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近藤 琢磨 院長の独自取材記事

近藤小児科クリニック

(大阪市東成区/緑橋駅)

最終更新日:2023/09/28

近藤琢磨院長 近藤小児科クリニック main

大阪市営地下鉄中央線緑橋駅から歩いて6分ほどの場所にある「近藤小児科クリニック」。院長の近藤琢磨先生は、小児科領域の中でも子どもの成長・発育と最も関係が深い内分泌疾患の専門家として、長年治療に携わってきた。現在の診療でも、目に見える体調不良や主訴だけに着目するのではなく、生まれたときの様子や発達の経緯をもとに、隠れた病気がないか、体格や性の発育が順調か、なども視野に入れ、子ども一人ひとり丁寧に診察するスタイルを貫いている。淡いピンク色を基調とした院内は清潔感があり、所々絵画が飾られている。「これは妻が描いた力作なんですよ」と笑顔で語る近藤先生に、日々の診療やあまり聞き慣れない小児内分泌疾患について話を聞いた。

(取材日2017年8月7日)

成長期・思春期の発育と関係が深い小児内分泌疾患

開業前はどういったご経験を積まれたのでしょうか?

近藤琢磨院長 近藤小児科クリニック1

以前、このすぐ近くにあった大阪市立小児保健センターで22年間勤務しました。そこは高度な専門的医療を提供する小児専門の総合病院で、現在、都島区にある大阪市立総合医療センターの小児部門の前身にあたる施設です。私は小児内分泌疾患を専門に扱う科に所属し、下垂体、甲状腺、副腎、性腺などから分泌されるホルモンの異常が原因で起こるさまざまな疾患を診てきました。一般の病院では治療が難しいとされる、希少疾患を抱えるお子さんの診療に長年携わってきました。

小児の内分泌疾患とは具体的にどんな病気ですか?

体内にはたくさんのホルモンが存在しますが、子どもの成長・発育を促す成長ホルモンや性ホルモンに異常が起こることで、体格、思春期の発育、性分化などにさまざまな影響が出てきます。代表的なのが、低身長(成長障害)です。同年齢の子どもに比べて極端に身長が伸び悩む場合、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの不足が関係していることがあり、成長率を高める目的でホルモン補充療法を行います。また思春期の発育では、男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく体が変化していく過程で、ホルモンがうまくコントロールされていないことで性発育が遅い「思春期遅発症」、逆に早熟過ぎる「思春期早発症」といった症状が現れることがあります。内分泌というのは普段あまり聞かない言葉ですが、子どもの成長と密接に関わる病気がとても多いんです。

先天性副腎皮質過形成症(CAH)の専門治療に携わられていたそうですね。

近藤琢磨院長 近藤小児科クリニック2

1974年から2年間、副腎皮質ホルモン代謝の研究のため、アメリカの国立衛生研究所(NIH)に留学しました。素晴らしい先生方と肩を並べて研究に没頭できたのはとても貴重な経験でした。CAHの中で21-水酸化酵素欠損症は、急性副腎不全の症状の他に、副腎から男性ホルモンが過剰に分泌されて、男児は身長とともに性発育が異常に早く進み、女児は外性器が男性化するといった症状が現れます。当時、この病気を診断する技術がなかったのですが、上司にあたる先生が尿中のステロイドホルモンをガスクロマトグラフィーで測定する診断法を確立し、全国から患者さんが紹介されました。副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)を用いて体内のホルモン量をコントロールするテクニックが必要な難しい治療でしたが、病気に苦しむ子どもたちの力になりたいという思いで、日々診療に取り組んでいました。

子どもから大人へ。成長を見届けることが小児科の喜び

開業の経緯をお聞かせください。

近藤琢磨院長 近藤小児科クリニック3

大阪市立小児保健センターを退職後、大阪市此花保健所の所長として3年間勤務し、行政の医療・保健業務に携わりました。そのときに自分にとって医師としてのやりがいは、子どもたちを診療して健やかな成長を見守ることだと感じ、1994年に開業しました。保健所と兼務しながら小児保健センターの子どもたちを引き続き診療していたこともあり、同センターからほど近いこの場所を選びました。今では珍しくありませんが、小児科単独の標榜で看板を掲げていたのは、開業当時は東成区では私くらいだったのです。

現在の診療では、どのような病気を診ているのですか?

