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黒田 幹人 院長の独自取材記事

黒田クリニック

(伊賀市/青山町駅)

最終更新日:2021/10/12

黒田幹人院長 黒田クリニック main

近鉄大阪線の青山町駅から車で約7分にある「黒田クリニック」。内科・消化器内科を中心に幅広い診療を行っている。かかりつけ医として地域に根差した診療を行う黒田幹人院長のモットーは「丁寧でわかりやすい説明」「見落としのない確実な治療」「その場で紹介できる地域連携」。「趣味といえるほどのめり込んだ」という内視鏡検査は前職で統括責任者を務めた経験もあるスペシャリスト。先進の機器にこだわり、必要な物がなければ自作まで行い、特許も複数保持しているとのこと。同クリニックでも苦痛の少ない検査の提供にこだわる。物事の本質を追求するその人柄に患者からの信頼も厚い。そんな黒田院長が注力する地域連携、消化器分野の診療などについて話を聞いた。

(取材日2021年2月5日)

愛情を注ぐ内視鏡検査で消化器がんの早期発見をめざす

医師を志した理由を教えてください。

黒田幹人院長 黒田クリニック1

外科医だった父の影響があると思いますね。ただ、物心ついた頃から父はいつも忙しそうにしていて、夜中にしか帰ってこないし、たまに家にいる時も手術に呼び出される。外科医というのは厳しい世界だなと感じていました。世の中にとって大事な仕事なんだろうなとは思っていましたが、志と言えるほどのものはなく、気づいたらこの道に入っていた、というのが正直なところです。幼い頃は自分でも工夫して便利な道具を作りたいと思っていました。今、こうして医師になっていますが、内視鏡技術の研鑽を深めたり、地域で新しい取り組みを考えるのは工夫のしがいがあり、職種は違えど、ある意味、夢がかなったのかもしれません。

先生の専門分野を教えてください。

専門は消化器内科です。日本人の死因1位はがんを代表とする悪性腫瘍ですが、直近の統計ではがん死亡数の2位~6位まで、大腸がん・胃がん・膵臓がん・肝臓がん・胆のう及び胆管がんと消化器がんが占めています。昔から、消化器系に精通すれば多くの命が救えると考えていました。そして、胃がんや大腸がんの発見に役立つのが内視鏡検査であり、腫瘍があれば内視鏡下で切除できるのがESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という技術です。検査から治療まで自分で完結でき、なによりがんの根治をめざせるのが魅力的で、ESDを中心に行っていました。

消化器内科を選んだきっかけやエピソードはありますか?

黒田幹人院長 黒田クリニック2

まだ研修医1年目で専門が決まっていなかった頃、先輩が「大腸カメラやってみる?」と言ってくださったのです。大腸カメラは技術を要し、最初はハードルが高いのですが、初めてにしてはスムーズに終わりました。患者さんも「楽でした」と。この一言は「これがやりたい!」と私の道を決定づけてくれた瞬間でした。以来、消化器一筋。こちらで院長になる前に勤めていた山田赤十字病院(現・伊勢赤十字病院)ではESDの統括責任者も任せていただき、当時は自分のことを「技術屋」と呼んでいました。1日中大好きな内視鏡に携わっていて、幸せな日々でしたね。

どの病院にも気軽に行けるのが、地域連携のあるべき姿

ところが一転、突然こちらで院長になられたそうですね。

黒田幹人院長 黒田クリニック3

ある日、父が勤務先に来院し、検査したところ末期の直腸がんでした。そして私に「地域の方が困ってしまうので明日から頼む」と……。翌日から私が継承したのですが、世界がガラリと変わりました。もともと父は外科医でしたが、開業してからはかかりつけ医として地域に根づいていました。求められるのは総合診療。私は消化器しかやってこなかったので、さまざまな患者さんが来院するクリニックでは、何をどうしてよいのかさっぱりわからない。さらに通常、院長継承の際は前任者と一緒に働き、ノウハウを得るものですが、父は不在。すべてが手探りですし、それこそ内科的なことも一から勉強し直しです。でも大変だった半面、新たな分野を勉強するのは面白かったですね。しばらくして、自分に対応できないことは、専門の先生に紹介すればよいのだと気づき気持ちが楽になりました。

