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竹内 敏行 院長の独自取材記事

ならい心療内科

(岡崎市/東岡崎駅)

最終更新日:2023/06/21

竹内敏行院長 ならい心療内科 main

心の不調を感じた時、相談できる家族や友人はいるだろうか。また、家族や友人だからこそ言えない悩みを一人で抱えていたり、家族の中に、対人関係がうまくいかない、仕事でミスばかりしているなどの問題を抱えている人はいないだろうか。岡崎市の「ならい心療内科」では、心の悩みがある人のための治療や復職支援などの指導が行われている。院長の竹内先生は、自身も若い頃に悩んだ経験を持ち、心の悩みに寄り添う患者思いの先生だ。祝日のみが休診という体制にも表れているように、ケアやサポートが必要な患者がいつでも訪れることができるような体制づくりをしている。診療を終えた夜の時間にも関わらず、竹内先生から話を聞くことができた。

(取材日2017年5月19日)

心の不調へのアプローチは主に二つの方法で

患者さんの層や症状についてお伺いできますか?

竹内敏行院長 ならい心療内科1

当院を訪れる患者さんの性別や年齢層に、特徴的な偏りはありません。一般的には心療内科にかかる人は、女性のほうが多い傾向にあるようですが、当院の患者さんの男女比は五分五分、年齢層も下は中学、高校生から、上は高齢者まで、多くの方に利用してもらっています。来院動機については、大きく分けるとふたつに分類されます。ひとつは学校・職場や家庭での人間関係の悩み、もう一つは仕事場で、例えば業務量過多による心身ダメージなどで、解決できない心の悩みが募り来院に至るというイメージです。患者さんの中で最も多いのは、お仕事をしているビジネスパーソンの方ですね。

初診時の流れについて教えていただけますか?

まずはお電話で予約をとってもらうところからお願いしています。その際、簡単に悩みの内容や現在の状況についてお聞きして、その内容を私がすべて確認します。内容を見て、その人の悩みを取り除くことができそうなスタッフを配置し、初診の際、予診という形で改めて、詳しい内容をお話ししてもらいます。予診を担当するスタッフは臨床心理士やPSWと呼ばれる精神科ソーシャルワーカーなどのプロフェッショナルがそろっていますので、無理せずリラックスして受けてもらえます。予診のあとは本診です。これまでの話をふまえて、私や担当医による問診と診断をしていきます。初診は特に、ある程度時間が必要です。会社にお勤めの方の場合、初診が夜になってしまうことが多いと思いますが、初めての方は、平日は20時まで、土曜は18時までの来院予約をお願いしています。

さまざまな心の問題を抱えた患者さんを、どのような方法で改善あるいは完治へ導いているのでしょうか?

竹内敏行院長 ならい心療内科2

患者さんの性別、年齢、性格、悩みの内容など、複数の要因を体系的に分析し、その人にあった最適な治療方法を提供できるよう、われわれは2つのアプローチ方法で治療を行っています。ひとつは基本的な治療法の薬物療法。もうひとつは、当院が重視しているカウンセリング。心の悩みをひも解き、過去のトラウマや原体験などを明らかにする精神分析によるアプローチと、認知行動療法という、極端になってしまっているものの見方、考え方のバランスをよくして、うつ状態や不安の問題の改善をはかる心理療法です。前者は原因を探すところから始めるという点でどちらかというとゆっくり、後者は原因と対策をよりダイレクトに解決をめざす、というのが特徴で、患者さんの悩みの内容や特性、性格などに合わせて治療方法を相談しながら決めていきます。また、途中で治療方針が変わる場合もあります。

市内で復職支援「リワーク」に取り組む存在

「PSW」や「リワーク」など、あまりなじみのない言葉ですが、少し教えていただけますか。

竹内敏行院長 ならい心療内科3

PSWは、Psychiatric Social Workerの頭文字で、精神医学ソーシャルワーカーとも呼ばれています。精神上の障害がある人たちやその家族の人たちの相談を受け、日常生活訓練をする施設を紹介したり、就職や復職に対するアドバイスを行うことで、よりよい生活を送ることができるように援助する役目を担っています。「リワーク」とは「復職支援」のことでして、うつ病などの精神的な疾患がある人が、元の職場や仕事に復帰(RE WORK)するための支援プログラムのことです。岡崎市内の心療内科では当院が「リワーク」を扱っているため、リワークのみを利用したいという患者さんのニーズが多いです。