開業当初は、成長ホルモンの血液検査やホルモン補充治療で来られる子どもの比率が高かったのですが、最近は風邪や胃腸炎などの一般的な小児科の診療がメインです。ただ、もともと子どもの発育や成長と関係が深い疾患が専門だったこともあり、その時々の症状だけを診るのではなく、これまでの発育の経緯を念頭に入れて診察しています。その子のバックグラウンドを知らずに、ささっと診るというのが嫌なんですよね。なので、私は小学生のお子さんでも母子手帳を持ってきてもらうようにお願いしています。生まれたときの状態、身長や健康診断の結果、予防接種の状況を見ることで、問題なく成長しているかが確認できるし、隠れた病気の発見につながることもあるのですよ。

小児科の医師として喜びを感じるのはどんなときですか?

近藤琢磨院長 近藤小児科クリニック4

内分泌疾患の患者さんの多くは、成長期が過ぎると治療を卒業しますが、病気によっては生涯にわたり管理が必要な場合もあります。例えば、小さい頃からずっと、内服では効果がないので皮下注射を続ける必要がある方もいるのです。そんな治療を受けていた方が、成人して結婚し、年賀状で赤ちゃんを抱っこした写真を見られたりすると本当にうれしくなりますね。

見過ごされやすい小児疾患。気になることがあれば相談

近藤先生の診療スタンスをお聞かせください。

近藤琢磨院長 近藤小児科クリニック5

生まれたときの状態や発育の経緯など細かく聞いていると、あっという間に診察時間が過ぎてしまいます。待ち時間が短くなるように予約システムを導入していますが、どうしても話が長くなるのが私の欠点です。ただ、小児科は病気を治すだけでなく、成長と発達を見守ることも重要な役目なので、一人ひとり丁寧に診察するスタンスは変えられませんね。親御さんには丁寧にわかりやすい言葉で説明し、結論だけを伝えるのではなく「こうだから大丈夫だよ」「こうだから検査しよう」と理由をしっかりお話しします。親御さんにはいらぬ心配をかけたくないですからね。そして、自宅に帰られて落ち着いてから勉強できるように、新聞記事のコピーや病気や治療を解説したパンフレットなどをお渡しするようにしています。

近藤先生ご自身は、どんな子どもだったのですか?

戦時中の食料難の時代に生まれ、5歳くらいまで岡山の田舎の祖父母に預けられていました。大阪に戻ってからも夏休みになると祖父母の家に遊びに行くのが恒例で、川遊び、魚釣り、野原や山を探検して、自然の中でいっぱい遊びました。夏が来るのが毎年楽しみで、夏休みの半分以上を祖父母の家で過ごしていましたよ。大人になってからもアウトドア派で、学生時代は山登り、今は地図を片手に奈良の山道をウォーキングしながら、小さなお寺や石仏を巡るのが楽しみです。祖母の畑仕事を手伝っていたこともあり、家庭菜園も趣味の一つです。取れたての野菜を料理していただき、食べきれないときはご近所さんや職員に配っています。今年は大根と里芋が豊作でしたよ(笑)。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

近藤琢磨院長 近藤小児科クリニック6

土曜日も13時半から16時半まで、午後診療を行っています。メインは内分泌疾患の診察ですが、一般の診察時間帯では十分診察・説明ができないような患者さんの対応もしています。チック症、不定愁訴、登校拒否、生活リズムの乱れなどゆっくり話を聞いて、必要な場合は専門の医療機関に紹介しています。内分泌疾患は自覚症状が現れにくく、見過ごされることも少なくありません。お子さんの発達や体格、二次性徴期の体の変化で悩んでいることがありましたら、相談してもらえたらと思います。

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