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八木 秀行 院長の独自取材記事

八木医院

(鈴鹿市/千代崎駅)

最終更新日:2022/08/01

八木秀行院長 八木医院 main

近鉄名古屋線・千代崎駅から車で北西へ5分ほど、昔ながらの住宅が立ち並ぶ鈴鹿市東玉垣町に「八木医院」はある。1973年に八木秀行院長の父が開業した同院は、約50年にわたり地域に根差した医療を提供している。八木院長は、膠原病やリウマチ、痛風の知識が豊富で、線維筋痛症の診断を行うドクターだ。「原因不明とされる疾病とそれに悩む患者と向き合うスタイルを続けている」と語る八木院長に、膠原病やリウマチに興味を持ったきっかけや患者と接するときの心がけなど幅広く聞いた。

(取材日2022年7月5日)

線維筋痛症の診断を行う医院

歴史のある医院だそうですね。これまでの歩みをお聞かせください。

八木秀行院長 八木医院1

私はこの医院の2代目院長ですが、前の医院から数えると4代目になります。曽祖父が開業した前身の医院は四日市にあり、私の父の代で鈴鹿に移転開業をしました。四日市にあった医院は外科を中心に幅広く診ており、明治時代から続いていたようです。父も外科の医師だったのですが、町の医院はいろんなことを相談されますし、皮膚科も対応していました。実は内科を標榜し始めたのは、私の代からなのですよ。一般的な内科に加え、私が専門としているリウマチ、膠原病、痛風などの特殊な疾病、あと三重県内では対応しているところが少ない線維筋痛症の診療も行っているのが特徴です。

線維筋痛症やリウマチの患者さんが多いとのことですが、年齢層はいかがですか?

近隣は高齢者が多い地区ですので、患者さんの年齢層は高めですね。当院のような町の医院は、基本的には近隣の方のためにあると考えています。来ていただいている患者さんの多くは半径1キロ圏内にお住まいの方で、歩いて通院してきます。遠いと2キロ程度離れたところから、30分くらいかけて歩いてくる方もいますよ。地域の方は、一般的な内科診療を希望している方が多く、高血圧症、脂質異常症、糖尿病など、継続的な薬物療法が必要な方が通ってくれています。患者さんの中には単身でお住まいの高齢者や、高齢者しかいない世帯も多いので、寝込んでしまって来院が難しいと連絡があれば、お昼休みなどを使って往診に伺うこともあります。

地域とはどのように関わっていらっしゃるのでしょうか?

八木秀行院長 八木医院2

私は四日市の出身なので、この地域と深い関わりがあったわけではありませんが、昔の知り合いに声をかけてもらって、鈴鹿市の地域医療を応援する集まりの立ち上げから関わらせてもらいました。地域医療を良くするために、地域医療の仕組みや医療崩壊とはどのように起きるのかなどを県議会議員の方に伝える活動をしていたこともあります。その一環で、地区の公民館で地域住民の方たちに、救急車や夜間救急はどのように活用するべきかなどもお伝えしていました。また、体調に異変を感じた方が出た場合に、迅速に医療が受けられるシステムを行政と連携してつくりました。

QOLを考慮し、生活習慣病の患者としっかり向き合う

リウマチや膠原病を専門にされたきっかけは何だったのでしょう。

八木秀行院長 八木医院3

三重大学医学部附属病院に入ったタイミングで、リウマチ、膠原病、痛風に詳しい先生が着任され、研究グループをつくることになったからと引っ張られて入ったのが始まりです。グループを立ち上げた先生は3年後に東京へ行ってしまったのですが、その後も引き続きリウマチや膠原病の研究を行い、線維筋痛症などの難病を研究する班も立ち上げました。その後、東京に行かれた先生が研究会をつくったので、私もそこに加入してさらにリウマチや線維筋痛症の勉強を続けました。その先生との出会いがあったから、この分野を研究するようになったのです。大学で研究していた頃は、まだまだどんな病気なのかわからないことがたくさんありましたが、これらの病気の研究が続けられていくうちにデータが集まり、いろんなことが少しずつ明らかになっていきました。今でもまだ不明なところがありますが、研究が進むと新しい結果が出る、そういうところを興味深く感じています。

難しい疾病の患者さんが多いと思いますが、診療時に心がけていることはありますか?

