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佐藤 智久 院長の独自取材記事

佐藤整形外科クリニック

(さいたま市南区/南浦和駅)

最終更新日:2021/10/12

佐藤智久院長 佐藤整形外科クリニック main

南浦和駅西口から5分ほど歩いた場所にある「佐藤整形外科クリニック」。親子2代で40年近くにわたって地域医療を担ってきた。年季の入った表札の周りには、色とりどりの花がずらり。「花が好きだった父の影響で、休みの日も私が手入れしているんです」と、佐藤智久院長は笑う。じっくりと言葉を選んで話す佐藤院長の姿勢からは誠実さが感じられ、どことなく安心感も覚える。子どもから高齢者まで、幅広い世代に慕われているというのも納得できる、親しみやすい雰囲気だ。そんな佐藤院長に、これまでの経歴や診療の際に心がけていること、今後の展望についてたっぷり語ってもらった。

(取材日2019年9月10日)

父の後を継ぎ、整形外科全般を診療

こちらのクリニックを継承されるまでの経緯を教えてください。

佐藤智久院長 佐藤整形外科クリニック1

私は父方、母方ともに医師の家系という家庭に生まれ、正月など親戚の集まる場ではいつも医療の話題が出るような環境で育ちました。医師が私にとって一番身近な職業だったので、この道に進んだのは自然な流れでしたね。当院ができたのは1980年のことで、父がこの地に開業しました。私は東京医科大学を卒業後、東京警察病院の整形外科に12年間勤務し、高島平中央総合病院でさらに10年間勤めたので、その間は週に1回こちらで父の手伝いをしていました。常勤し始めたのは2014年からです。そして2016年、父の後を継ぎ院長に就任しました。現在は父が築いてくれた基盤の上で、少しずつ新しいことも取り入れながら診療に取り組んでいます。

勤務医時代から今まで、診療スタイルに変化はありましたか?

東京警察病院では膝、股関節、肩といった関節を専門にしていたのですが、「整形外科に来た患者さんに対しては、専門を問わずにすべて自分で診なさい」と指導されてきたことが、今でも生かされていますね。地域のクリニックでは広く整形外科全般を診る力が求められますから。変わった点としては、総合病院では最終的な手段として手術を提案できるのに対して、開業医は外科処置が必要な場合、ほかの病院へ委ねなければならないところでしょうか。また総合病院では大きな看板の下で医療に従事している感覚が強かったのですが、実際に父の後を継いでみて、現在は患者さんが私という個人を慕って来てくださるのを実感し、そこに大きな喜びを感じています。今は患者さんと治療のことだけでなく、日常的なお話をする時間も取れるようになったことがうれしいです。

こちらのクリニックではどのような治療を行っているのですか?

佐藤智久院長 佐藤整形外科クリニック2

当院ではそれぞれの患者さんの症状に合わせた診療を行っています。例えば、リハビリテーション機器を用いた理学療法で日常生活の不快さを取り除くためのトレーニングを行うほか、ご自身で継続的に行っていただける体操を指導しています。最近では新たに中周波を用いた治療法も導入しました。これは患部周辺の筋肉を刺激して痛みを和らげる目的のもので、今までは温熱療法しかできなかった患者さんに対しても提供できる治療の幅が広がりましたね。

患者の生活も見据えて治療法を提案

どのような方が来院されますか?

佐藤智久院長 佐藤整形外科クリニック3

当院が蕨市と川口市に近い位置にあるため、さいたま市以外からも患者さんが来院されます。やはり慢性疾患である関節周りの痛みや腰痛、リウマチでお悩みのご高齢の患者さんが多いですが、椎間板ヘルニアでお悩みの若い患者さんも少なくありません。最近では周辺にマンションが増えたこともあり、近所の保育園や小学校に通うお子さんの受診も多くなってきましたね。主に外傷の治療で来院されます。夜は仕事帰りの方や部活帰りの学生さんの受診が目立ちます。平日は19時まで診療を行っているので、都心に通勤する方も帰宅前に立ち寄りやすいのではないでしょうか。

診療モットーを教えてください。

同じ疾患でも一律に治療するのではなく、患者さんのライフスタイルを踏まえて、その人に合った治療を提供することです。例えばヘルニア一つとっても、患者さんの仕事の内容、スポーツをしているか否かなどによって、適切な治療は変わってくるからです。また、来てくださった患者さんのご要望にはできるだけ応えてあげたいとは思うのですが、ご希望に合わせ過ぎて治療を妥協し、余計に悪くしてしまうことがあってはなりません。納得して適切な治療を受けていただくために、しっかりと説明することも心がけています。

最近の患者さんの傾向として感じることはありますか?

