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佐伯 公 院長の独自取材記事

佐伯小児科医院

(尾張旭市/尾張旭駅)

最終更新日:2023/12/25

佐伯公院長 佐伯小児科医院 main

初対面の子どもを上手にあやせる小児科医も素晴らしいが、診察が真剣なあまり口数少なく、慎重に症状の原因を探ろうとする小児科医も素晴らしい。そう思わせてくれたのは、名鉄瀬戸線尾張旭駅近くで60年近い歴史を持つ「佐伯小児科医院」の佐伯公院長だ。父親から25年前に医院を継承した院長は「問診・聴診・触診」を大切に、総合的に診断をつけていく方針を取っている。そのため時間がかかりがちなので、患者の待ち時間を短くするために現在は予約制を導入。新型コロナウイルスの感染拡大時には率先して発熱患者の診療に取り組み、日頃から学校医・嘱託医を務めるなど地域への貢献度も高い。話をしていると、地元や人とのつながりを大切にする実直な人柄が伝わってきた。そんな院長に小児科医療への考え、開業医としての矜持などを聞いた。

(取材日2023年11月2日)

患者は新生児から100歳まで。地域に根差した医院

歴史ある医院を継承して25年、何か変化をお感じになりますか?

佐伯公院長 佐伯小児科医院1

父が医院を開業をしたのは、私が1歳半の時です。自宅を併設していたので、私もここで育ちました。当時と比べて医療機関は随分と増えましたが、大規模なマンションや商業施設が建つこともなく、地域に住んでいる人たちの顔ぶれも人口もあまり変っていません。でも、昔子どもだった患者さんが、自分のお子さんを連れて来てくださったりします。お子さんだけでなく、家族で通われる方や高齢の患者さんも全体の3割ほどいらっしゃいます。患者さんは乳児から最高齢100歳の方までと幅広いです。

医師になられたのは、やはりお父さまの影響ですか?

働く父の姿を毎日のように見ていたので、自然と「父のようになりたい」と思うようになりました。息子の私が言うのもなんですが、父は多くの患者さんに頼りにされる存在でした。当時は医療機関も少なく、休日診療を各医院が輪番制で行っていたのですが、年末年始に患者さんが何百人も詰めかけて警察が来て交通整理をしたこともあったようです。当院は当時から「小児科」を掲げていましたが、父はとても勤勉で内科の勉強もしていました。家族の方から「私も診てほしい」という要望もあり、大人の診療も行っておりました。それで「何でも診てもらえる」と評判を呼び、多くの患者さんに来ていただいたようです。開院時に父が母校から贈られた掛け時計が待合室にありますが、現在も正確な時を刻んで、医院を見守ってくれています。

院長は学校医なども務められ、地域との関わりも深いと伺いました。

佐伯公院長 佐伯小児科医院2

小学校の学校医や嘱託医のほかに、市の乳児健診や行政に関連した業務にも携わっていますのでこの辺りのお子さんは一度は診ているのではないでしょうか。新型コロナウイルスが拡大した時は、当院では発熱患者を外来で診療しました。それまでも小児科では、発熱で来院する患者さんが多かったので、発熱者に対する抵抗感はまったくありませんでした。私はここで育ち地域に愛着があり、知り合いも多いです。地域あっての医院だと思うので当然のことをしただけです。

問診・聴診・触診を大切に、小児患者にも真剣に対応

診療スタンスについて教えてください。

佐伯公院長 佐伯小児科医院3

最初はすぐに「検査をしてほしい」と言われることもありますが、当院では時間をかけて所見を取るようにしています。これは恩師からの教えでもあります。初めに全身の状態を診て、患者さんやご家族との問診を通じて原因を探る。そして聴診器を当てて、胸の音を聞き、触診を行う。そういった理学所見を大切にして、診療を進めています。そのため多少は時間がかかることをご承知いただきたいです。それと不必要な薬をなるべく減らすということです。人間には自然治癒力や免疫力が備わっています。また薬には副作用もありますので、必要と思われる薬しか処方しません。不必要な薬は、なるべく出さない方針です。

小児科で特に心がけていること何ですか?

