合は、適切な先生のところへ紹介することも地域の診療所の役目であることとして、その都度、適切に対応できるよう心がけています。そのためにも患者さんが気軽に相談できるように、受診しやすい医院づくりを展開していきたいですね。

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