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高田 善介 院長の独自取材記事

高田クリニック

(名古屋市千種区/覚王山駅)

最終更新日:2022/03/25

高田善介院長 高田クリニック main

覚王山駅より徒歩で10分ほど、閑静な住宅街にある「高田クリニック」。同院は、院長の高田善介先生の父で前院長が開院し、1998年4月に継承した。高田先生は循環器が専門だが、地域に根差した医療を大切に考え、子どもから高齢者までのさまざまな症状に対応。何げない会話から大事な情報が得られることが多いため、話しやすい雰囲気づくりを重視し、問診・聴診・触診から始める基本的な診療こそ大事と考えている。プライベートではドクターズバンドを結成。洋楽のコピーバンドでドラムを担当しているという意外な一面を持つ高田先生。在宅医療イベントなどで披露したこともあるそうだ。穏やかで優しい高田先生に、日々の診療や同院について話を聞いた。

(取材日2018年3月29日)

かかりつけ医として、専門に偏らない幅広い診療を提供

開業された経緯などをお聞かせください。

高田善介院長 高田クリニック1

このクリニックは自分が小学校3年生の時に父が開業したものです。昔はバス通りに面した狭い医院でしたが、23〜24年前の高速道路建設に伴う道路拡張で、建物を後ろへ下げることになり建て直したんです。その後3〜4年は父が診療していたのですが、高齢になり、1998年4月に自分が勤務医を辞めて継承することになりました。当初はけっこう急な継承でしたので戸惑った面もあったのですが、だんだん患者さんも増え、開業医としてのおもしろさもわかり、そうしているうちに20年がたちました。地域医療というのは大きな病院で行っている医療とはまた違うものだなと感じますね。

お父さまが医師をなさっていたこともあり、自然と医学の道に進んだのですか?

小学校の頃は機械が好きな子どもで、車の絵ばかり描いていました。当時は、工学部に入って自動車の設計やデザインをやろうと思っていたんです。高校に入ってからは物理が好きになり、物理学者になろうと考えていた時期もありました。しかし、父の姿を見ているうちに、だんだん医学部がいいなと思うようになって、高校3年生の時には進路を医師と決めていたので、父の催眠術にかかったのかもしれませんね(笑)。父も当然、医師になってほしかったと思いますから。

内科の中でも循環器を選んだのはなぜですか?

大学の学園祭で模擬病院というのがあり、自分が心電図の担当になったんです。その時に教えていただいた先生がダンディーでかっこいい先生だったんですよ。それでその先生のもとで学びたいと当時の名古屋市立大学の第一内科に入局したのが、循環器に進んだきっかけです。その出会いがなかったら、違う科か、内科でも違う分野を選んでいたかもしれません。卒業後に半年の研修を経て赴任し、そこからずっと循環器を専門にしてきました。その中でも、心エコー(心臓超音波検査)という画像検査を中心に経験を積んできました。

患者層や主訴などを教えてください。

高田善介院長 高田クリニック2

地域の方が中心で、小さいお子さんからお年寄りまで幅広い年代が来院されます。医師は、専門をめざす志向があるのですが、かかりつけ医としてジェネラルに全体を診ることができるのが、地域医療のおもしろさです。来院した患者さんがご家族を連れて来られることもありますし、ご近所の方を連れて来られることもあります。ご家族で通ってくださると、ご本人が気づかないことやお互いの状況が聞けていいですね。地域性としては、中高年の方の割合が高く、生活習慣病が多くなっています。高血圧症・糖尿病・高脂血症以外に、認知症も増えてきています。また最近では、風邪を引いた後に咳が長引く咳喘息の患者さんも増えていますね。

問診・聴診・触診と基本を大切にした診療がモットー

高血圧について、先生はどのように考えていらっしゃいますか?