最近は小児の予防接種管理が複雑化しています。お子さんの予防接種に関しては、生年月日や希望接種日に基づいて接種スケジュールを作成し、ご家族にお渡しするようにしています。お子さんも大人もワクチン接種による副反応を懸念される方も少なくありませんので、不安や疑問があったら気軽に相談していただきたいです。あとはお子さんも大人も私は区別せずに、1人の患者さんとして真剣に接するようにしています。特に初診時などは集中して症状の原因を探ろうとするので、無愛想に見えるかもしれません。でも何回か通院するとお子さんも慣れてくれますし、私も冗談を言ったりするのでどうかご安心ください。実はこう見えても結構面白い人間なんですよ(笑)。

それだけお子さんの診断には、注意を要するということですね。

佐伯公院長 佐伯小児科医院4

小児の場合は、さまざまな症状が関わり合っていることもあるので、症状だけにとらわれない総合的な判断が必要となります。例えば小さいお子さんは風邪をひくと中耳炎を合併することがあります。当院は耳鼻咽喉科ではありませんが、耳垢を取って鼓膜の様子を診ることもできます。通常は喉の奥もペンライトなどで見ることが多いですが、当院は専門的な器具を使用しています。また画像診断の精度を上げるために、放射線技師も在籍しています。そのように小児の診断には慎重さが必要なので、まずは小児科に受診されることをお勧めします。

小児科の医師こそ、良いかかりつけ医になれる

こちらは大人の診療にも取り組んでいらっしゃいますね。

佐伯公院長 佐伯小児科医院5

当院は地域で長く開業しているため、父は大人の患者さんも診てきました。私は最初は小児だけを診るつもりでした。しかし、父の勧めで成人患者も診療をしてみると、次第に興味が湧き、内科の勉強会にも積極的に参加するようになりました。今では高血圧や糖尿病といった生活習慣病の患者さんも多く来院されます。父はよく「小児科の医師こそ良いかかりつけ医になれる」と言っていました。子どもの頃から関わることで、患者さんの体質、家庭環境を知ることができ、患者さんが成人してからも、良いかかりつけ医になれるという意味です。それに小児科医は全身を診る習慣がついています。総合的に診ることができる医師としての研鑽を常に積むことで、ファミリードクター、ファミリークリニックとしても信頼していただけると思っています。

その役割として、病診連携にも注力されていますね。

私の所属する瀬戸旭医師会は病診連携に力を入れていて、旭ろうさい病院、瀬戸市の公立陶生病院などの基幹病院と診療所との連携があります。また他に近くには愛知医科大学病院もあり、私自身も基幹病院との病診連携で専門的な症例や検査について学ぶ機会をいただいています。そのようなつながりにも力を入れているので、どの病状だったら、どの病院のどの先生にかかれば良いかの情報を患者さんに提供し、紹介することができます。診断をしっかりつけて、後は専門の医師にお任せするというのも開業医の役目です。開業医はそういった引き出しの多さが必要だと思います。

お忙しい中で、オフタイムはどのように過ごされていますか?

佐伯公院長 佐伯小児科医院6

週に3回は、自宅のトレーニングマシンを使って筋トレをしています。25年前、勤務していた病院の先輩医師にジムへ連れて行ってもらったのがきっかけです。本格的にやり出すと、自分の体が変化していくのがわかるので面白いですね。もう一つは、地元の郷土芸能に「棒の手」という愛知県の無形民俗文化財があるのですが、年に一度の秋祭りで神社に奉納されます。それに家族ぐるみで参加してきました。私は火縄銃の鉄砲隊の一員となって参加しています。余暇には、その大切な火縄銃を手入れしたり、眺めたりしています。そのお祭りを通じてのご縁で、地域の方々とも仲良くさせていただき、飲み会も時々開催しています。

今後の展望、読者へのメッセージをお願いします。

皆さまには、がん検診や乳幼児健診、予防接種といった「予防医学」を大切にしていただきたいと願っております。なお、第二診察室で、隔週の土曜日に愛知医科大学病院小児科医師による、アレルギーの外来を行っております。詳細につきましては、お電話でお問い合わせください。また、一般診療のほか、小児の分野であれば夜尿症や成長ホルモン分泌不全性低身長症など、成人の分野では睡眠時無呼吸症候群や生活習慣病等々、ご心配なことがあれば医療相談にも応じております。糖尿病の患者さんには管理栄養士による栄養指導もしております。病院や専門の医師へのご紹介などの適切な医療情報もご提供できますので、お子さんだけではなく、大人の方だけでもどうぞお気軽にご来院ください。

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