佐藤智久院長 佐藤整形外科クリニック4

今はひと昔前よりも生活がずいぶん便利になって、日常生活における運動量が減っているように思いますね。以前はテレビのチャンネルを変えるのにもダイヤルを回しに行かなければならなかったのが、リモコンで操作できるようになり、そして今ではスピーカーに話しかけるだけで電気のオンオフまで指示できます。しかし、人の体はもともと動くためにつくられているので、同じ位置で同じ姿勢を取り続けると弊害が出てきてしまうんです。そこで患者さんには、生活の中で「こんなことを取り入れてみたら?」と、動作を増やすことを提案して運動量を高めるように助言しています。ジムに行ってくださいと言うのは簡単ですが、コストも時間もかかりますから、日常の中で無理のない範囲で工夫するほうがいいと考えています。

お父さまが診療されていた頃と、現在とで変わった点は何でしょう?

患者さんのスムーズな受診とスタッフの作業効率を考え、電子カルテを導入しました。実は父のもとで手伝いをしていた頃、「お前は従業員じゃないんだぞ。いずれはお前がやっていくクリニックなのだから、やりたいようにやっていけ」と厳しく言われたことがあったのです。そのことで、私には何ができるのかを真剣に考えるようになりました。めざしているのは、来院された患者さんが満足して帰られ、それが評判となって広がるくらい、地域の皆さまに信頼されるクリニックになることです。表向きの顔よりも、まずは来ていただいた患者さんを大事にし、私に会いたいと言ってもらえるような医師でありたい、そう思っています。

院長とスタッフで同じ想いを共有し患者と接する

クリニック全体で心がけていることは何ですか?

佐藤智久院長 佐藤整形外科クリニック5

スタッフにいつも言っているのは、患者さんに「ここへ来て良かった。また何かあったらここに来たい」と思ってもらえるように接しなさい、ということです。患者さんを診るのは私の仕事ですが、来て良かったという思いは周りのスタッフの対応や印象も大きく影響してきますから、全員で同じ意志を持って患者さんとのコミュニケーションを大切にするよう心がけています。

プライベートについても伺います。お休みの日はどのように過ごしていますか?

父は花が大好きで、診察室にいつも四季に合わせた花を飾っていました。一方私は、花に水をあげるのを忘れてしまうこともしばしばで、「お前はしおれた花を見て何とも思わないのか」とあきれられたこともあります。父が亡くなってから、花を置いていない時期もあったのですが、やはりそれを寂しく思うようになり、また飾り始めました。すると患者さんから「きれいですね」と声をかけていただくことが増え、入り口に彩りがあると和んでもらえるのだなと思いました。以来、休みの日は花や肥料を買いに行き、せっせとクリニックや自宅で育てています。園芸を楽しめるようになるとは夢にも思っていなかったので、花を愛でる自分をいまだに不思議に思いながら土いじりをしています(笑)。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

佐藤智久院長 佐藤整形外科クリニック6

最近、患者さんから、高齢で通えなくなった方がいるという話を聞くことが増えてきました。そうした方々に対して通えなくなっても診察してあげたい、長い目で患者さんと向き合いたいと思い、往診や訪問診療にも取り組んでいきたいと考えています。また整形外科の医師としての一番の仕事は運動機能の回復ですから、治療に加えてリハビリテーションもさらに充実させていきたいですね。40年近くもやっていると、父が蕨市の病院に在籍していた当時からの患者さんもいらしたり、子どもの頃に父に診察を受けていた患者さんが今はお父さんになっていたりと、いろいろな歩みが見えますよね。これからもこの地域に根づいて、患者さんに長く寄り添える医師でありたいと思っています。

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