高田善介院長 高田クリニック3

高血圧の患者さんは多いですね。脳卒中や心臓病の予防という意味で、血圧の管理は大事です。高血圧を治療して目標値を保つことができれば、心血管疾患を起こしにくくなります。当院では積極的に家庭血圧測定をしてもらっていますが、家で測ってきてもらったデータをしっかり見て、適切なアドバイスをすることで、患者さんのモチベーションを上げることができます。外来では正常だけど、自宅では高いという仮面高血圧は危険ですし、早朝の高血圧もリスクが高いといわれています。寝たきりの主な原因である脳梗塞の発生に、高血圧が強く関与しているのです。たかが血圧、されど血圧。高血圧は外来だけでは見つけられないので、家で測ってもらうことが大事なんです。

診療時に心がけていることを教えてください。

しっかり丁寧に話を聞いて、問診を取るようにしています。すぐに検査に入らず、心音や呼吸音を聴いたり触診したりして、オーソドックスな手順に従い診察することが大事です。問診の時は症状や経過を詳しく確認すると同時に、仕事や生活習慣などの背景をなるべく聞くようにしています。聴診器は、最近ですと使わない先生も増えているので、聴診すると患者さんにびっくりされることもありますが、こうした基本の診察が大切だと思っています。また、患者さんが話しやすい雰囲気をつくるようにも心がけています。

最近あった患者さんとの印象的なエピソードをお聞かせください。

高田善介院長 高田クリニック4

30代の女性で、1〜2週間に1回程度ですが、動悸がすると訴え来院された患者さんがありました。病院で調べてもらっても診断がつかなかったそうです。通常の心電図は検査時間がせいぜい10秒~1分程度ですし、ホルター心電図も24時間しか記録できません。これでは症状を確認できないと思い、“イベント心電計”という症状が出た時に自分で胸に押し当てて心電図を記録する装置を貸し出しました。そうしたら、発作性上室性頻拍と判明。病院を紹介してカテーテル治療で回復したんです。患者さんの症状に応じて、検査を選択することが大事です。症状があって診断がつかないというのが、患者さんにとって不安なことですから。

地域の病院との連携がしっかりしたクリニック

病診連携についてはどう対応されていますか?

高田善介院長 高田クリニック5

近隣には母校・名古屋市立大学など大学病院もあるのですが、大学病院はハードルが高いと感じる方もいらっしゃいますから、基本的には地域の大きな病院に紹介するようにしています。ほかには、普段からコミュニケーションを取っていて顔の見える近くの開業医の先生にお願いすることも多いですね。ただ、紹介の仕方には気をつけています。簡単に紹介するだけでは向こうで一からやり直しになってしまいますから、何を診てほしいか、何がポイントなのかをしっかり紹介状に書くようにしています。

在宅医療も手がけているそうですね。

在宅医療は、開業して2〜3年目から行っています。同じ千種区で在宅医療に力を入れている先生がいて、いろいろ教えてもらいながら始めました。今は、近くにある有料老人ホームの患者さんを中心に診ています。在宅医療は問診と聴診など五感を使った診察が基本になります。検査ができてもせいぜい採血ぐらいですから、医師としての基本的な能力を問われるものです。専門的な知識と同時に、幅広く診る目が必要になります。常にいろいろな知識を得なければなりませんが、自分のため、なにより患者さんのためになります。頼ってもらえて、勉強して、そしてそれを生かすことができるのですから、在宅医療はやりがいある仕事ですね。

最後に、主な読者層である女性に対してメッセージをお願いします。

高田善介院長 高田クリニック6

女性は男性より生活習慣病になりにくいとされていますが、更年期からホルモン分泌が変化し体質が変わってくるものです。若い頃は血圧やコレステロールや中性脂肪といった血中脂質などが低く、何の問題もなかった人でも、40代後半から50代の更年期でホルモンバランスが崩れ、高血圧や高脂血症などを起こしやすくなります。ですからご自身の体の変化について、健康診断を受けたり、症状に注意したりなどしていただき、早くに気づくことが大切です。ホームドクターに相談して、適切な検査や治療を受けるといいと思います。また骨粗しょう症にも気をつけたほうがいいですね。ご家族の健康も大事ですが、更年期を境にご自身の健康状態にも注意してください。

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