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平嶋 昇 院長の独自取材記事

Women's Clinic ひらしま産婦人科・皮膚科

(上尾市/沼南駅)

最終更新日:2021/10/12

平嶋昇院長 Women's Clinic ひらしま産婦人科・皮膚科 main

埼玉新都市交通ニューシャトル沼南駅から徒歩10分。上尾市でも比較的のどかで自然環境の残るエリアにある「ひらしま産婦人科」は、この地で30年以上にわたり周産期医療を支えてきた産科医院だ。昨年、開院30周年記念として新築リニューアルオープンしたばかり。院内は内装からBGM、入院室の名前まで、平嶋昇院長のこだわりが詰まった空間になっている。エントランスをくぐるとそこは木の香漂う円形のホールになっており、海や山の生き物たちをモチーフにしたステンドグラス越しに差し込む温かな光に優しく包まれる。開業当時からこだわる「森の中の夢の産院」を追求する平嶋院長に、分娩にかける思いなどさまざまな話を聞いた。

(取材日2018年7月19日)

まさに「森の中の夢の産院」

随所に院長のこだわりを感じる素敵な空間ですね。

平嶋昇院長 Women's Clinic ひらしま産婦人科・皮膚科1

開業30周年を記念して、2017年7月に新しく造り変えました。以前から勤務医時代の病院の近くにあった東京復活大聖堂(ニコライ堂)のステンドグラスに憧れていて。ぜひ取り入れたいという思いで、今回院内の至る所に設置したんです。1枚ずつ異なる色のガラスをはめ込んでいく伝統技法で作られた貴重なものなんですよ。当院を訪れたお子さん方が親御さんと一緒に「お魚だ」「てんとう虫だ」などといって楽しんでくださるので、こちらも自然と笑顔になれます。お産をする誕生室にも、東側の男の子の部屋は朝日とともにやってくる男の子の赤ちゃんを、西側の女の子の部屋は夕日とコウノトリに運ばれてくる女の子の赤ちゃんを表現したステンドグラスを飾りました。誕生室は窓を大きくしており、自然豊かな景色を見ながらお産ができるのは珍しいかもしれないですね。お産に立ち向かうお母さんに少しでもリラックスしていただけたらと思っています。

病室も和室、洋室、和洋室と、選べるのが良いですね。

建て替え前、意外と和室の人気が高かったため今回大幅に増やしました。上のお子さんや旦那さんと一緒に寝泊まりできますし、産後のお祝いにご家族やご親戚が駆けつけられた時にも、畳の上でゆっくりとくつろいでいただけます。妊婦さんは基本的に病人ではありませんから、マットレスやベッドは居住性を重視してとても良いものを導入しています。入院室の名前は1階は樹木、2階は鳥の名前にしていますが、Aから並ぶアルファベットに合わせて名前を探すのに分厚い図鑑とにらめっこしたのが良い思い出ですね。

ここで生まれた赤ちゃんが1986年7月の開業以来約1万6000人。2世代目も多いと伺いました。

平嶋昇院長 Women's Clinic ひらしま産婦人科・皮膚科2

おかげさまで30年以上、この地でお産に関わらせていただきました。かつて当院で生まれた赤ちゃんが成人し、また当院で子どもを産んでくれるという、いわゆる「ひらしまっ子2世」も近年数多く誕生しています。産科の医師としてこの上なくうれしいことであり、医師冥利に尽きますね。お産はフルマラソンのようなものです。私はすべての妊婦さんに金メダルをあげられるよう、良い監督でありたいと思っています。また「チームひらしま」のスタッフは沿道の応援団や伴走者として支え見守ります。かつて私の娘が統計を取ったことがあるのですが、お産はなぜか明け方が多いようです。私の睡眠は何度も「お産です!」の声に中断されるのですが、それは産科医の宿命のようなものですね(笑)。

自然分娩にとことんこだわりたい

医師になられたきっかけは何ですか?

平嶋昇院長 Women's Clinic ひらしま産婦人科・皮膚科3

私は館山で海を見ながら育ちました。ある真夏の日、溺れた子どもに大人が必死で人口呼吸をしている場面に遭遇したのです。当時は私も子どもでしたから何もできることはなく、その子は助かりませんでした。あまりにも唐突に尊い命が失われていくのを間近に見て、悲しさと恐ろしさに身震いをしつつも、医師になろうと決心したんです。その時の衝撃が今も、私の生命を守る医師としてのエネルギーの原点になっていますね。そこから産科医になった経緯としては、東京大学インターン時代に佐渡の診療所で働くことになったのですが、高齢の方をお看取りする毎日に身も心も疲弊してしまって。生命の誕生に関われて喜んでもらえる産科を改めて志すことにし、長兄の尽力により慶応大学産婦人科学教室に入局させていただきました。その後歴史ある東京御茶ノ水浜田病院での修行、ECMGでのアメリカ留学などを通じて産科医としての技量を上げることができました。

