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北川 裕章 院長の独自取材記事

北川くりにっく

(名古屋市中区/金山駅)

最終更新日:2024/02/22

北川裕章院長 北川くりにっく main

金山駅から徒歩5分ほどの場所にある「北川くりにっく」。主要駅が近いためビジネス街の印象が濃いが、実はこの辺りは古くから住む人が多くいる土地なのだという。開業してまもなく20年目の節目を迎える同院は、地域のかかりつけ医として長年親しまれてきた。「気楽にやることですよ、気楽に」。地域に溶け込む医療を続けるコツを尋ねると、屈託のない笑顔で北川裕章院長はそう答えてくれた。力まず、自分のできる範囲のことをするということが大事なのだそうだ。ただ、診療においては違う。患者からの病気のサインを克明に感じ取り、小さな異変を見逃さない。勤務医時代から多くの人々を診てきた「経験」を糧に、日々の診療にあたる北川院長にさまざまなことを聞いた。

(取材日2016年10月3日)

外科を選び師匠に出会う

先生が医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

北川裕章院長 北川くりにっく1

実は、子どもの頃から医師になろうとは思っていませんでした。この場所で、父が機械系の会社を営んでいまして、その背中を見て育ったものですから、一般的な工学部で好きな機械工学を学び、いずれ父の会社を継ぐんだろうなと、漠然と考えていました。ところが、ちょうど高校2年生の時に、オイルショックが起きました。会社の経理をしていた母から、あらたまって「これからどうするつもりか」と聞かれました。当時はそれほど時代の流れも真剣に考えていませんでしたので、「親父の後でも継ごうと思っている」と言ったら、「会社が今どんな状況か知ってるか、生半可な気持ちでは父の仕事は継げないよ」と言われました。そこで高校3年になってから方向転換、医師をめざすことにしました。もともと手先は器用と思っていましたので、医療面でもその点が人のために生かせるかもしれない、と思ったんです。

血管外科、消化器外科を専攻された理由は何ですか?

全身の管理ができ、かつ技を磨けることに魅力を感じて外科を志望しました。中でも血管外科を専攻した理由は、高齢化社会を迎える時期だったので、今後、動脈硬化性の疾患が増えていくであろう、力を発揮することができるだろうと思ったからです。卒業後、赴任先の神奈川県川崎市の病院である先生に出会ったことがターニングポイントでした。いまだに師匠と呼んでお付き合いしているのですが、本当にいろいろなことを指導していただきました。当時外科の先輩医師というのは、「見て盗め」というスタンスがほとんどでした。ですがその先生は「俺の知識、経験はすべて教えてやる、その上で自分の考えで行動しろ。うまくいかなくなったときにはリカバリーショットを打ってやる。そのショットを打つラインをどこまで上げれるかが俺の力量だ」と言ってくれたんです。おかげで思う存分経験できて、学べました。その代わりとても厳しくハードでしたけどね。

開院したこの地は、どんな土地柄ですか?

北川裕章院長 北川くりにっく2

この地は、人の往来も激しいのでビジネス街のようですが、ふたを開けてみると、下町っぽく、温かく人情味があふれた感じも多く残っています。古くから住んでいらっしゃる人が多く、いまだに子ども会や町内会が機能しています。患者さんの特徴は、ビジネスパーソンの方々もいらっしゃいますが、どちらかといえばご高齢の方が多く、生活習慣病や慢性疾患を患っている患者さんがほとんどです。あとは風邪をひいたとか、なんだか体調がすぐれないとか、ちょっとしたおケガ……、そういう患者さんですね。いろいろ患者さんと話したり、病気について少しでも相談に乗れたらいいなと思っています。

自分の目の届く範囲の医療を

医療設備がとても充実していますね。

北川裕章院長 北川くりにっく3

開業した時に、自分のできることはなんでもやりたいと思っていました。ですので、設備面では開業と同時にいろいろそろえました。でも実は、私の基本的な考えは「患者さん離れの良いクリニック」なんです。要するに、治せると判断した病気は自分が治してみます。でも、少しでも迷いがあったら、あまり引っ張らずに、専門のドクターや大きな病院をご紹介する、ということですね。より、患者さんにとって良い選択肢の一つとして、ふさわしいドクターを紹介するように心がけています。その選択肢をたくさん持つことも、自分の仕事かなと思いますね。患者さんにとって入り口が広く、何か心配なことがあれば、最初に頭に浮かぶ医療機関として頼っていただけるととてもうれしいです。ホームドクターと言うのでしょうか。とりあえず来ていただいて、一緒に悩めばいい。それが私の、かかりつけ医としてのスタンスですね。

診察の時に心がけていることはありますか?

