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森 芳郎 院長の独自取材記事

森耳鼻咽喉科医院

(大垣市/大垣駅)

最終更新日:2023/05/29

森芳郎院長 森耳鼻咽喉科医院 main

JR東海道本線の大垣駅北口から徒歩約15分、スーパーやドラッグストアが立ち並ぶにぎわいのあるエリアに「森耳鼻咽喉科医院」はある。地域に根差したホームドクターとして、今年で開院20周年を迎えるが、森芳郎院長は「地域の皆さんに支えられ、長いようであっという間でした」と感慨深そうに語る。森院長自身、地元で育ち、街や患者の変化を肌で感じてきたという。診療のモットーは、「患者には優しく、病気には厳しく」。今回は、診療の際心がけていることや地域への恩返しとして力を入れている後進への教育、啓発活動などについて語ってもらった。

(取材日2023年2月20日)

地域とともに歩み、開院20周年を迎えて

今年で開院20周年とのことで、長年、地域のホームドクターとして活動されてきた思いを教えてください。

森芳郎院長 森耳鼻咽喉科医院1

地域の皆さんに支えられてきた20年間でした。長いようであっという間でしたね。もともと私はこの地域の出身です。小中学校もすぐそばで、まだ自分が通った校舎が残っているんですよ。父も市内で1964年から耳鼻科を開業していました。ずっとこのエリアにいるため、街も大きく変わったなと感じます。父の病院に通っていた方も当院に来院してくださっていて、お子さんやお孫さんを連れてこられる方もいらっしゃいます。数世代にわたり、診察させてもらえるのはありがたいですね。

診察のモットーや心がけていることを教えてください。

毎回言っているのが「患者さんには優しく、病気には厳しく」です。やはり、患者さんがご自分の体調を一番理解されていると思うので、問診票も細かく記入していただいています。それだけでわからないことも、できるだけ把握したいと考えています。お話は詳しくゆっくり時間をかけて伺っています。耳鼻科なので、患者さんはお子さんや高齢の方が多いんですね。ご高齢の方は、耳が遠くて聞こえにくい方が少なくありません。以前は、マスクを外してお話をしていましたが、今はそれがしにくい部分があるので、一言ずつはっきりとお伝えするようにしています。お待たせしないことと、丁寧に診察することは両立が難しいのですが、大事なポイントを意識しながら、取りこぼしのないようにお聞きしています。

治療法に関しては、それぞれの患者さんに合わせたものを考えているそうですね。

森芳郎院長 森耳鼻咽喉科医院2

ライフスタイルはもちろんですし、子どもと大人でも治療方法が異なると思います。そのため、やはりその方の症状をお聞きする問診が大切だと思っています。病院に来られる患者さんは、ご自分がどんな病気で治療は何をするのかと心配していると思います。だから、説明から治療までを丁寧に行い、治療が終わるまでフォローしています。どんな病気でも、早期発見、早期治療が原則だと思うので、小さなことも見逃さないように心がけていますね。また、病気の予防としてワクチン接種はできるだけ積極的に推進したいですね。当院では、新型コロナウイルス、インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス、おたふく風邪などの予防接種を行っております。乳児期に接種しないといけないワクチンは小児科の先生にお任せし、小学生以上で接種できるワクチンは接種できる環境にしてあります。

力を入れている治療はめまいとアレルギー疾患

新型コロナウイルス感染症流行前に比べ、増えた主訴はありますか?

森芳郎院長 森耳鼻咽喉科医院3

めまいや耳鳴りを訴える方が増えました。以前と異なり、新型コロナウイルス感染症流行で日常生活が制限されることで神経に由来する症状が増えていると思います。私自身、耳鼻科の医師になって以来めまいに関する研究を行っているため、治療にも力を入れています。めまいと一言で言っても、内科に関するものか、耳鼻科、脳神経外科に由来するのか、精神的なものか、原因はそれぞれです。また、生命に関わる場合もあり得るため、外来診療で対応できるかといった見極めが大事だと思っています。目が回る、ふらふらするという主観的な状況をどうやって客観的に評価して、適切な治療につなげていくのかがポイントです。どんなタイミングでどのようなめまいがするのか、ぜひご相談ください。

