彦坂 壮洋 院長、彦坂 行男 先生の独自取材記事
彦坂外科
(津島市/津島駅)
最終更新日:2023/07/06

津島市の県道114号線沿いに立つ「彦坂外科」。1989年の開業以来、地域住民の健康を支えてきた地域密着型の医院だ。前院長で、現在顧問を務める彦坂行男先生が津島市民病院の外科医長として5年間勤めた後、慣れ親しんだ津島市に開院。2023年4月に息子である彦坂壮洋(たけひろ)先生に院長を継承し、親子二人三脚で診療を続けている。同院の診療スタイルは、患者には丁寧に対応し、どんな些細な症状でも困ったことがあれば相談に乗るというもの。医師である父の背中を見て育ち、小さい頃から自分も父のような医師になりたいと考えていた壮洋院長は「良い意味で変わらない診療を提供していく方針です」と語る。同院の歴史や診療方針など、壮洋院長と行男先生に幅広く話を聞いた。
(取材日2023年5月9日)
父がつくり上げた幅広く診る診療方針を守り貫いていく
前院長であるお父さまが開業してもうすぐ35年になりますが、これまでの経緯を教えてください。

【壮洋院長】父は、愛知県済生会病院(現・愛知県済生会リハビリテーション病院)の外科の医師として7年間勤務した後、名古屋大学医学部附属病院の第一外科の血管研究室を経て津島市民病院の外科で経験を積みました。1989年に手術のできる有床の彦坂外科を開業し、外科手術だけでなく、地域のかかりつけ医として、胃腸内科や循環器内科、泌尿器科、リハビリテーション科と幅広い診療を続けてきました。15年前、父が50代だったと思いますが、自身の体力的なことを考え、メスを置くと同時に入院施設も閉鎖しました。父もつらい決断だったようです。私も津島市民病院の整形外科に勤務医として勤め、リハビリテーション科を経て2016年に当院の副院長となりました。現在は、2人の医師が担当曜日を決めて、検診や診察、在宅医療に取り組んでいます。お互いの意見を出し合い議論ができるので、先輩医師が身近にいるのは心強いですね。
壮洋先生が院長になられた現在の診療方針をお聞かせください。
【壮洋院長】院長が代替わりすることで、医院の診療方針が変わってしまうのではないかと不安に思われる患者さんもいらっしゃるかと思いますが、私が院長になったこれからも良い意味で変わらない診療をしていく方針です。前院長の代から患者さんが困っている症状があれば、あまり標榜科目に関わらず診るスタンスです。幅広く診てどんな相談でも応じる医院を父がつくり守ってきたので、私はできる限りそのままのかたちで引き継いでいきたいと思っています。さまざまな主訴の方がいらっしゃるので、当院でできることはやりますし、場合によっては適切にほかの医療機関を紹介させていただきますので、まずはなんでもご相談ください。
幅広い診療科目を掲げていらっしゃいますね。

【壮洋院長】当院の患者さんの多くは高齢者層です。高齢の方は複数の病気を抱えている方が多く、外科の症状で受診してもほかに気になる症状も診てほしいと言われることが多いです。また、「何科へ行けば良いのかわからない」という患者さんも多く見受けられます。そういった患者さんの要望に応じるために、開院当初から診療科を多く設けて門戸を広くしています。内科は標榜していませんが、風邪も診てほしいとよく言われますし、そんな患者さんの要望に応えるために父自身も開業してからたくさん勉強したようです。高齢の患者さんにとっては、あちこちの診療科を受診するのも負担になりますからね。
親子2人で訪問診療を担当し地域に根差す
患者さんの主訴はどのようなものが多いのでしょうか?

