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須知 雅史 院長の独自取材記事

内科小児科 須知医院

(常滑市/常滑駅)

最終更新日:2019/08/28

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常滑駅から歩いて約10分の住宅街で、長年にわたり地域住民の健康を守ってきた「内科小児科 須知医院」。5年前にリニューアルされた建物は清潔感あふれる一方、瓦屋根の入り口や畳敷きの待合スペースのある院内はどこか懐かしく、昔ながらの診療所を思い起こさせる。家業を継いで4代目となる須知雅史院長は、以前は開発途上国で結核対策に携わっていたといい、国際色豊かな経歴を持つ。現在は高齢者医療や在宅医療に関わるなど、地域医療のさらなる向上のため力を注いでいる。医師としての仕事に生きがいを感じ、「無病息災だと思っている人ほど健康診断受診を」と語る須知院長に、診療モットーや地域医療の課題、今後の展望などについて聞いた。
(取材日2018年11月1日)

住民の健康を守る門番としての役割を果たす

こちらのクリニックには長い歴史があるそうですね。

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父から聞いた話によると、この地で開業してから私の代で4代目になるようです。母屋は明治前にできた建物で、この建物に5年前に移転するまではそこで長らく診療していました。私が継承したのは2012年ですから、院長に就任してまもなく7年になります。歴史の古い医院なので父の代から通ってくださっている方も多く、高齢の患者さんで、私の代になってから初めての方でもずいぶん前に来たことがあるとおっしゃる方もいます。そうやって親しみをもっていただいているのはとてもうれしく、長く続いているからこそだと思いますね。

先生はなぜ医師になられたのですか?

車が好きなので子どもの頃はラリードライバーに憧れたこともありましたが、現実的に将来を考える年になった時には、何か人と接する仕事がしたいと思うようになっていました。父の家系は代々続く医師でしたし、母の実家も医業をしていたので、親族の姿を見ているうちに自然な流れで医師になろうと思いました。今になって思うと、「人は世のため人のため、そして病み苦しむ人のため」ということでしょうか。同じ診療でも、患者さん一人ひとりのために少しでも役に立てることが魅力だと思っています。

現在の患者さんの層や主訴について教えてください。

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常滑市自体の高齢化が進んでいることもあって、当院に来られる患者さんも約6割が70歳を超えています。そのためやはり高血圧、糖尿病などの生活習慣病や、特定健診で異常が見つかったという方の受診が多いです。慢性疾患の場合、病気と長く付き合っていかなければならないので、根気強く治療を続けてもらえるようしっかりとコミュニケーションを取るようにしています。移動が困難な高齢者の負担にならないよう、院内処方も続けています。また何か異変があればすぐに専門の医療機関へ送ることも大切で、いわば「医療の門番」(どこを受診すべきかわからない患者さんを適切な治療へ導く)の役割を担いたいと思っています。

治療脱落の責任は医療側にあるという考え方を大切に

医院を継承する前はどんなことをされていたのですか?

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開発途上国で公衆衛生の向上に関わる活動に従事していました。結核対策のシステムづくりを行っていて、治療継続やそのもととなる薬剤の安定供給、治療成績の評価のための患者記録や報告体制の確立などに取り組んでいました。そしてこの経験は今でも非常に役に立っています。身をもって学んだのが、薬などのストックを持つ大切さです。途上国では薬の供給がいつ止まってもおかしくない状況だったので、不測の事態に備えるよう指導していました。これは国内の医療においてもいえることで、例えば予期せぬ災害が起きた場合、1週間程度はしのげるよう、予備の薬を用意しておく必要があります。当院でも、患者さんには余裕をもって薬を持っておくようお願いしています。また、正確な情報を常に持っている目的で、薬の情報を書いた紙を財布の中などに入れるようアドバイスもしています。

他に患者さんによくアドバイスされていることはありますか?