花粉症などのアレルギー疾患の治療にも力を入れているそうですね。

はい。まずは問診をしっかり行います。患者さんの承諾が得られれば血液検査をし、アレルゲンを発見できればそれに対する治療をお勧めしています。最近はスギ花粉やダニが原因のアレルギーに関しては、口の中で溶ける内服錠を使用する「舌下免疫療法」を行っています。この治療は長期にわたり、最低3年ほど治療を継続する必要がありますが、根本的な治療がめざせます。患者さんの了承を得られたら、治療をスタートします。これまでも飲み薬やレーザー治療などがありましたが、それはアレルギー反応に対する対症療法に過ぎませんでした。治療は長期間にわたりますが、根本的な治療をめざす方法として舌下免疫療法はいいのではないかと思います。また、対症療法として薬を服用する場合は、症状がひどくなってからでは、なかなか改善しないことが多いです。できれば早めに来院され、早期治療をされることをお勧めします。

最近はお子さんのアレルギー症状も多いと思いますが、幼少時に気をつけたほうがいいことはありますか。

森芳郎院長 森耳鼻咽喉科医院4

アレルギーは低年齢化しています。最初は乾燥肌や食べ物アレルギーから始まり、スギ花粉など別のアレルゲンに反応するようになる場合が多いようです。そのため、ご両親にアレルギーがある、乾燥肌など素因があるお子さんには、スキンケアに気を使ったり、食べ物アレルギーに対して早めに対応することが大切です。特に、乾燥肌の方は、皮膚が弱くなりがちです。お風呂で皮膚をこすりすぎないようにしたり、クリームを塗って保湿をしたりすることで、その後のアレルギー的疾患の予防にもつながるといわれています。こうしたお子さんの治療方法は、親御さんにもお伝えし、ケアしてもらうようにしていますね。

地域に恩返しをして、医療を提供し続けたい

新型コロナウイルス感染症流行をきっかけに、どのような感染症対策をされていますか。

森芳郎院長 森耳鼻咽喉科医院5

感染症対策としては、院内では検査せず、ドライブスルー、院外診療を行っています。また、パーティションや感染症の疑いのある方の待機室を設けました。空気清浄機も導入し、換気にも気を配っていますね。咳、くしゃみ、喉の痛みなどは、何の症状なのかわかりにくい部分があると思います。そのため、まずは抗原検査をして新型コロナウイルス感染症かどうかを見極めています。今後、新型コロナウイルス感染症の状況も変化する兆しが見えていますが、実際どうなるか具体的にはわからない部分が多いです。だから、新型コロナウイルス感染症流行での経験を生かし、診療体制や診療を拡張するように、新しいことができたらいいなと思っています。

地域で啓発活動をされているそうですが、現在はどのようななことをされていますか。

周辺の学校の校医をしています。また、年に1回、近くの中学校に赴き、喫煙が健康に及ぼす影響や、受動喫煙の問題などを伝える「防煙教室」の講座を行っています。また大垣にある准看護学校と福祉専門学校では声がどんなふうに出るか、声がかれる病気というのはあるかなどの「音声障害学」の講義も行っています。私自身、年齢を重ねるごとに地域へ恩返ししたい気持ちが強くなってきました。クリニックで患者さんを診察することはもちろん大切ですが、これまで私を育ててくれた地域に、自分が学んだことを少しでも還元していければと思っています。

地域の方や、読者にメッセージをお願いします。

森芳郎院長 森耳鼻咽喉科医院6

耳、鼻、喉は、五感をつかさどる器官で、聞く、話す、食べる、息をするといった人間としての大切な機能を持っています。だからこそ、その不調は苦しく、気になるものです。特に高齢になり、噛めない、飲み込めない、話せないといった機能低下が起こるのは、誰でもつらいことだと思います。一方で、こうしたことは健康であれば意識せずに自然にできると思います。また、お子さんもどこか不調があっても、うまく自分で伝えられません。当院では、ご高齢の方や、お子さんにもわかりやすく説明し、治療もしっかりと十分に行って、きちんと治療が終わるまでフォローしていきたいです。その地道な繰り返しで信頼関係が生まれていくと思います。現在、スタッフは9人おり、そのうち1人は当院に20年間勤務してくれています。スタッフみんなで力を合わせ、これからも地域の患者さんのために力を尽くしていきたいです。

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