【壮洋院長】年齢を重ねてくると膝や腰の変形が進んできますので、変形性膝関節症や変形性脊椎症などの病気や、すりむいた、ぶつけてしまった、転んだといったケガで来られる方が多いですね。そのついでに、ケガ以外の気になる症状を訴えられる方もいらっしゃいます。また、かかりつけ医として通っている方のお子さんやお孫さんなど、家族ぐるみで来院してくださる方もいらっしゃるので、小さなお子さんの発熱などにも対応しています。もう開業から34年になりますが、開業当時からずっと通ってくれている方もいます。もうすっかり顔見知りの方もいますが、引き続き当院が地域になじんだ空気のような存在になっていけたら良いなと思っています。
地域に根差した医院をめざされているのですね。
【行男先生】私の代から幅広く診る診療方針で、地域に根差した医療を心がけています。開業当時から高齢で通院が難しい方、体の痛みで動けなくなった方を中心に訪問診療も行ってきました。訪問診療に関しても、地域を支える医療こそ私の使命ではないかと思って始めました。
【壮洋院長】訪問診療はお昼休みなどを活用して、顧問と2人で担当の曜日を決めて、津島市と愛西市辺りを回っています。あと地域に根差したものといえば、市の健康診断の対応もしています。予防医療には力を入れるべきだと考えていますので、当院の患者さんには「そろそろ健診のお知らせは届きましたか?」と声をかけています。病気を未然に防ぐためにもできる範囲で、健康診断を推奨していかなければならないですね。
診療時にはどんなことに気をつけていますか?

【壮洋院長】父も私もできるだけ、患者さんの声に耳を傾けるようにしています。特に年配の方は、こちらが焦らせてしまうと、言いたいことも言えなくなってしまうと思うので、「慌てなくていいからね。ゆっくり話してくださいね」とお声がけをして、患者一人ひとりのテンポに合わせて診察をするようにしています。患者さんは、皆さん何かしらの不安を抱えて来院されるので、できる限り断らずに相談に応じるというのは、父も私も意識していますね。あと、患者さんには優しく寄り添う姿勢で接してほしいというのは、スタッフにも共有していることです。患者さんがつらいと感じるような接し方はしないようにしています。といっても、当院のスタッフは父の代からずっと勤めているベテランぞろいなので、気さくで頼りになるスタッフばかりですがね。
「どんなことも相談してほしい」スタッフ全員で迎える
新しく導入された機器はありますか?

【壮洋院長】CTを更新して、より精密な検査が可能になりました。再構成で3D画像もつくることもできる16列マルチスライスCTです。転んでおケガをされた方がよく来院されますが、転んだ時に頭を打ってしまう方が非常に多いので、頭の中に出血がないかCTで検査をします。ほかにも、おなかが痛い方の腹部や肺がんの心配がある方の胸を撮る、顔を打った方の顔面に小さな骨折がないかなどを調べる場合に使います。CTを使うとエックス線検査ではわかりにくい小さな骨折までわかりやすいんですよ。
津島市民病院の勤務医時代の経験は、現在にどう生かされていますか?
【壮洋院長】地域柄、患者さんも高齢の方が多く、リハビリテーション科では2ヵ月ぐらいの入院が平均でした。しかしその間に、足の骨折で入院中に風邪をひいたりほかの場所が痛くなったり、さまざまな症状を訴えられる場合があります、時には、風邪だと思ったら、肺炎になってしまったというケースもありました。そういったさまざまなパターンに自分なりに対処してきたことは、とても大きな経験になったと思います。当院の患者さんも高齢者が多く、診療科目にとらわれない診療をしているので、勤務医時代に幅広い症例を診た経験が役立っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【壮洋院長】院長になったばかりなので、まだ私自身もわからないことが多いのですが、まずは父の代と良い意味で変わらない、これまでどおりの診療を続けられるようにしていきたいです。院長の仕事に慣れてきた頃に、ゆっくり今後のことを考えていきます。診療方針に関しても変わりなく、幅広く診るスタンスを守っていきます。体のことで困っていること、心配なことがあれば些細なことだと片づけないで、まずはご相談ください。当院には「どうしてこの程度で病院に来たの?」と言う者は1人としておりませんので、行って怒られたらどうしようと気兼ねせずに相談に来てほしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは津島市の特定健診/1000円