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臼井 彰 院長の独自取材記事

臼井医院

(足立区/亀有駅)

最終更新日:2022/12/28

臼井彰院長 臼井医院  main

下町の風情が残る亀有の一角にある「臼井医院」。1階と2階からなる大きな建物で、院内は広々とした空間となっている。「患者さんにはできるだけリラックスした気持ちで過ごしてほしい」と語る臼井彰院長のこだわりで、待合室や廊下に置かれたソファーの座り心地は抜群。家のリビングのようなインテリアの談話室もくつろげる。そんな環境の中、穏やかな語り口の臼井先生と話していると気持ちが和み、ついここがクリニックだということを忘れそうになる。患者の笑顔につながるクリニックでありたいという臼井院長に、不妊治療にかける思いを語ってもらった。

(取材日2018年6月6日/更新日2022年11月17日)

1日も早い目的達成のために手を尽くす

先生が医師になったきっかけ、専門を産婦人科に選んだ理由は何ですか?

臼井彰院長 臼井医院 1

もともとここは父の代から続く医院で、父は外科、母は小児科の医師という環境で育ちました。両親の背中を見て、医師になろうと決めたのです。産婦人科に進んだのは、患者さんの笑顔がたくさん見られると思ったから。実際にはさまざまな出来事が起こり、大変なこともありますが、やはり命の誕生に関われる喜びが大きく、やりがいを感じています。不妊治療を専門にしてきた理由は、不妊治療の医学が進歩していく頃に学生時代を過ごしたことが大きいですね。1978年にイギリスで世界初の体外受精が行われ、母校の東邦大学でも、私が卒業した1983年に体外受精が始まりました。その画期的かつ先進的な医療が産婦人科の新しい道を開いてくれると感じ、興味を持ったのです。ちょうどお世話になっていた恩師とのつながりで大学の研究チームに入ることができ、不妊治療の研究に従事しました。

その後、ご両親のクリニックで産婦人科の診療を始められたのですね。

はい。兄も内科と麻酔科の医師だったので、ずっと家族と力を合わせて診療を続けてきました。両親が築いたこの医院で産婦人科の診療を始め、以前はお産もここで行っていたんですよ。医師が私1人となってからは、産婦人科のみに絞ることになりました。それを機に専門だった不妊治療に立ち返ろうと、不妊治療に特化したクリニックとして再出発したのです。2022年4月からはリプロダクションクリニック東京に勤務する息子も、週に2回外来診療を担当するようになりました。診療体制が強化され、これまで以上に不妊治療に悩む患者さんと向き合えるようになったのではと思っています。

こちらの不妊治療の流れについて教えてください。

まず患者さんとパートナーの体の状態をしっかりと把握し、不妊の原因を突き止めるための検査を実施します。初めに卵巣内に残る卵子の数を調べる検査と、卵巣ホルモンと下垂体の卵巣刺激ホルモンの値を調べて卵巣の機能をチェックする血液検査を。次に、卵管の通りを確認し、パートナーの精子の状態も検査します。また、甲状腺刺激ホルモンの数値が高いと流産のリスクが高まるため、当院では甲状腺疾患のスクリーニングも重視。検査をするうちに排卵日が来るので、その段階でタイミング療法を取り入れます。タイミング療法や服薬を3ヵ月続けても変化がない場合は、人工授精、体外受精へ移行し、1年以内の「治療卒業」をめざすのです。もし精子に問題がある場合は顕微授精を速やかに行います。一般的にはこうした段階を踏んで治療を進めることが多いですが、体の状態によっては体外受精・顕微受精からスタートする場合もあります。

体外受精にも力を入れているそうですね。

臼井彰院長 臼井医院 2

一般的な不妊治療や複数の先進医療技術はもちろん、特に体外受精に力を入れております。在籍する6人のベテラン培養士とともに日々研鑽を重ね、着床率向上をめざして、胚移植の際にはレーザーを用いたアシステッドハッチングという方法を導入し、子宮への着床を補助。また、培養器には先進医療であるタイムラプスシステムを採用しています。タイムラプスシステムにはカメラが内蔵されているので、胚の状態を見極める際に培養器から取り出す必要がなく、胚にかかる負担の軽減を見込めるのです。

不妊原因の4割は男性に。男女ともに生活習慣の改善を

先生が診療で大切にしていることは何ですか?

