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自覚しにくい認知症
家族への問診と先進の検査で早期発見・治療

井上クリニック

(池田市/池田駅)

最終更新日:2023/05/15

井上クリニック 自覚しにくい認知症 家族への問診と先進の検査で早期発見・治療 井上クリニック 自覚しにくい認知症 家族への問診と先進の検査で早期発見・治療
  • 保険診療

老化によって誰でも発症する可能性のある「認知症」。65歳以上の4人に1人が認知症またはその予備軍といわれ、患者を支える家族の負担も大きな課題となっている。「井上クリニック」の井上幹人院長は、開業以来、地域の高齢者を中心に診察してきたが、その多くが認知症の患者だという。「患者本人もその家族も、たとえ認知症の傾向があっても認めたくないという思いが強いんです。しかし、早期発見できれば進行を遅らせるためのアプローチができますし、家族への負担も少なくなります」と井上院長。クリニックに物忘れの外来を設け、検査の受診を広く呼びかけている。認知症の診断方法や、気になる検査の流れについて教えてもらった。

(取材日2023年4月5日)

検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!

Q認知症の診断はどのように行いますか?
A

認知症の場合、ご本人が自覚して来院されることよりも、ご家族が変化や認知機能の低下に気づき、心配して相談されることのほうが多いです。そのため、まずはご家族から詳しく話を聞き、問診票の記入やDASC-21(ダスク-21)というツールによっておおよその症状や状況を把握します。患者さんには2回目の来院の際に一緒に来てもらい、長谷川式知能評価スケールや物忘れ相談プログラムというタッチパネル式のチェックプログラムを受けてもらいます。その結果を点数化し、血液検査や場合によってはCT・MRIによる画像検査を行った上で、認知症かどうかを判断するという流れになっています。

Q「DASC-21」とはどのような内容ですか?
A

認知症は、物忘れに加えて生活機能が障害される病気です。生活機能障害では、時間や場所がわからなくなる、物事が段取り良くできない、一人で外出できないといった症状が現れます。認知機能の低下に加えて、こうした生活機能障害を拾い出すのがDASC-21というツールです。その名のとおり、21個の項目があり、それに答えていくことで認知機能をある程度把握することができます。合計点が31点以上ですと、「認知症の可能性あり」と評価されます。点数化することで客観的に患者の状態を診ることができますし、本人やご家族も納得しやすいと思います。

Q認知機能の確認にタッチパネル式を用いるのはなぜですか?
A

物忘れ相談プログラムは、簡単に言うと長谷川式知能評価スケールの主軸となる質問をいくつかピックアップした、簡易版のようなものです。認知症の評価でよく知られている長谷川式知能評価スケールですが、20分程度の時間がかかるほか、患者さんのプライドを傷つけてしまうこともあります。さらに、中には質問に答えられないことをごまかそうとする方もいるんです。この点、タッチパネル式の物忘れ相談プログラムであれば、5分ほどでできるので時間も短縮できますし、機械とのやりとりですから、プライドを傷つける可能性も低い。ごまかしもききませんしね。検査の内容と同時にタッチパネルの操作能力も見るようにしています。

検診・治療START!ステップで紹介します

1家族との相談
井上クリニック 家族との相談

認知症は、患者の家族が変化に気づき、医療機関に相談することで発覚するパターンが多いという。本人は認知機能の低下を自覚していない場合や、話したがらない場合がほとんどのため、まずは家族から話を聞き出す。いつ頃から変化が出始めたのかや具体的な症状、生活面での能力低下など、些細な変化でも話してもらうことが早期発見の鍵になる。

2問診票の記入
井上クリニック 問診票の記入

患者の状況や症状をより詳しく把握するために、認知症かどうかを評価するための問診票や、認知機能に類似した症状を来たすうつ病を除外するための問診票を家族に記入してもらう。また、来院時もしくは自宅に帰ってから、DASC-21を実施してもらう。

3患者本人の認知機能を確認
井上クリニック 患者本人の認知機能を確認

患者本人に来院してもらい、長谷川式知能評価スケールなどを使用して認知機能を確認する。長谷川式知能評価スケールは、質問によっては患者のプライドを傷つけてしまうことも多いため、タッチパネル式の物忘れ相談プログラムも積極的に活用している。問診や検査の様子などからも、認知症の傾向が見て取れることもある。

4血液検査・必要に応じて画像検査
井上クリニック 血液検査・必要に応じて画像検査

甲状腺機能低下症でも認知症と同様の症状が見られるため、鑑別のための血液検査を行う。また、患者の状態や必要に応じて慢性硬膜下血腫をはじめとした脳内疾患の有無を調べるため、CTやMRIなどの画像検査を行うことも。画像検査については、連携する他院に依頼して実施している。

5結果の説明と治療計画の相談
井上クリニック 結果の説明と治療計画の相談

家族への問診、本人の認知機能検査、そして血液検査と画像検査の結果から、認知症の診断を下す。患者の中には認知症を受け入れられない人もいることから、本人が納得できるよう客観的に検査結果を伝える。認知症と診断された場合には、薬による治療を提案する。説明の際には家族にも同席してもらい、病気と向き合うにあたって本人やサポートする家族の負担が少なくなるよう、生活上のアドバイスを行う。

ドクターからのメッセージ

井上 幹人院長

誰にでもリスクがある認知症ですが、患者さん本人は症状を自覚しにくいという特徴があります。そのため、家族をはじめとした周囲の人が認知症のことを良く知り、気づいてあげることがとても大切です。認知症と聞くと、脳神経内科・外科や精神科をイメージされる方が多く、受診のハードルが高いと感じられる方もいるかもしれません。これまで多くの認知症の患者さんを担当してきた経験から、患者さんとの関わりが深いかかりつけ医だからこそ、家族が相談しやすいのではと思い、物忘れの外来を開きました。本人はもちろん、ご家族も含めてサポートしていきたいと考えていますので、いつでも気軽に相談しに来てください。

井上 幹人院長 井上クリニック
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