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山田 幸典 院長の独自取材記事

うの森クリニック

(四日市市/近鉄四日市駅)

最終更新日:2021/10/12

山田幸典院長 うの森クリニック main

近鉄四日市駅から徒歩3分。四日市市中心部にある心療内科と精神科の診療を行う「うの森クリニック」。小学生から高齢者まで幅広い年代のさまざまな症状の患者が山田幸典(ゆきのり)院長のもとへ通う。心の病を抱えると本人のみならず家族や周囲の人々も悩み迷うもの。山田院長はしっかり患者の話を聞いた上で前向きに病気と向き合い、常に改善、完治をめざして診療を行う。患者の家族や周囲から理解と協力が得られるよう尽力している。家族会の活動を通して悩みや経験を共有してもらう機会をつくるなど、患者を支える家族を支えることも重要だと語る。予約時間は余裕を持って設定し、一人ひとりの患者とゆっくり向き合う山田院長に、患者や家族への思い、心療内科の果たすべき役割など幅広く聞いた。

(取材日2018年11月13日)

しっかり治せるクリニックをめざし開業

どのような患者さんがいらっしゃいますか?

山田幸典院長 うの森クリニック1

うつ病や不安神経症、パニック障害、ADHD、若年性を含む認知症などさまざまな症状の患者さんがいらっしゃいます。従前と比べると心療内科に対する世間の理解も進んできてはいますが、まだ少し敷居が高く来院されるのに勇気が必要であることは変わりないようです。昔の精神病院のイメージをお持ちの方も多いですね。そんなこともあってか、地元から離れたクリニックを選ばれる患者さんもいらっしゃいます。当院にも愛知県や岐阜県、和歌山県からも来られますね。近鉄四日市駅から近いので近鉄を利用されればそれほど遠くは感じないかもしれません。また、当院の患者さんは小学生からお年寄りまで年齢層も幅広いです。

心の病は治らないというイメージを持つ方も多いと思います。

私が開業した頃の一般的な心療内科は予約を取ろうにも1ヵ月、2ヵ月待ちは当たり前。そんな状況では患者さんをしっかり治すことは難しいでしょう。私は患者さんをしっかり治せるクリニックをつくりたかったんです。治すためには患者さんを何ヵ月もお待たせするわけにはいきません。当院では1週間以内には予約をお取りできるようにしていますし、週2回通われている患者さんもいらっしゃいます。また余裕を持って予約時間を設定していますので、1回の診療に1時間半かけることもあります。昔は心の病は生涯治らないというイメージで、前向きに治療しようという考えはご本人にもご家族にもあまりなかったかもしれません。もちろん病状によっては改善が難しい場合もありますが、できるだけ上手に病気と付き合っていく方法もあります。当院では治るものは治す、それが難しい場合にはうまく付き合っていくためのサポートをしています。

心の不調が体調不良の原因にもなるのですか?

山田幸典院長 うの森クリニック2

心療内科は患者さんの全体を診る診療科。精神的な問題で発熱したり、湿疹ができたり、さまざまな症状として現れてくることがあります。整形外科からの紹介で「痛みが取れない」と来られた患者さんが、当院での診療によって痛みの改善につながるということもあるんです。患者さんは体に痛みや不調が出るとその部位の専門家を受診されるのですが、そこでは原因がわからないということもよくあります。そんなとき、もう少し気軽に心療内科を選択肢として考えていただきたいですね。不調が生じる原因をもとから治すことで体調回復につながります。

治療には家族や周囲のサポートが不可欠

診療はどのように進められるのですか。

山田幸典院長 うの森クリニック3

まずお困りのことに関して時間をかけて細かくお聞きします。1回で話したいことを全部話せる方は少ないので2回、3回にわたってお話を聞くことも多いですね。緊張を和らげるため、アロマをたいたり観葉植物を置いたりして落ち着ける環境でお待ちいただきます。私が待合室まで患者さんを呼びに行き、診察室まで歩いてこられる様子から観察させていただいています。病気特有の歩き方というのがありますから、診察室へ入られるまでにある程度診断します。その上でじっくり話をするようにしています。できる限り初診で診断をして、その方に合った治療計画を立て、どういう薬を使ってどういう経過になるかご説明するようにしています。うつ病でも3割程度の方は半年で改善につながることがありますね。初診時に一人で来られた方には、次はご家族と一緒に来ていただいて病状や今後についてお話しし、ご理解ご協力いただけるようにお願いしたりしています。