先生は、主治医を変えたくないリワーク利用希望の患者も、快く受け入れているそうですね。

本人やご家族にとって、あるいはお勤め先の会社にとっても、ひとりの従業員が働けなくなることの損失は計り知れません。リワークプログラムは、そのような損失を避けるため、うつ病などで一度はドロップアウトした人が職場復帰するための訓練であり、これを受けるのと受けないのとでは、本人にかかるプレッシャーも違ってきます。また、受け入れ側である職場の理解も、本人の復帰のためには欠かせないとても重要な要素です。そのため、当院のPSWは、必要な知識や情報を伝えに職場に出向き、本人の上司や同僚に対して打ち合わせを行っています。

心の悩みを素直に話すことをためらったり、聞かれたくないという患者もいると思いますが。

竹内敏行院長 ならい心療内科4

悩みの内容を聞かれたくない、恥ずかしい、などの思いはわれわれも十分に理解しています。だからお話を伺う時も、直球でお聞きするのではなく、さまざまな質問をしながら、時間をかけて徐々に打ち解け、本人が悩みを打ち明けたくなるように導いています。患者さん本人も、心の問題を解決したい、自分の話を聞いてほしい、という思いで診察を受けにきていますので、ある程度心の準備もできていますし、話すことで気持ちがすっと楽になったと話す患者さんもいらっしゃいます。心の病は決してその人が特別だから患ってしまうのではありません。ある研究によると、うつ病と診断された人の遺伝子を調べても、どこにも異常はないという結果がでたそうです。ということは、誰もが何かのきっかけで発病してしまう可能性があります。大切なのは、ひとりで考えず、できるだけ早く相談することです。

誰もが抱える可能性があるからこそ早めに話してほしい

こころの不調を感じることができるサインみたいなものはありますか?

竹内敏行院長 ならい心療内科5

眠れない、寝つきが悪いなどの不眠症状がでた場合、原因が「こころ」である可能性が高いと思います。うつ病の方のおよそ9割が睡眠に問題を抱えていると言われていますし、一日2、3時間しか眠れないことが数ヵ月続くようでしたら、かなり高い確率でこころの疾患にかかっていると言えるでしょう。いずれにしても、早期に対応したほうが、進行という面で改善までの時間が大きく違ってきますので、体の不調や不眠で悩まれている時はまず、かかりつけ医へ行ってみることも有効です。内科の先生が抗うつ薬などの処方をしてくれることも現在は日常的に行われており、ひとつの薬で治ることも多くあります。それでも症状が改善しない場合は、かかりつけの先生もわれわれのような心療内科へつなげてくれると思いますし、もちろんはじめから、直接当院へ来てもらっても大丈夫です。

ところで先生が、心療内科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

実は医師を最初からめざした訳ではありません。若い頃、何をやってもうまくいかなかった時期が私にもありまして、その時本当にたまたま手にとった一冊の本に深い感銘を受け、そこから一念発起して医学部に入りなおし、心療内科の医師になりました。心の病について書かれたその本は、当時の私を救ってくれましたし、心の病で悩んでいる人のために役に立ちたいと思う今の私の原点となっています。人は誰もが、うまくいく時もあればそうでない時もあると思います。こころの状態は、何かのきっかけで改善することもありますし、人に話すことが解決への第一歩になると思います。

今後の展望をお聞かせください。

竹内敏行院長 ならい心療内科6

心の病は早期発見、早期対応できれば、深刻になる可能性が低くなります。心の病は、深刻化、重症化すると自ら命を絶つ最悪の事態につながる可能性があります。それだけは何としても防ぎたいので、ひとりで抱え込まず、悩みは打ち明けてほしいですね。当院としては、これからも患者さんが必要としていることに応えていけるような医療を提供していきたいと思います。患者さん一人ひとりの気持ちを大切に、来た人それぞれが最適な治療が受けられるように今後も努力して続けていきたいです。可能な範囲で訪問診療も行っていますが、高齢化が進む昨今は、患者さん本人はもちろん、介護者の心のフォローも必要になっています。

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