帝王切開はなるべく避け、自然分娩でのお産を心がけていらっしゃいます。

私は自然分娩に勝るものはないと考えています。新しい医療機器を整えるのも、医療スタッフを教育して技術の向上や妊娠管理体制を強化することに努めているのも、帝王切開を必要最小限に抑えるためです。今は帝王切開が万能で安全に配慮されているという風潮が産科の医師の間でも妊婦さんの間でもあるようですが、母体や新生児に与えるリスクと危険は経膣分娩の比ではありません。母体の麻酔事故や肺塞栓症、出血、次の妊娠時の帝王切開既往前置癒着胎盤の増加のリスクもあります。また胎児がせっかく自ら出産のタイミングを図っているのに無理やり外の世界に出すことで、スムーズな肺呼吸への移行なども妨げられ呼吸障害を起こすリスクもあります。出産は女性にとって「自然の営み」。この大切なDNAを次の世代に受け渡すためにも、自然分娩にとことんこだわりたいと思っています。

逆子でも経膣分娩で出産できるのですね。

平嶋昇院長 Women's Clinic ひらしま産婦人科・皮膚科4

逆子なら即、帝王切開。悲しいことに産科の医師も妊婦さんもそう思っていらっしゃる方が実に多いですね。私の長女は私自身が取り上げましたが、初産であることに加え明け方の破水で、しかも「全足位」と呼ばれる逆子の中でも特に難しい体位という、産科の医師として腕を試されるようなお産でした。私が修行時代を過ごした浜田病院では帝王切開の適用条件が非常に厳しいものでしたので、逆子もたくさん経膣分娩で取り上げました。これまで培ってきた技術と知識で、当院では低い帝王切開率を保っています。そのため、逆子でも自然分娩で産みたいという妊婦さんが遠方からもいらっしゃっていますよ。ちなみに私は長女の下に3人の男子もいますが、もし長女が帝王切開であったら、妻の母体が耐えられなかったかもしれないと感じています。

大変さの先にある感動を体験してほしい

子宮がんの早期発見にも尽力されているとか。

平嶋昇院長 Women's Clinic ひらしま産婦人科・皮膚科5

子宮がんの場合、初期に症状を発見できるとかなりの確率で適切な治療につなげられます。日本は欧米に比べ、特に若い方の子宮がん検診受診率が非常に低いのです。当院でも婦人科を設けていますから、年に1度は検診を受けていただきたいですね。子宮がんが早期であれば、妊娠の継続も可能です。がん専門機関とも連携をとりながら、出産をサポートしています。

小児科の乳児検診も皮膚科もこちらで診察が受けられます。

皮膚科は私の長女が担当しています。赤ちゃんによくある乳児湿疹は、近年問題視されているアレルギーマーチの原因の一つにも挙げられていますのでしっかり治すことが大切です。当院では薬の塗り方もご指導し、完治をめざしています。加えて、妊娠初期にはなるべく歯科検診を受けていただきたいです。歯周病が早産の原因になることや、その原因細菌が血流にのり胎盤を通して赤ちゃんの成長を妨害してしまうこともあります。細菌感染によって陣痛が促される可能性もありますので、侮れません。

とてもお元気ですが、健康の秘訣は?

私は小さい頃から大学時代まで継続して柔道をやっていました。私が言うことではないかもしれませんが、産科の医師という仕事は過酷なものです。その仕事をこの年まで続けてくることができ、今もまだ現役として活躍できているのは、幼い頃から私を鍛えてくれた柔道のおかげだと感じています。強靭な肉体と精神力、それに瞬時の判断力という産科の医師に必要なものを得ることができました。また逆子のお産において、骨盤位けん引術という手法により赤ちゃんを娩出する際、柔道の内股崩しの要領が非常に役立つことにもなりました。これらは偏差値重視の教育からは学ぶことができないものだったと思います。

これからお産をされる方にメッセージをお願いします。

平嶋昇院長 Women's Clinic ひらしま産婦人科・皮膚科6

お産の主役である妊婦さんは、途中で棄権することのできないマラソンを完走しなくてはなりません。おなかの赤ちゃんと一緒に始まったマラソンレースを、沿道の応援に励まされ、監督の助言を得ながら完走し、元気な赤ちゃんと一緒に走ったパパとともにゴールで喜ぶ。そんな感動的なお産をぜひ当院で体験してください。

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