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中村 晴彦 院長の独自取材記事

医療法人 中村耳鼻咽喉科

(大府市/大府駅)

最終更新日:2021/10/12

中村晴彦院長 医療法人 中村耳鼻咽喉科 main

「患者さんを自分の親、妻、子ども、孫のように思って診ています」と話すのは「中村耳鼻咽喉科」院長の中村晴彦先生。70台以上収容の大きな駐車場を擁する同院だが、花粉症のシーズンなどには、そこから車があふれるほど混雑することもある人気ぶりだ。風邪やアレルギーといった身近な疾患のイメージが強い耳鼻咽喉科は、QOL(生活の質)や時には生命に大きく関わる重大な疾患が隠れていることもある分野。長年の経験と地域の医療機関とのネットワークにより、適時・適切な診療を提供する。60歳を超えたとは思えないバイタリティーで常に1日100人以上を診察し、患者からの信頼も厚い中村先生。その診療にかける思いとエネルギーの源に迫ってみた。

(取材日2017年11月21日)

巡り合わせが重なって、大府で耳鼻咽喉科医院を開業

先生はどうして医師になられたのですか?

中村晴彦院長 医療法人 中村耳鼻咽喉科1

実は子どもの頃はパイロットになりたかったんです。世界を飛び回る憧れの職業で、中学・高校時代は宮崎の航空大学校に入るつもりで一生懸命勉強していました。ところが、目を悪くしてしまいまして、諦めることに。別の道を模索し、いろいろ考えて医療を志しました。当時は血を見るのが怖く、歯科医師をめざすつもりだったのですが歯学部に合格できなくて(笑)、藤田保健衛生大学の医学部に入りました。それが始まりです。

耳鼻咽喉科に進んだのはなぜですか?

最初は外科の医師になりたいと思っていたんです。学生時代、ばんたね病院(現・藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院)の院長だった吉崎先生という外科の先生に憧れて「その後を付いていこう」と思っていたのですが、実習でいろいろな科を回っているときに耳鼻科から引っ張られました。思いもよらなかった科でした。耳鼻科には、それで人が死ぬような病気はない、というイメージをもっていましたが、入局してすぐ病棟へ行くと、そこにはがんの患者さんがずらりといらっしゃいました。顔または顔周辺のがんというのは、手術切除により目がなくなってしまったり、顎から喉にかけてざっくり切り取られてしまったりとあまりにも壮絶です。そういう方々を目の前にして、身が引き締まる思いでした。こうなってしまう方を一人でも助けたい。そう思いました。

こちらに開業された経緯を教えてください。

中村晴彦院長 医療法人 中村耳鼻咽喉科2

本当は岐阜県可児市で開業したかったんです。初期研修と大学院合わせて6年間大学に勤務した後、蒲郡市民病院と岐阜の東濃厚生病院に勤務していたからです。でも、ご縁あって大府にやってきました。学生時代にこの近くでアルバイトをしていたこともあって土地勘も少しありましたし、何より耳鼻科がほぼなくて地域の患者さんが必要としているからと勧められたことが一番の理由です。大府市内でもこの辺りは古くからお住まいの方が多く、まるで友だちと話すように気さくに話してくださったり、人情味のある雰囲気が漂っているところが好きです。長く通ってくださる患者さんもたくさんいてありがたいですね。

まずは症状を取り患者を楽に。それが開業医の使命

どんな症状の患者さんが多いですか?

中村晴彦院長 医療法人 中村耳鼻咽喉科3

感染症やアレルギーなどさまざまな患者さんを診ますが、私が大学時代にへんとうの免疫について研究していたせいか、喉の疾患で来られる方は多いですね。喉の炎症は、7~8割の確率でウイルスよりも細菌感染です。なので最初の症状からブドウ球菌や溶連菌、インフルエンザ菌などを疑ってまず抗生剤を投与します。するとほとんどのケースは数日で症状が軽快しますね。病院ならまず採血してウイルス感染かどうか検査できますが、クリニックでは検体検査は外注なので少し時間がかかる。だからまずは治療を開始し、それで改善しなければすぐに抗生剤は中止して、ウイルス検査を行います。ウイルス感染の場合は対症療法しかありませんので、痛みを取る、咳を抑える、などの目的で投薬し、患者さんが早く楽になれるような治療を行っています。