自然な流れで地域連携を意識されたのですね。

院長に就任してから1~2年後、名賀医師会の理事に就任し、地域の先生方と知り合う機会が多くなりました。在宅医療に関する会議では、多職種連携の重要性を学びました。当時感じたことは、地域には多彩な人材・設備があること。開業医だけをとっても多彩な専門医がおり、患者さんにとって総合病院を受診するのは少し敷居が高いかもしれませんが、「地域全体で総合病院の役割を果たせば良い」と感じました。「専門クリニックが連携すれば総合病院と同じ機能を持つ」ことを前提に、めざしたのは総合病院の院内紹介よりも簡素な仕組み。紹介状は格式ばったものではなくて、施設同士の取り決めでメールや電話1本で可能な場合もあります。現在はほぼすべての症状に対し、適切な医療を提供できる体制が整ってきています。「どの病院にも気軽に足を運べて、満足できる地域医療を提供したい」と感じていた仲間たちと、この仕組みを構築できたことに満足しています。

地域連携の具体例を教えていただけますか。

黒田幹人院長 黒田クリニック4

私は心エコーはできませんが、近隣に循環器科クリニックがあります。来院された患者さんに必要性があれば、電話1本ですぐに予約を取ります。心電図に異常があったとすれば、患者さんに「少しだけ待ってください」と伝え、その場で紹介先の先生に画像を送り、電話で相談する。逆もまた然りです。患者さんが足を運ぶ手間も省けますし、われわれ医師の業務の効率化も図れます。また、「他のクリニックに行くのは、かかりつけ医に悪い」という方も多いですが、そんな垣根もなくしています。実際に「この症状はどこに行けばいいの?」という患者さんも多い。「この症状なら〇〇病院」「この病気は△△先生」など即座に行ってもらっています。また、クリニックの両隣には薬局と訪問看護リハビリステーションがあり、すぐに電話かメールで相談できる体制をとっています。

医療のプロだからこそ、敬意を持って患者に接する

診療の際に心がけていることやこだわりを教えてください。

黒田幹人院長 黒田クリニック5

最初にしっかりお話しすることです。例えば風邪は初期でウイルスを叩いておかないと、増殖する一方です。だから初期段階で免疫を上げることが重要。こうした理屈を10分以上かけて説明します。医療知識を上げてもらうことで、次から病気を自分で撃退できると思うのです。高血圧症などの薬も、必要性を理解してもらえば継続していただけます。健康管理同様、医療も自分で行うのが基本だと考えており、私はそのお手伝いをするのだと思っています。おかげさまで私の話はわかりやすいと言ってくださる方も多いです。

医師として大切にしていることは?

患者さんというのは体か心、もしくはどちらも弱っている人。弱っている人には敬意を持って丁寧に接する。医療のプロフェッショナルとして当たり前のことです。これはスタッフにも徹底しています。プロだからこそ自分が逆の立場になった時に嫌な思いをするような行為をしてはならない。幸いにも当院のスタッフは良い人材しかいません。床の案内をテープで貼ったり、子どもさんへのプレゼントを手作りしたり、患者さんのことを考えて能動的に動いてくれます。おもてなしは私よりもスタッフのほうがプロ。感謝しかありませんね。

貴院の強みを教えてください。

黒田幹人院長 黒田クリニック6

内視鏡検査には自信があります。胃カメラや大腸カメラは物凄くつらいイメージがあると思いますが、患者さんに苦痛を与えないのが私のこだわりです。当クリニックには遠方から来院される方も多く、院長就任後年々来院患者数も増えているので、間違ったことはしていないと思っています。また、できるだけ当院で対応できるよう、CT・MRI以外はほとんどの検査機器をそろえました。耳鼻科や眼科の機器も欲しいのですが、さすがに専門の先生をご紹介したほうが良いので、思いとどまっています(笑)。

最後に読者へメッセージをお願いします。

自分が病気になった時、診てほしい医師、行きたくなるクリニックであることが目標です。当院には「とりあえず黒田さん」「先生の専門じゃないでしょうけど……」という方がたくさんいらっしゃいます。これで良いと思っています。私が対応できることは、責任を持ってしっかり診療しますし、他の先生が必要であればすぐにご紹介します。どちらにしても満足いただける医療を提供いたします。まずはお気軽にご相談ください。

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