何の治療でもそうですが、自己判断でやめないことが大切です。特に高血圧や糖尿病などの生活習慣病は治療を中断すると重篤な疾患に至るリスクが高まりますし、場合によっては取り返しのつかない状態になってしまうこともあるからです。とはいえ、痛みなどの自覚症状があれば別ですが、何もないのに薬を飲み続けるというのはなかなかできないのも事実です。だからこそ患者さんが脱落する前に声をかけて引き留める必要があります。私は患者さんが治療から脱落するすべての原因は医療側にあると考えていて、口うるさいと思われてもかまわないのでしっかりサポートするようにしています。やはり生活習慣病の治療には運動と正しい食生活、そして治療を続けることが大切なんです。ですから患者さんには「薬はちゃんと飲んで、無理はしないで」と呼びかけるようにしています。もちろん、患者さんの意思が大切なので、治療の大切さを理解していただくのが大前提です。

患者さんと真剣に向き合っているのですね。

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他にも、継続して診ているからこそ気づくことが多いので、診療中の会話はできる限り記録するようにしています。例えば患者さんが食欲の低下を訴えていたら、次回の診察時にその記録を見返して症状の変化を確認します。「去年の8月はこういう状態でしたね」などと経過をたどりながら話をすると、患者さんも納得して治療を続けてくれます。特に生活習慣病の治療は地道に続けていくことが重要ですから、検査データや体重をグラフにして見せたり、治療目標を立ててなるべくモチベーションが維持できるように注力していますね。長期にわたって経過を記録していると、「この時期毎年数値が悪くなっているから今年は気をつけて」といったアドバイスもできるので、予防にも役立ちます。

定期的な健診の大切さを地域に広めたい

地域の高齢者医療に関してはどのようにお考えでしょうか?

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認知症の高齢者への対応は今後の課題だと思っています。当院にも時々、通院日がわからなくなったり薬がちゃんと飲めなくなったりしている患者さんがいらっしゃいますが、そんなときはご家族を呼んで専門医療機関の受診や介護保険の申請を勧めることもあります。正しく診断したり、場合によっては早く介護へつなげることがいいこともありますから、適切なアドバイスをすることも地域のクリニックの役割でしょう。他には在宅医療も行っていて、患者さんにも「自宅で最期を迎えたいなら診ますからね」と伝えています。

では地域の中で今後どのようなことに注力していきますか?

高齢者医療に関していえば、介護をする家族のフォローを含めて環境の整備が必要です。また災害医療についてもさらに力を入れていかなければならないと考えています。大地震が起きたらこのエリアも被災する可能性がありますから。地域の開業医として対応すべきことを、平時の今から練っておかなければなりません。私も愛知県医師会が行っている災害コーディネート研修など、災害関係の研修に参加することがありますが、まだまだ準備が足りないと痛感させられます。先輩方が苦労されて連絡網やマニュアルなどは整いましたが、実際に災害が起きた時に向けて、今後も地道な努力を続けていかなければならないでしょう。不測の事態に備えることの大切さは海外での活動でも実感したので、さらに改善を図っていきたいですね。

最後に、地域の患者さんへメッセージをお願いします。

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無病息災だと思っている人ほど、健康診断を受けてください。また、病気のある人は通院していると、場合によっては他の病気の早期発見にもつながりますから、一病息災と考えて、継続して治療を受けていただけたらと思います。要は、医療とは無縁の生活をしている状態が一番心配なんです。調子が良いと思って何年も病院に行かない人ほど、気がついた時にはかなり病気が進行していることがあります。特に高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、重症化や合併症を起こさないよう早期に生活習慣の修正を含めた治療を開始することが肝心です。しかし、まずは疾病が見つからないことには何もできませんから、自覚症状がなくても定期的にチェックが必要です。別の言い方をすると、生活習慣病は「自己破壊病」です。毎日の食生活や運動量を見直さなければ改善しないので、まずは気づくことが大切です。がん検診などの公的な検査も、ぜひ受けることをお勧めします。

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