落とし穴にはまらないよう、何事も思い込まないことですね。わからないものは早く専門の医師に依頼するようにしています。それから、「痛い」ということだけでも、患者さんによって訴え方が違いますので、それを的確に判断するように心がけていますね。訴えの大きい人や、我慢強くてあまり痛くなさそうにする人。これまでいろんな人を診てきましたが、日頃から訴えの大きい人は特に要注意だと思っています。本当に痛いときや具合の悪い時に気づきにくいんです。先入観を持つことのないように心がけています。患者さんそれぞれの個性も把握し、的確に判断できるようにまず耳を傾ける。助けられる人や治せる人の症状の訴えを見過ごさず、きちんと治すことが大切ですね。

患者さんとのエピソードをお聞かせください。

北川裕章院長 北川くりにっく4

この仕事をしていてうれしいことはしょっちゅうあります。ここでは診られなくて他院に紹介した後でも、私のことを命の恩人なんて言ってくれた患者さんもいました。あとは、ここは僕が生まれ育った土地ですので、古くから住む人が「北川のところの息子が医者になったんだってな」なんて言って、来院される方もいます。昔私のことを叱ってくれた近所のおじさんたちはもうだいぶご高齢なので、訪問診療でお宅にお伺いすることもあるんですけど、そういった方の前に立つと、なんだかやっぱり今でも緊張してしまいますね(笑)。

ホームドクターとして、今後も地域に密着した医療を

学生時代はどんな過ごし方をしていましたか?

北川裕章院長 北川くりにっく5

サッカー部に入っていましたが、実はサッカーはそんなに好きではありませんでした。友達に誘われたので入った感じですね。私は山登りが大好きだったんですが、大学には山岳部がなく、運動部に入れば体も鍛えられるからいいかなと思ったんです。高校時代から本格的にサッカーをされていた上手な先輩もいらして、試合中でも怒鳴られてしまい、縮こまってしまって逆効果。団体競技は私には向いていないかなと思いましたね。だからサッカーもしましたが、試合のない休みの日には必ずと言っていいほど山登りをしていました。

国内だけでなく、海外の山にも登られたそうですね。

海外の山も4度ほど行きましたが、やっぱり日本の山もいいなと思いますよ。たまたま登ったスイスの山は、ロープウェーや登山電車を使っていきなり岩と雪の世界に入り、花も草もない山でした。また、現地のガイドに、技術と体力が認められなければ目的の山にトライすらさせてくれない厳しい世界です。しかし認めてもらえればガイドの力量は目を見張るものがあり、安心して岩の壁に挑戦できます。目的の山に登頂することができれば、充実感、達成感は大きく、興奮しましたね。日本の山登りは、どちらかといえば登山口から、沢あり、岩あり、砂あり、森林からハイマツ帯へと道の変化があり楽しめます。景色や人との出会いを楽しむところもあり、そういった雰囲気も好きですね。いろんな山を登りましたが、鈴鹿の御在所岳は大好きで、100回ほどは登ったと思います。学生時代の「山の友」は皆足を洗ってしまい付き合ってくれないのが残念です。

読者に向けてメッセージをお願いします。

北川裕章院長 北川くりにっく6

医療の入り口として患者さんに利用していただけるよう、間口を広くしているつもりですので、ホームドクターとして頼っていただけたらと思います。心配なことがあればまず来てください。どう判断するか親身になって一緒に考えます。在宅医療も対応していますので、通院が難しくなった患者さんも積極的に診ていきたいと思っています。訪問診療は、基本的に月・水・金曜に行っています。予定が多い時は昼休みも使って、通常の診察が終わった後、夜もお伺いしたりしています。開院したばかりの頃は、診療時間が今より長かったから、今の生活はそれほどきつくはないですよ。こんなふうに、地域の人と気楽にお付き合いできて頼っていただけることは、私にとってはとてもうれしいことですね。

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