こちらにかかると素早く対応してくれる、という患者さんの声を聞きました。

「とにかく早く、苦しい症状を取ってあげたい」という意識は強いですね。それが開業医の使命だと思っています。例えばめまいを訴える患者さんに対しては、まずはまひがないかなどをチェックして、脳の問題から生じている可能性を否定できたら、すぐに炎症を取るためのステロイド点滴を開始します。だいたい数日で良くなっていきますね。顔面神経まひも同様です。ただ炎症をステロイドで抑えられる「ベルまひ」と、ウイルス性でステロイドで抑えらない「ハント症候群」の診断は経験を要します。突発性難聴は当院で聴力検査をすれば診断がつくので、わかり次第病院に紹介するか、こちらで点滴治療を行います。発症から1週間以内に治療を開始すれば完治の可能性はかなり高いですが、3ヵ月以上たつと治る可能性が非常に低くなってしまうので、注意して診ています。

子どもを診ることも多いと思いますが、何か心がけておられることはありますか?

中村晴彦院長 医療法人 中村耳鼻咽喉科4

風邪やアレルギーは小児科でも診てもらえますが、耳は苦手とされる先生も多いので、近隣の先生方とは必要なときはいつでも連携できるよう普段からコミュニケーションをとっています。感染症で中耳炎を起こしているお子さんは結構多いんですよ。また、鼻が詰まって苦しくて夜も眠れないということが小さなお子さんには起こることがあります。そんなときはちょっとお薬を使うと楽になりますから、朝でも夕方でも気軽に寄ってくださいと、お母さんたちにお話しします。お薬を飲ませることに抵抗がある方には「症状だけでも取りましょう」もしくは「症状が良くなったら余分な薬は飲まなくていいですよ」とお伝えしています。

患者は自分の家族。その気持ちを持って最善を尽くす

診療において大切にしていることを教えてください。

中村晴彦院長 医療法人 中村耳鼻咽喉科5

私は患者さんを家族だと思って診療しています。一人ひとりの患者さんを自分の子どものように大切にし、自分の親やきょうだいだったらどうしてほしいかなと考えて治療にあたります。最近、私の孫が生まれてすごくうれしいのですが、小さなお子さんが来ると、孫のようにかわいく、いとおしいですね。だから、絶対に病気を見落としたくない。特にがんなどの疑いが少しでもあれば検査をお勧めしています。耳鼻科の病気は発見・治療が遅れてしまったらQOL(生活の質)を著しく下げる結果となる。そんな例をたくさん見てきたから、自分の家族につらい思いはさせたくないのです。中には検査を「痛い」とか「お金がかかる」といった理由で望まない患者さんもいらっしゃいますが、「あなたの将来に関わることだから」といってお勧めしています。これが私の診療信念です。

大府は医療機関が充実している印象がありますが、連携体制はどのようになっていますか?

国立長寿医療研究センターやあいち小児保健医療総合センターなどは国の研究機関なので、直接的な関係はありませんが、もちろん先生方とは面識があり、必要なときに協力できる体制になっています。近隣病院では、刈谷豊田総合病院の耳鼻科とは年に一度会合を持つなど密に連携していますし、市西部の患者さんは西知多総合病院に紹介することも多いですね。がんの場合には藤田保健衛生大学病院も重要な選択肢となります。私もキャリアが長いので医師会など地域との関わりから、それなりにネットワークを構築できました。各病院の特性や先生方の得意分野などを考え、患者さんのご希望に合わせて適切なところをご紹介できるようにしています。

今後への抱負など、お聞かせください。

中村晴彦院長 医療法人 中村耳鼻咽喉科6

還暦を過ぎましたが、73~75歳くらいまではこの調子でやっていきたいですね。実は60歳くらいで引退してハワイに移住したいという夢を持っていた頃もあります。でも今の所に移転した時からは「まだまだ頑張らなくては」と思うようになりました。実際、ここで患者さんたちとお話ししているほうがずっと楽しいですから。周りに耳鼻科医院がなかった昔は毎日300人くらい、多いときは600人、今でも少なくとも100~150人くらい診ています。一人ひとりの患者さんとゆっくりお話しする時間はなかなかなくて恐縮ですが、常にベストな診療ができるよう、引退するその日まで、患者さん一途に頑張っていきたいと思います。

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