患者さんの話をしっかりと聞くことですね。患者さんが何を望み、どうしてほしいのか、どのような生活を送りたいのかということを聞くようにしています。あと、膠原病やリウマチという病名は知っていても、どんな疾病かは知らない方が多いので、診断した時にどういう疾病なのかを理解してもらえるようにしっかり説明します。しかし、いろんな患者さんと接する中で、一番難しいと感じるのは糖尿病の方との接し方ですね。糖尿病は食事制限が不可欠なのですが、「治療を頑張ったら、好きなものを好きなだけ食べられるようになりますか?」という質問をよく受けます。健康面だけを考えると、それは厳しいのが現実なのですが、でもそれが果たしてその患者さんにとって幸せなのかと考えてしまいます。そこで大切になってくるのが、患者さんがどのような生活を送りたいのかということなのです。

患者さんが望むことを大切にしていらっしゃるのですね。

八木秀行院長 八木医院4

患者さんが「こういう生活をしたい」と思っている生活に近づけられるようにしてあげることも大切だと思います。疾病の進行を防ぐには、食事管理と運動をマニュアルどおりに実践していけば良いのですが、我慢し続けて長生きしたときのQOLはどうなのでしょう。例えば、もう80歳超えたら好きなものを好きなだけ食べて我慢しない生活をしたいと考えている方もいるかもしれませんよね。患者さん自身の人生ですから、数値が悪化すると理解していながらこっそり甘いお菓子を食べたとしても、私はそれをとがめることはしません。食事や運動について適切な方法はお伝えしますが、「これを必ず実践しなさい」とは言わないようにしています。しかし、当然ですが食べたいものを食べたら数値は悪化しますし、お薬も増えますので、そういったデメリットもきちんとお伝えしています。

原因不明の症状に悩む人たちに寄り添う

先生のこれまでの勤務経験を教えてください。

八木秀行院長 八木医院5

先述したように、三重大学医学部附属病院でリウマチ、膠原病、痛風のグループに入り、研究しながらさまざまな治療に携わりました。その後は、桑名市民病院で8年ほど勤務しました、総合内科に所属していましたので、一般的な内科が中心でしたが、リウマチ、膠原病、痛風の患者さんも診ていました。桑名市民病院で積んだ幅広い治療の経験は、開業してからもすごく役立っています。

先生が医師として軸にしていることをお聞かせください。

どこの科に行っても別の科を指定されてしまうような症状に悩む方を診ることですね。勤務医時代、咳などの症状があって内科に来たのに検査をしても異常がなく、何の疾病とも診断されない方のことが気になっていました。検査をしても異常がないと、ほとんどはストレスが原因、心因性、うつ病だと診断されてしまいます。体の症状があると内科の領域になりますので、患者さん本人はつらさを感じているにもかかわらず、内科的な治療しか受けられないということがありました。私はその精神科と内科の境目の患者さんに寄り添い、できる限りのことはしようというスタンスで診療に臨んでいます。今は心身症という疾病もありますので、そういった患者さんも当院に通ってくれていますよ。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

八木秀行院長 八木医院6

原因不明の症状で悩まれている方は、最初に診てもらった医院で心因性だと診断されても、疑問を感じた場合はセカンドオピニオンを求めても良いと思います。ぜひ、ご自身が合うと思える、信じられる医師を探してみてください。今は疾病として認定されている線維筋痛症も昔は、気持ちの問題だとされていました。痛みやつらさを感じているのに、何も原因がないと言われたからとそのままにしておくのはとてもつらいことです。線維筋痛症も、激しい痛みがあるのに検査をしても異常は出ません。肩や膝が痛くて整形外科に行っても、おなかが痛くて内科に行っても異常がない、鎮痛剤を飲んでも痛みが解決しない場合は、線維筋痛症が疑われます。そういった場合、診断することができますので、悩んだままにしておかずご相談ください。

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