全国のドクター9,186人の想いを取材
クリニック・病院 158,624件の情報を掲載(2024年4月26日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 岩倉市
  4. 大山寺駅
  5. なかよしこどもクリニック
  6. 永吉 昭一 院長

永吉 昭一 院長の独自取材記事

なかよしこどもクリニック

(岩倉市/大山寺駅)

最終更新日:2021/10/12

永吉昭一院長 なかよしこどもクリニック main

名鉄犬山線の大山寺駅から歩くこと10分。田んぼのあるのどかな風景の中、緑の屋根とピンク色の壁が目を引く「なかよしこどもクリニック」が見えてくる。小児科専門クリニックだけあって、キッズスペースにはおもちゃや絵本、ぬいぐるみがたくさん置かれ、子どもたちにも大人気だ。「付き添いで来て一緒に遊んでいるお子さんもたくさんいらっしゃって、みんな楽しそうです」と話してくれたのは院長の永吉昭一先生。大学病院やアメリカでウイルス研究をしていた経験を生かし、クリニックで流行したウイルスのデータを詳細にとり、日頃の医療にも役立てているという。穏やかで子ども好きな院長に、クリニックの取り組みや日頃の診療の様子を聞いた。

(取材日2017年6月27日)

大学病院の小児科医局ではウイルス研究に没頭

先生が小児医療へ進んだ理由を教えてください。

永吉昭一院長 なかよしこどもクリニック1

小児科を選んだのは、子どもが好きだったことが一番の理由ですね。また、当時の小児科が点滴の方法など医療技術が進んでいて、とてもアカデミックだったことも魅力に感じました。名古屋大学の小児科医局では、同期の先生からウイルスの勉強をしようと誘われ、オーストラリアで発見された、現在でいうロタウィルスと、愛知県で流行していた白色便性下痢症の関連性を長年研究し、この2つのウイルスは同じ種類だといういうことを突き止めました。そのウイルス研究の流れから1982年にアメリカに渡り、ペンシルベニア州立大学で発がんの原因となるサイトメガロウイルスの研究をしていました。当時は、現地で日本食が簡単に手に入らず、車で4時間かけてお刺身を買いに行ったという懐かしい思い出もありますね。

この地に開院した理由を教えてください。

私は鹿児島出身で、大学は名古屋市内だったので岩倉市には縁がなかったのですが、開院当時の岩倉市には小児科がほとんどなかったことや東名や中央道などの高速の入口も近かったので、この地に根を下ろすことを決めました。クリニック名は、地名を付けたりといくつか候補を挙げた中から、娘が「ながよしの濁点を取ったなかよしこどもクリニックがいいよ」と背中を押してくれたので、この名前に決めました。開業してからは、名鉄と地下鉄鶴舞線がつながって、交通の便もさらによくなりましたね。この地域は、小さいお子さんを持つ方が一戸建てを購入するケースが多く、小さな子どもを育てる年齢層が多いように思います。開院当初は駅前にありましたが、待合室が狭かったため、2000年に現在の場所に移転しました。そのタイミングで病児保育のサービスも新たに開始しました。

病児保育室というのは、どういうシステムですか?

永吉昭一院長 なかよしこどもクリニック2

働く保護者の方が、お子さんの急な発熱などで仕事を休めない場合に利用していただく託児システムです。当日の朝、連絡していただくと、診察後、8時30分から17時までの間でお子さんをお預かりしています。おたふく風邪、はしか、水ぼうそうなどの場合は、利用できませんが、年間約600名の方が利用されています。大事なお子さんをお預かりするという責任は大きく、大変なことも多いですが、少しでも働くご両親の力になればと思い始めました。少なくとも自分の孫の世代が大人なるまでは続けたいという覚悟でやっています。

感染症について独自に集めたデータを診察に役立てる

どんな患者さんが多く来院されますか?

永吉昭一院長 なかよしこどもクリニック3

岩倉市が中心で、小牧市、一宮市、北名古屋市などからも来院されます。最近は、開院当初に患者さんだった方がお母さんになってお子さんを連れて来られています。29年間、診療を続けている中でとてもうれしいことですね。患者さんはすべてお子さんなので、待合室も広くとってお子さんが居心地よく待っていられるように配慮しています。おもちゃもたくさん用意しているので、付き添いのお子さんも多く、待合室はにぎやかですよ。なので、感染症対策には隔離室や機器を整えるなどしてより気を配っています。

診療のためにしている取り組みはありますか?

感染症の専門家として、いつ、どこの地域で、どんな症状が流行したかというデータを20年以上前から記録しています。一宮市や西春市など岩倉市近郊の保育園や小、中学校の何組に属していたのかまで細かく記録しているので、診断にとても参考になります。10年ほど前に、このデータに当てはまらない症状があり、新しいウイルスだと判明したこともありました。論文を検索して検査をすると、当時は診断法がなかったヒトメタニューモウイルスだとわかり、早い段階で治療することができたんです。保健所のデータとも照らし合わせながら、診断に役立てています。このようなデータだけでなく、子どもは大人と違って明確に自分の症状を訴えることができないので、呼吸の仕方や機嫌の様子などを五感で感じとることも大事ですね。

患者さんとはどのように接していますか?

永吉昭一院長 なかよしこどもクリニック4

患者さんとのコミュニケーションのために、腹痛で来たお子さんに「今日の給食は食べられた?」「メニューは何だったの?」と質問し、「カレーだった」と応えてもらったことを覚えておいて、別のお子さんの診察のときに「今日の給食のカレーはおいしかった?」と話すこともあります。子どもたちとのコミュニケーションには、いろいろな情報が必要ですので、近隣の保育園の行事や先生の名前などもできるだけ記憶しています。また、患者さんの様子はすべてスタッフと共有し、アフターフォローにも努めています。熱が何日も続いていた患者さんが2日ほど来院していないときには、スタッフが電話をして元気になったかどうか様子を確認するようにしています。スタッフも開院当初からのベテランスタッフが多いですから息も合っていますよ。

去年と同じではありたくない。日々進化していきたい

ところで、休日はどう過ごされていますか?

永吉昭一院長 なかよしこどもクリニック5

休日は、夫婦でゴルフをすることが多いです。妻もクリニックを手伝っていたので子育ての時期は休日に自分の時間はありませんでした。子どもが成長してようやく夫婦で趣味を楽しむ時間が持てるようになりました。歩く量が多いので、健康のためという気持でも楽しんでします。

お子さんを連れて来る保護者の方へのアドバイスがあれば、お願いします。

受診するときには、いつから熱が出たのか、どんな薬を飲んでいるのかなど、できるだけたくさんの情報を伝えてほしいと思います。情報量が多ければ、無駄な検査も減りますし、お子さんにも負担をかけずに済みますね。今はインターネットなどにも医療情報が多いですが、そのほとんどが羅列して症状が書いてあり、内容を消化できないと思います。自己診断ではなく、まずは専門のクリニックで診てもらうことが大事です。

今後の展望をお聞かせください。

永吉昭一院長 なかよしこどもクリニック6

去年と同じではありたくないというのが、私のモットーです。マンネリ化しないためには壁紙を変えるだけでもいいと思うんですが、毎年一つずつでも進化していきたいですね。具体的な目標としては、ウイルスD-68(Enterovirus-68)を見つけることです。これは、喘息を引き起こすウイルスですが、独自の検査キットはすでに作成済みですので、クリニックで発見されても対応できるように体制は整えています。ウイルスもどんどん進化していきますし、われわれ医療従事者もそこに対応していく必要があると思っています。

Access