臼井彰院長 臼井医院 3

「1日でも早く結果を出すこと」を念頭に、個々の患者さんの状態や状況を考慮しながら、ベストな治療の提案をめざしています。また、患者さんのストレスの軽減も治療の一環と考え、事前に必ず「今日は血液検査をします」「卵管のチェックをします」と、説明してから診療に移るようにしています。何をされるかわからないまま治療に入っては、患者さんも不安でしょうから。そして、患者さんの訴えや不安はできるだけお聞きし、皆さんが安心して治療を行っていける環境づくりに取り組んでいます。

不妊の原因にはどのようなものが挙げられるのでしょうか?

不妊の原因はさまざまですが、女性は体のメカニズム上、年齢とともに妊娠率が下がっていくとされています。体のことを考えると30歳までの出産が望ましいと知っていただきたいですね。卵巣には生まれた時に100万個ぐらいの卵があり、生理が始まると毎月1000個ぐらいの卵が起こされ 、その中から良い卵を1個排卵する仕組みになっています。卵の数には限りがあるため、卵巣のストックが少なくなると1回に起こされる卵の数も減り、その結果、良い卵に当たる確率も下がってしまうのです。不妊の原因は女性側にある場合が全体の6割、男性側にも4割あり、それぞれの割合の中でも原因不明が2割程度といわれています。男性の不妊では生活習慣などにより精子の量や働きが後天的に悪化するケースも。適切な治療のためにはまず検査でご自身とパートナーのお体の状態を知りましょう。

妊娠を望む人は、普段からどのようなことに気をつけるべきですか?

臼井彰院長 臼井医院 4

男性も女性も、健康的な体形を保つことと、生活習慣を整えることが不妊治療の第一歩です。規則正しい生活を送る、暴飲暴食を避けてバランスの良い食事を取る、よく眠る、無理なダイエットをしない、肥満を改善する、などですね。また、不妊に一番悪影響なのが喫煙。健康であっても長く喫煙を続けている人は不妊のリスクが高くなります。そして、不妊治療中はリラックスした気持ちで過ごすことが一番。駄目なものは医師として指導しますが、それ以外ではあまり神経質になる必要はありません。希望を持って生活していただきたいですね。

30歳以降は女性検診へ。自分の体について知ろう

2022年4月から、一部の不妊治療が新たに保険適用になりましたね。

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不妊治療の保険適用は、金銭面で治療のハードルが下がるといったメリットがありますが、実は良いことばかりではありません。保険内で治療を考えると、薬の使い方や適用できない検査が増えるなど、制限が出ることも考えられるからです。体の状態に応じた適切な選択をするためにも、医師に不安や不明点を相談し、きちんと説明を受けた上で、夫婦で理解して治療に臨むことが大切です。

こちらでは不妊治療を考えている人たちに向けて、月に数回オンラインガイダンスを開いていると聞きました。

不妊治療について十分にご理解いただいてから臨んでもらうため、月に1~2回オンラインガイダンスを実施しています。初診の前に必ず受けていただいているもので、当院の基本方針や不妊治療の流れ、各治療の詳細、生活上の注意点などをお話しします。不妊治療を検討中の方も、参加可能です。またこれとは別に、体外受精に関するオンラインガイダンスも開催。こちらは当院で治療中の患者さんで体外受精にステップアップされる方や、体外受精のために当院への転院を希望される方向けです。受講後は皆さんからの質問にもお答えしていますので、不妊治療について不安や心配事がある方はぜひご参加ください。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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自分が不妊になる可能性について知るためにも、30歳を過ぎて出産経験のない方は女性検診をお勧めします。市や区の検診を上手に活用し、ご自分の体について知りましょう。そして、なかなか妊娠できないと感じたら早めの受診を。特に35歳以降に不妊治療を始める方は、1年開始が遅れるごとに妊娠率が変わりますので、先延ばしにせず受診してほしいですね。そしていざ治療が始まったら、自分を追い詰めずリラックスした生活をしてください。子どもが欲しいと願う気持ちは痛いほどわかりますが、まずはご自分の体をいたわってあげることが大切です。私の目標は1人でも多くの方の手助けをし、できるだけ早く結果を出すこと。そのために良いと思える方法を取り入れ、常に新しい設備をそろえていきたいと思っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

【体外受精の周期に行う先進医療】
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養/2万5000円、
子宮内膜擦過術(内膜スクラッチ)/1万円、
子宮内膜刺激術(SEET法)/2万5000円、
二段階胚移植術(新鮮胚移植)の2回目の移植/5万5000円(1回目は保険適用)、
二段階胚移植術(凍結融解胚移植)の2回目の移植/9万9000円(1回目は保険適用)
※先進医療は、保険診療と併用して受けることが可能

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