合併症を起こさないために
生活習慣の改善が糖尿病治療の第一歩
はやせ希望クリニック
(名古屋市中川区/小本駅)
最終更新日:2020/06/22


- 保険診療
糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの量が不足している、または十分作用しないことで発症する疾患だ。病状が進むと、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などの合併症を起こし、生活の質が大きく低下するだけでなく命に関わることもある。きちんと医療機関に通って生活習慣を見直し、前向きに治療に取り組むことで合併症は予防できるといわれているが、患者が自分一人で、食事療法や運動療法を続けていくのは簡単なことではない。中には食事や運動に規制ばかりで病気と向き合うことが嫌になってしまう人もいるだろう。そこで、糖尿病治療に力を入れる「はやせ希望クリニック」の早瀬修平院長に、患者一人ひとりが「自分らしく生きていく」ことを支える、患者に合った治療法や生活の仕方について話を聞いた。(取材日2018年7月11日)
目次
糖尿病の正しい知識を持ち、生活習慣を正すことで合併症を予防する
- Q糖尿病はどのような病気なのでしょうか?
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A
▲地域向けの講演などにも精力的に活動している早瀬院長
糖尿病には、1型糖尿病、2型糖尿病、その他の糖尿病とあります。1型糖尿病の人は、先天的にインスリンを分泌していない場合もありますが、後から何らかの原因で、膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンが出なくなることもあります。一方、一般的に糖尿病といわれる人のほとんどが2型糖尿病に分類されます。これは何らかの原因で膵臓で作り出すインスリンの量が少なくなる、もしくは十分作用しないという状態になり発症します。糖尿病にかかると、全身の血管にダメージを与えるので、糖尿病でない人に比べて、神経の障害や目の障害、腎臓の障害などさまざまな病気を併発しやすくなります。
- Q2型糖尿病の原因は何ですか? また、自覚症状はありますか?
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A
▲院内啓発にも注力。身近な飲食物の糖分量にも気をつけたい
2型糖尿病の原因は、まだはっきりわかっていません。現在、どういう遺伝子多型によるものかが少しずつ解明されている段階ですが、遺伝的素因がある人が、食べ過ぎや運動しないなど生活習慣を乱すことで、かかりやすいと考えられています。このようにまだはっきり原因が特定できないので、健診の機会を利用し、しっかりチェックしてください。症状が出てから受診すればいいと思っているかもしれませんが、軽症の糖尿病は自分で気づくことはほとんどありません。口喝(こうかつ)といって、口が乾いてすごく水分を取りたくなるような自覚症状が現れた時点でかなり病状が進んでいるので、そうなる前に早めの受診をお勧めします。
- Q糖尿病の患者さんにはどのような治療が行われるのでしょうか?
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A
▲患者は糖尿病連携手帳を使って記録をつけながら医師と共有する
最初に行うのは食事療法です。高血圧の場合は塩分を控えるようにしますが、糖尿病の場合は総カロリーを控えるように指導します。といっても、患者さんが自分一人で糖尿病に合わせた食事メニューを考えることは難しいですよね。ですから当院では管理栄養士1人、糖尿病療養を学んだ専門スタッフ2人で食事療法を行い、患者さんと一緒に一人ひとりに合った方法を考えていきます。糖尿病だと甘いものはまったく食べられない、と思っている人もいるかと思いますが、それは患者さんもつらいですよね。食事の始めに野菜を食べることで炭水化物を減らしたり、人工甘味料を使うことでカロリーを減らしたり、こうした工夫で食生活が随分改善されます。
- Q他にはどのような指導がありますか?
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A
▲院内は広くスペースがしっかりとられている
運動も必要ですね。高血圧と同じで無理のない範囲で運動をすることが大切です。当院でも体操教室を開いて、皆さんが少しでも運動しやすい環境を整えています。運動も食事療法も、皆さん同じ方法でやることは無理があります。人によって体の状態や生活状況、できることも違うので、それぞれのペースに合わせて行えると良いですね。糖尿病は、本人が自覚して取り組むことが、とても重要な病気です。それはなかなか難しいことでもあるので、皆さんにわかりやすいように、糖尿病についての冊子を作りお渡ししています。文字や挿絵を見ることで、病気についてより理解を深めてもらい、生活習慣の改善に積極的に取り組んでもらいたいですね。