家族や周囲のサポートが不可欠なのですね。

そうですね。認知症の場合でも、できるだけご自分が維持できるようにしていく治療のやり方があります。治らないけれど、どれだけご自分を維持していくか。そのためには家族や周囲の理解と協力が必要です。ですが、ご家族も心配だし、悩みますし、どうすればいいかわからないですよね。それは解消すべき重大な要素なので、みんなで一緒に考える場をつくりたいということで家族会を開いています。他の患者さんのご家族の話を聞くことで悩みや経験を共有していただくことが目的です。そういう場でご家族を支えていかないと、認知症の患者さんを支えられなくなってしまいますからね。家族会の流れで患者さんやご家族と一緒に旅行に出かけることもあります。どうしても閉じこもりがちで世界が狭くなってしまいますから、時には外へ出るのもいいですよ。

どのような思いで患者さんやご家族と接しているのですか?

山田幸典院長 うの森クリニック4

いずれは「来院しなくても大丈夫」という状態になっていただくための、私はサポート役なんです。患者さんに徐々に笑顔が見られるようになっていくのを見るのもうれしいですし、ご家族が家族会に入ってくださって、ご自分たちのことだけでなく広い視野で社会的に活動されている様子を身近に感じ、頭が下がる思いをすることも少なくありません。そのような方々に出会えるということは私にとって素晴らしい経験です。そのような患者さんやご家族から教えていただいたことをお返しするような気持ちで日々の診療にあたっています。当院は患者さんからのご紹介で来院される方も多く、親しい人に紹介してもらえるような治療ができているのだと実感でき、大変ありがたいですね。今後もお一人お一人をしっかり診させていただくために、日々努力をしていきたいと思います。

社会が複雑化し、人の悩みも病気も変化する

精神科の医師をめざしたきっかけは何ですか?

山田幸典院長 うの森クリニック5

小学校の頃いじめられた経験があり、引きこもって本を読むようになりました。そんな時、ある本を読んで精神科医師になろうと思い立ったんです。自分が生涯で世の中の役に立てるのは何かと考えて、弱い人の立場にもなれると思いました。だから医師というよりも精神科、心療内科の医師になりたかったんです。心が疲弊している人を助けるためには当然医学部に進学する必要があり、文系人間だったのですが数学や理科も勉強しなければと一念発起しました。大学卒業後は精神分析にも携わり、気持ちの生まれ方とか環境によってつくられる心の仕組みなどを学んだことで、さらに興味が深まりました。心療内科の治療においてもご家族の接し方や周囲の環境が非常に重要ですね。

診療される中で世の中の変化として感じることはありますか?

時代とともに病気自体も変わっています。社会が複雑化して、昔よりも悩み事の原因が増えているように感じます。環境が変わると人の性格も変わりますね。子どもの性格の傾向も10年前と今ではかなり違います。そうすると症状も変わってくるので、10年前の診断基準をすべてあてにしていてはいけません。だから私たちも社会の変化を意識しながら患者さんと接していく必要があると考えています。昔は病気だと認識されていなかったものや、昔はなかった悩みもさまざま出てきます。そういう意味では、患者さんと接する中で患者さんから教えていただくことがたくさんあるんです。

最後に読者へメッセージをお願いします。

山田幸典院長 うの森クリニック6

人間にとって相性というのはとても重要で、患者さんと医師も相性です。1回行ってみてその感触によっては別のところに行かれたらいいんです。我慢して通う必要はありません。勤務先や学校も同じで、環境が自分に合わなかったり、相性の悪い人がいて人間関係がうまくいかなかったりということがあるでしょう。その環境で定年まで、卒業までずっと我慢することがいいとは限りません。職場を変える、転校することで解決することもあります。当院ではお一人お一人の患者さんに十分な時間をとってお話を伺っています。お話をするだけで変わってくる患者さんも結構いらっしゃいますよ。もっと気軽に心療内科に足を運んでいただきたいですね。

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